乾癬の重症度分類において生活の質(QOL)をどう反映するか | 武田薬品
乾癬の重症度分類において生活の質(QOL)をどう反映するか
写真提供:IFPAプロジェクト「All the colors we are」(2026年1月/International Federation of Psoriasis Associations、スウェーデン・ストックホルム)
本記事では、実際の患者さんの体験談を紹介しています。本内容は、疾患に対する理解を深めることのみを目的として公開されています。患者さんごとに体験や感じ方は異なる場合があります。治療に関する助言については、医療従事者にご相談ください。
本記事はタケダが作成しました。発言者は、取材への協力に対してタケダから謝礼を受けています。
乾癬は、免疫の働きが関与して炎症が生じる慢性的な疾患です。皮膚に、変色してうろこ状に盛り上がった局面型の皮疹が現れ、強いかゆみや灼熱感を伴うことがあります1-4。
ただ、乾癬は皮膚の症状だけではありません。生活のさまざまな面に影響し、精神的な不調や、心臓病、糖尿病といった重い合併症とも関連しています5。
では、乾癬の「重症」とは、何をもって定義するのでしょう。そして、この疾患の重症度を分類する上で、患者さんの生活の質(QOL)はどのように考慮されているのでしょうか。
「乾癬に対する私たちの理解は進化してきています。現在では、体表面積を用いた従来の評価方法だけでなく、患者さんの感じ方を重視した考え方で疾患の重症度を捉えるようになっています」と、認定皮膚科専門医で、タケダのグローバルメディカルユニット皮膚科領域責任者であるウォーレン・ウィンケルマン博士は話します。「一方で、こうした新たな考え方を日常診療に取り入れ、すべての患者さんにとってより良い状態につなげていくためには、まだ課題も残されています」
疾患重症度の分類
疾患重症度の分類は、医師が患者さんに必要な治療方針を決定する際の参考指標として用いられます。しかし、米国で行われた乾癬患者さんへの調査において、注目すべき知見が得られました。米国乾癬財団が2019年から2021年にかけて4,000人以上の患者さんを対象に実施した調査では、軽症と分類された患者さんの半数近くが、QOLに大きな影響があったと回答したのです6。
「患者さんの疾患をどのように評価し、管理していくかを検討する際には、QOLもあわせて考慮することが重要です。患者さんが、ご自身の疾患による身体的・精神的な影響について、気兼ねなく医療従事者と話し合える環境が大切だと考えています」
米国で一般的に用いられている従来の乾癬の重症度分類では、主に体表面積(BSA)を用いて重症度を評価します。皮疹の体表面積が小さい場合、通常は軽症と評価されます。しかし、手、足、爪、頭皮、陰部など、生活への影響の大きい難治部位に乾癬の症状が現れると、患者さんの精神的な負担は大きくなり得ます。持続的なかゆみも、QOLに影響を与える重要な要因の一つです。こうした症状は、BSAの数値が小さくても、より高い疾患負担を示す場合があり、全身療法での治療の検討につながることもあります6,7。
グローバルメディカルユニットの皮膚科領域責任者 ウォーレン・ウィンケルマン医学博士
乾癬が日常生活に及ぼす影響
皮疹面積が小さくても、特に社会生活に大きく関わる難治部位に生じると、日常の活動に支障をきたし、QOLに影響を及ぼす可能性があります6。
例えば、タキエヤさんはモデルとしてのキャリアを目指していましたが、皮疹が急速に頭皮に生じ、深刻な脱毛を経験しました。厚く痛みを伴う皮疹はその後、顔などの人目に付く部位にも広がっていきました。彼女はモデルの仕事を離れ、ファストフード業界で働き始めましたが、外見に対する否定的な反応を受け、最終的にはその仕事も辞めることになったといいます。「乾癬の症状がでてきてから、人目を避けるようになりました」と彼女は振り返ります。
ウィンケルマン博士は、タキエヤさんのように目立つ部位に乾癬が現れる場合、QOLへの影響が大きくなり得ると指摘します。「こうした背景から、臨床医がより包括的に乾癬の重症度を評価し、そして何より、最も適切な治療・管理方針を判断できるよう、新たなエビデンスに基づくコンセンサスステートメント(専門家の合意に基づく、その時点での臨床的見解)が策定されました」と話します。
疾患重症度の定義を見直す
国際乾癬協会、米国乾癬財団、米国皮膚科学会は、乾癬がもたらす疾病負荷をより反映できるよう、疾患重症度の定義の見直しと標準化に向けて取り組んでいます。欧州や世界各国で既に使われている疾患分類基準では、乾癬が患者さん一人ひとりに及ぼす影響を、より包括的に捉えることが重視されています7。
「私たちは、乾癬とともに生きることが、特に患者さんのQOLにどのような影響を与えるのかを十分に理解するとともに、患者さんがどのような支援を求めているのかを把握することに力を注いでいます」とウィンケルマン博士は言います。
「こうした重症度分類の新たな考え方は、患者さんの視点からどの要因が大きな影響を及ぼすのかを浮き彫りにすることで、乾癬診療に携わる医療従事者が治療効果を測定する方法を変える一助となるでしょう。」
タキエヤさんが経験した、「乾癬とともに歩んだ道」を動画でご覧ください。
本情報の公開時点でタケダには、乾癬の治療を目的として承認された製品はありません。
出典
- Dhabale A, Nagpure S. Types of psoriasis and their effects on the immune system. Cureus. 2022 Sep 24;14(9):e29536. doi: 10.7759/cureus.29536.
- Gkini MA, Nakamura M, Alexis AF, et al. Psoriasis in People With Skin of Color: An Evidence-Based Update. Int J Dermatol. 2025;64(4):667-677. doi:10.1111/ijd.17651
- Taliercio VL, Snyder AM, Webber LB, et al. The Disruptiveness of Itchiness from Psoriasis: A Qualitative Study of the Impact of a Single Symptom on Quality of Life. J Clin Aesthet Dermatol. 2021;14(6):42-48.
- Snyder AM, Taliercio VL, Webber LB, et al. The Role of Pain in the Lives of Patients with Psoriasis: A qualitative study on an inadequately addressed symptom. J Psoriasis Psoriatic Arthritis. 2022;7(1):29-34. doi:10.1177/24755303211
- Daugaard C, Iversen L, Hjuler KF. Comorbidity in Adult Psoriasis: Considerations for the Clinician. Psoriasis (Auckl). 2022;12:139-150. Published 2022 Jun 10. doi:10.2147/PTT.S328572.
- Blauvelt A, Gondo GC, Bell S, et al. Psoriasis involving special areas is associated with worse quality of life, depression, and limitations in the ability to participate in social roles and activities. J Psoriasis Psoriatic Arthritis. 2023;8(3):100-106. doi:10.1177/24755303231160683
- Strober B, Duffin KC, Lebwohl M, et al. Impact of psoriasis disease severity and special area involvement on patient-reported outcomes in the real world: an analysis from the CorEvitas psoriasis registry. J Dermatolog Treat. 2024;35(1):2287401. doi:10.1080/09546634.2023.2287401
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