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ミダゾラム(口腔用液)の日本における製造販売承認申請について

2020年2月28日

当社は、このたび、ミダゾラム(口腔用液)(開発コード:SHP615、以下「本剤」)について、てんかん重積状態の治療剤として、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。

今回の申請は、けいれん性てんかん重積状態を発症した 18 歳未満の患者さんに対して本剤を頬粘膜投与した2つの国内第3相多施設共同介入非無作為化非盲検試験(NCT03336645およびNCT03336450)の結果などに基づくものです。これらの試験において、本剤の有効性が認められ、安全性に大きな問題はありませんでした。

当社の日本開発センター所長である廣田直美は「てんかん重積状態は、迅速な治療を行わない場合、長期的な後遺障害に至ることもあります。本剤の開発にあたり、ご協力いただいた患者さん、医師の方々に感謝するとともに、頬粘膜投与の本剤を、緊急を要する治療において利便性および即効性を有する新たな治療オプションとして日本の患者さんにお届けできる日を心待ちにしています」と述べています。

<てんかん重積状態について>
てんかん発作とは、同時に発生した脳ニューロンの異常な過剰発射に由来する一過性の徴候および/または症状と定義されています。てんかん発作が持続する場合や連続して発生する場合、文字通り発作の連続状態を意味するてんかん重積状態の危険性が高まります。国際抗てんかん連盟(ILAE)はてんかん重積状態を「発作がある程度の長さ以上に続くか、短い発作でも反復し、その間の意識の回復がないもの」と定義しており、発作が5分以上持続する場合、速やかに治療を開始する必要があるとしています。初発てんかん重積状態の年間発症率は小児人口10万あたり42人であり、日本の0~17歳人口から推計すると、年間約8,000人の初発てんかん重積患者が存在すると推定されます。

<本剤について>
ミダゾラムは、合成イミダゾベンゾジアゼピン誘導体であり、催眠、鎮静、麻酔、抗不安などの作用に加え、抗けいれん作用を有しています。速効性があり、持続静脈内投与も可能であることから、多くのてんかん重積状態の患者さんに使用されていましたが、2014年に静脈投与によるてんかん重積状態に対する治療薬として承認されました(他社製品)。

また、海外において、ミダゾラム頬粘膜投与は既に非静脈経路の薬剤として広く使用されており、米国てんかん学会およびならびに英国NICEのガイドラインにおいても、小児てんかん重積状態初期治療における推奨薬剤の一つとして記載されています。

本剤は、てんかん重積状態を発症した患者さんに対する頬粘膜投与用プレフィルドシリンジ製剤であり、医療機関内外で使用できる薬剤として、BUCCOLAM®の製品名で、EU加盟27カ国、イギリスなど33カ国で承認されています(2020年2月現在)。日本では、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での協議を踏まえ、てんかん重積状態の治療薬として開発を進めてまいりました。なお、本剤は本年2月13日付で、厚生労働省より「てんかん重積状態」を対象として希少疾病用医薬品に指定されています。

<注意事項>
本文書に記載されている医薬品情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。

以上

※出典:Nishiyama I, et al. An epidemiological study of children with status epilepticus in Okayama, Japan:Incidence, etiologies,and outcomes. Epilepsy Res 2011; 96:89-95.