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ポリオ根絶に向けた試験の新たな標準への道 | 武田薬品

ピペットを使ってマルチウェルプレートに液体を移す実験室の作業員。

ポリオ根絶に向けた試験の新たな標準への道

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2026年10月2日

血漿分画製剤の品質管理試験に使用するポリオウイルス株を、新しいより安全な代替株へ移行することで、ポリオの再流行リスクの低減に貢献します。

何世紀も前から存在する疾患の根絶に向けて貢献できるチャンスなど、研究者であってもそう手にできるものではありません。しかし、ウィーンを拠点とする私たちのグローバル パソジェン セイフティ チームは、それを現実のものとしました。 一部の血漿分画製剤の品質管理試験で使用が求められていた野生株ポリオウイルス(WPV)を、より安全性に配慮されていて、規制要件に準拠した代替株に置き換えたのです。

安全性に配慮された新しいS19ポリオウイルス株をこの試験で使用することを米国食品医薬品局(FDA)が承認したことで、タケダは保有していたWPV株のすべてを安全に処分することが可能となりました。研究室内のWPVを封じ込め、最終的に排除すること。それは、ワクチン投与や監視活動と並び、ポリオの完全なる根絶を実現するために長年掲げられてきた重要な目標の一つだったのです。

ビルギット・プロハツカ、オーストリア保健・食品安全局(AGES)のオーストリア国立ポリオウイルス基準センター長

ビルギット・プロハツカ、オーストリア保健・食品安全局(AGES)のオーストリア国立ポリオウイルス基準センター長

ウィーンにあるオーストリア保健・食品安全局(AGES)のオーストリア国立ポリオウイルス基準センター長であり、国のポリオ封じ込めコーディネーターも務めるビルギット・プロハツカさんは、タケダの成果の重要性を強調します。「S19に切り替えるとともに、残りのWPV株を廃棄したことは、大きな意義があります。WPVは、ポリオの再流行を引き起こし得る最大のリスク要因だからです。S19であれば、研究室でのアクシデントによる感染リスクは大幅に低くなり、ウイルスが環境中に定着したり、さらに広がってしまう可能性も大きく減らせます」

「すばらしい取り組みで卓越した成果を挙げたタケダの皆さんに、お祝いの言葉を贈ります」

タケダのグローバル パソジェン セイフティのグローバルヘッドであるトーマス・R・クレイルは、今回の切り替えが単なるプロセスの変更というだけでなく、重要な意味を持つと指摘します。「ポリオウイルスを世界的に根絶しようという試みは、おそらく史上最大規模の公衆衛生上の取り組みと言えるでしょう」と話します。

「熱意と高度な専門性を持つ私たちのチームにとって、この取り組みに意義ある形で貢献できることは、個人としても、またプロフェッショナルとしても、非常にやりがいを感じます。リスクの高い病原体を研究施設から排除することは、そこで働く人々と地域社会を守ることにつながります。それは、タケダがリーダーシップを発揮して科学に基づくリスク削減に臨む姿勢を反映しているとともに、血漿分画製剤業界に1つの先例を打ち立てる取り組みでもあります」

協働の力で挑む、WPV根絶への課題


トーマス・R・クレイル、タケダ  パソジェン セイフティ グローバルヘッド

トーマス・R・クレイル、タケダ パソジェン セイフティ グローバルヘッド

ポリオウイルス感染症(ポリオ)は、主に5歳未満の幼児が罹患する非常に感染力の高いウイルス性疾患です。このウイルスは人から人へと感染し、腸内で増殖します。その後、神経系に侵入して麻痺を引き起こすことがあります1。

世界保健機関(WHO)と、各国政府や国際保健機関などが参画する世界ポリオ根絶イニシアティブ(GPEI)Go to https://polioeradication.org/の主導のもと、世界のポリオ症例数は1988年以降99%以上減少しました。2022年現在、WPVの感染が継続しているのはアフガニスタンとパキスタンの2カ国のみとなっています1。

とはいえ、規制当局が一部の血漿分画製剤の品質管理試験で感染性のあるWPVの使用を求めている限り、ポリオの完全な根絶は極めて困難でした。

この課題を克服しようとする上で鍵となったのが、協働によって生み出された対応策でした。私たちは、英国国立生物学的製剤標準研究所(NIBSC)が開発した新しいS19株の評価と適格性確認を実施しました2。NIBSCとの緊密な連携を通じて、S19株が遺伝的に安定しており、安全性の観点からも良好な特性を示すこと、ウイルス中和試験でもWPVと同等の性能を発揮することを確認しました3。

この研究は2018年に発表され3、規制当局がWPVの代替株としてS19を受け入れるための基盤を築きました。この知見は、2026年初頭に米国疾病予防管理センターによって確認されています4。

米国FDAの承認を受け、私たちは2026年3月11日にS19への移行を完了し、5月初旬までに保有していた残りのWPVを安全に処分しました。

「ポリオウイルスを世界的に根絶しようという試みは、おそらく史上最大規模の公衆衛生上の取り組みと言えるでしょう。熱意と高度な専門性を持つ私たちのチームにとって、この取り組みに意義ある形で貢献できることは、個人としても、またプロフェッショナルとしても、非常にやりがいを感じます。」

トーマス・R・クレイル、タケダ パソジェン セイフティ グローバルヘッド

タケダで血漿分画製剤のグローバル薬事部門責任者を務めるベアトリス・ビーブイックは、S19ポリオ代替株のFDA申請と、米国連邦規則集(CFR)で規定される免疫グロブリン製剤の出荷時試験で使用するポリオウイルス株をWPVからS19へ切り替えるためのFDA承認取得を担当する薬事チームを率いています。「複雑なプロセスでした」と、ベアトリスは振り返ります。「何十年も適用されてきた法定の力価要件を、新しい科学的アプローチで、元の基準を引き下げることなく満たさなければならなかったのです」

さらに次のように続けました。「より安全なS19株を用いても、従来のWPVを用いた試験と同等の結果が得られること、抗体力価のわずかな低下を検出する能力が維持されること、そして集団免疫の変化が生じても長期的に信頼できる試験法であり続けることを、膨大な比較同等性データによって証明しなければなりませんでした。」

「この試験は製品の出荷判定と患者さんの安全に直結するため、FDAは安全性が完全に維持されていることを確認する目的で、極めて厳格な審査を行いました。その結果、私たちは業務からWPVを排除すると同時に、 CFRへの完全な準拠を維持しながら、生物学的安全性と封じ込め対策をさらに強化することができました。また、この取り組みは、製品固有の科学的根拠に基づく規制上の先例を築くことにもつながりました。」

血漿分画製剤の試験で使用していたWPVをS19に変更したことは、一見すると小さな変化かもしれません。しかし、古代エジプトの時代から人類を脅かしてきたポリオの根絶に向けた闘いにおいては、極めて重要な前進となりました5。トーマス・R・クレイルが指摘する通り、これはタケダにとっても新たな節目となりました。

「私たちは240年以上にわたり、患者さんのニーズにお応えし、公衆衛生の向上に貢献してきました」と、トーマスは言います。「今回の成果は、その誇るべき歴史を受け継ぐ新たな一歩です」

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The Global Pathogen Safety lab in Vienna, Austria

出典


  1. Poliomyelitis (polio); The World Health Organization: https://www.who.int/health-topics/poliomyelitis#tab=tab_1Go to https://www.who.int/health-topics/poliomyelitis#tab=tab_1
  2. Knowlson S, Burlison J, Giles E, Fox H, Macadam AJ, Minor PD. New strains intended for the production of inactivated polio vaccine at low-containment after eradication. 2015. PLoS Pathog. 11(12):e1005316. doi/10.1371/journal.ppat.1005316Go to https://doi.org/10.1371/journal.ppat.1005316
  3. Farcet MR, Modrof J, Rabel PO, Schirmer A, Macadam AJ, Fox H, Minor PD, Kreil TR. Continued use of poliovirus after eradication: hyper-attenuated strains as a safe alternative for release testing of human immunoglobulins. 2018. Transfusion 58 (S3), 3084-89. doi/10.1111/trf.15048
  4. Wiese N, Hendley W, Jafri B, Jones KAV, Sifontes G, Valdez S, Zhang Y, Mainou BA. Evaluation of hyper-attenuated S19 poliovirus strains for use in poliovirus neutralization assays. 2026. PLoS One 21(2):e0343816. doi/10.1371/journal.pone.0343816Go to https://doi.org/10.1371/journal.pone.0343816
  5. History of Polio; Global Polio Eradication Initiative: https://polioeradication.org/about-polio/history-of-polio/Go to https://polioeradication.org/about-polio/history-of-polio/

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