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キナーゼ阻害剤「カボメティクス®錠」のがん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌に関する製造販売承認事項一部変更承認の取得について

2020年11月27日

当社は、このたび、「カボメティクス®錠20㎎、60㎎」(一般名:カボザンチニブリンゴ酸塩、以下「カボメティクス」)について、がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌に対する治療薬として、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更承認を取得しましたのでお知らせします。

今回の承認は、主に、プラセボ群と比較して本剤の有効性が統計的に有意な結果を示し、かつ安全性プロファイルについても確認された二次治療以降の進行肝細胞癌患者を対象とした海外臨床第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験であるCELESTIAL試験、ならびに日本人における有効性および安全性を検討した国内臨床第2相非盲検単群試験であるCabozantinib-2003試験の結果に基づくものです。

Cabozantinib-2003試験の治験参加施設の責任医師である杏林大学医学部腫瘍内科学教室 教授 古瀬純司医師は、「肝細胞癌の進行期では効果的な治療選択肢が限られており、アンメットニーズが高い疾患領域の一つです。カボメティクスは、腫瘍の増殖、転移・浸潤や治療抵抗性獲得などに関与する血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)、MET、AXLなどの受容体のチロシンキナーゼ活性を阻害することで抗腫瘍効果を発揮する新規治療薬です。がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌に対する新たな治療オプションとして期待しています」と述べています。

当社の日本オンコロジー事業部長の堀井貴史は、「カボメティクスは、欧米等で既に進行性腎細胞がんの治療およびソラフェニブ治療後の肝細胞癌の治療の適応で承認され、豊富なエビデンスを有しております。今年5月から日本においても腎細胞がん治療に寄与しているカボメティクスを、このたび、肝細胞癌の患者さんにおいても新たな治療選択肢として提供できることを嬉しく思います。当社は、患者さんにより良い日常生活を送っていただくこと、また医療関係者の方々に必要とされる新しい治療オプションをお届けすることに引き続き努めてまいります」と述べています。

カボメティクスは、Exelixis, Inc.によって創出され開発が進められた薬剤です。日本においては、2017年1月に当社と開発提携および独占的販売権に関する契約を締結しました。本剤は、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対する治療薬として、2020年3月、厚生労働省より製造販売承認を取得し、同年5月に日本で発売されました。また、2020年5月にがん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌に対する治療薬として製造販売承認事項一部変更承認申請を行い、同年10月にはオプジーボ®(一般名:ニボルマブ、以下、オプジーボ)点滴静注とカボメティクスの、根治切除不能又は転移性腎細胞がんを対象とした併用療法に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行っています。

以上

 <肝細胞癌について>
日本では、1990年代後半以降肝臓がん(肝細胞癌や悪性リンパ腫などの肝臓で発生するがん)の罹患率は減少傾向となっていますが、世界的にみて依然として罹患率が高い傾向にあります1。2019年の国内の肝臓がんの罹患数は推定37,400人と報告されています。肝臓がんの発生率は70代までは年齢とともに上昇する傾向にあります。肝臓がんは男性に多く、男性における発生率は女性の2倍を超えています。今回の申請の対象である肝細胞癌は、肝臓がんの90%を占めています2

<カボメティクスについて>
カボメティクスは、米国において進行性腎細胞がんの治療およびソラフェニブ治療後の肝細胞癌の治療の適応で承認されています。また、カボメティクスはEUやその他の国および地域においても承認されています。日本においては、カボメティクス®錠20 mg、同60 mgの製品名で、根治切除不能又は転移性の腎細胞癌に対する治療薬として、2020年3月、厚生労働省より製造販売承認を取得し、同年5月に発売されました。また、2020年5月にがん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌に対する治療薬として製造販売承認申請を行い、同年10月にはオプジーボとカボメティクスの、根治切除不能又は転移性腎細胞がんを対象とした併用療法に係る製造販売承認事項一部変更承認申請を行っています。

<CELESTIAL試験について>
本試験は、ソラフェニブによる投与歴を有し、抗がん剤による全身治療後に増悪した進行性肝細胞癌患者(707例)を対象に、本剤60 mgを1日1回連日投与した海外臨床第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験です。本試験(本剤群470例、プラセボ群237例)は、2回目の中間解析の結果、有効中止となり、主要評価項目である全生存期間(OS)の中央値は、本剤群で10.2ヵ月、プラセボ群で8.0ヵ月であり、層別因子で調整したハザード比(HR)は0.76[95%CI:0.63~0.92、P=0.0049(層別ログランク検定)]でした。

<Cabozantinib-2003試験について>
本試験は、がん化学療法による治療歴を有する日本人進行性肝細胞癌患者(34例)を対象に、本剤60 mgを1日1回連日投与した国内臨床第2相試験です。

<注意事項>
本文書に記載されている医薬品情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません


1WHO Global Cancer Observatory 2018 Cancer Fact Sheets All Cancers
2国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」