チーフフィナンシャルオフィサー(CFO)からのメッセージ | タケダ2026年統合報告書
チーフフィナンシャルオフィサー(CFO)からのメッセージ
ステークホルダーの皆様へ
2025年度は、当社にとって重要な転換点となる一年でした。代表取締役社長CEOからのメッセージにもあるとおり、当社は、後期開発パイプラインにおいて着実な進展を遂げるとともに、将来の成長を支える新製品上市に向けた準備や、デジタル技術の活用を含む組織能力の強化に取り組んでまいりました。規律ある事業運営と財務管理のもと、これらの取り組みを持続的な成長の実現へ着実に結びつけてまいります。
当社は、株主の皆様にとっての価値創出を示す重要な指標として株主総利回り(TSR)を一層重視し、長期的な業績成長の実現と、安定的な株主還元の確保に取り組んでまいります。過去数年間、研究開発パイプラインの再構築や開発・上市能力の強化は大きく進展したものの、これらの成果は、近年の独占販売期間満了による大幅なマイナス影響も相まって、まだ財務収益として顕在化していません。そのため、当社のTSRも安定的かつ強い現金創出力と、それを原資とした累進配当によって支えられてきましたが、持続的なTSR向上のためには、累進配当の方針を維持しつつ、確実に利益成長を実現することが不可欠です。こうした利益成長は、売上収益の拡大、利益率の改善、そして資本コストを上回るリターンが見込まれる機会への再投資を通じて実現していきます。
このような方針のもと、当社は「Horizon 1」および「Horizon 2」という時間軸に基づき、事業および財務上の優先事項を推進しています。短期的に強固な成長基盤を構築し、その上で中長期的な成長の加速を目指します。
Horizon 1は、コスト構造の再構築を進めながら、次のHorizon 2での成長加速につながる明確な成果の創出に注力する、基盤構築と変革のフェーズです。この期間においては、新製品の上市、後期開発パイプラインのさらなる進展、そしてデジタル技術を活用した組織能力の強化に重点的に投資します。この段階における最優先事項は、財務の健全性を維持しながらも、これらの取り組みへの投資を着実に実行することです。そのために、規律ある投資判断、業務プロセスや働き方の最適化、ならびに先進的なデジタル技術の活用を通じて、Core営業利益への影響を最小限にとどめながら必要な資源を確保してまいります。
また、この期間には、主に償却費および事業構造再編費用の減少により、財務ベース営業利益の改善を見込みます。自己資本利益率(ROE)を5%以上へ回復させることは、累進配当の方針を持続する上で重要なマイルストンであるとともに、中長期的な資本効率指標の改善に向けた道筋を示すものです。
当社の強い現金創出力により、負債返済や株主還元といった財務コミットメントを果たしながら、この変革期においても継続的な投資を可能とする柔軟性を確保します。この成長段階における厳格な財務規律は、中長期的な成長の加速による価値創出のための基盤を構築する上で不可欠です。
これら2つのHorizonを通じて一貫しているのは、成長に向けた再投資、株主還元、そして健全なバランスシートの維持を実現する規律を持った資本配分であり、これにより、短期的な業績改善と長期的な企業価値創出の双方を目指します。
なお、AMITIZA®(ルビプロストン)に関する反トラスト訴訟に係る米国の陪審評決を受け、当社は関連する訴訟引当金を後発事象として反映し、2025年度の連結財務諸表を修正いたしました。しかしながら、当社は評決後の各種申立ておよび控訴を行う予定であり、当社の事業戦略、成長モメンタムおよび株主還元に関する基本的な方針に変更はありません。
当社の継続的な投資と、その先にあるイノベーション、そして企業理念の実現に向けた歩みを支えてくださるすべてのステークホルダーの皆様の変わらぬご信頼とご支援に、深く感謝申し上げます。
古田 未来乃
取締役 チーフ フィナンシャル オフィサー