患者さんの治療を大きく変えたい

臨床開発部門で、特定の医薬品開発を通していかに患者さんに貢献できるかを調査する役割を担っています。具体的には薬の承認を得るために臨床試験の計画を組んだり、承認を得た薬については、さらに多くの価値を患者さんへ提供できないか検討しています。


私は希少疾患を担当しており、この3年間は「副甲状腺機能低下症」のホルモン剤の開発に取り組んできました。この疾患は、副甲状腺ホルモンの分泌低下によって生じるもので、非常に珍しく、患者さんの統計的数値も正確には把握できておらず、アンメットメディカルニーズが高いと想定されています。

私は以前、医師として働いていました。10年間の医師経験から、新たな治療方法が有する大きな影響を十分に理解しています。慢性疾患治療は長期に渡り、患者さんにとって病気に立ち向かうことがいかに大変か、症状すべてを薬で軽減することがいかに難しいかを実感しました。ところが、有効な治療方法が生まれると患者さんの生活は一変するのです。

長い間、超希少疾患は注目されずに放置された疾患でした。だからこそ、今この時点で私たちが有効な治療薬を開発できたとしたら、治療も大きく変わり、患者さんの生活を根本的に好転することができると思うのです。



医師から臨床開発担当者へ

医師から転身し臨床開発のチームに加わったのは、1型糖尿病のプロジェクトに参加したことがきっかけでした。ある小さな会社と協働する機会があったのですが、最高経営責任者やチームの人達と関係を築くうちに、患者さんを助けたいという熱意、誠実さ、献身に心打たれたのです。そして、臨床試験をデザインする側に立てば、私の科学知識や患者さんのニーズを応用でき、結果として自分の仕事がより多くの人々に届くのではないかと考えました。またこの転身は、より専門的になりつつある医師のキャリアパスを、再び医学領域全般に拡げてくれると思いました。

製薬業界に携わって3年が経ち、診察のように直接患者さんの話を見聞きすることはなくなりましたが、医師や医療従事者経ちから私たちが行っている仕事の影響を聞くことがあります。時には患者さんと直接お会いすることもあります。最近あったシンクタンクのイベントでは、患者さんの父親が私のところに来て、ただ「ありがとう。あなたがしていることに感謝します」と言ってくれました。

多様なチームで共通の目標を目指す

チームの一員であることも楽しんでいます。医療現場では医師、看護師、ソーシャルワーカー、栄養士が共に、患者さんのケアに専念しています。ここでは、同じようなチームワークの下、クリニカルオペレーション 、統計解析、薬理、薬事、データマネジメント、コンプライアンス、デバイスおよびプロダクト・サプライ、医薬品安全性チームや事業部など、それぞれ違った役割を持つメンバーがチームとして取り組んでいます。患者さんのニーズを特定、フォーカスし、自社製品について考え、どうしたら一番、患者さんを安全かつ有効に助けることができるかを決定する。全員で協力しているという強い感覚があります。

シャイアー社がタケダに統合されてからは、このことをより一層強く感じるようになりました。200年以上、製薬に携わってきたタケダでは、大きな視点、長期的なビジョンを持つことができます。才能とエネルギー溢れるチーム、非常にオープンでたくさんのコミュニケーションがとれる風土。「これならできるだろう」ではなく「これをやってみよう!」と考えさせる、社員を勇気づける文化があります。同時に、より将来的な思考をもつよう促されるため、仕事に対して大胆に、ビジョンをもって取り組むことができます。

素晴らしい才能、想像力、大胆な考え、そして5年、10年、20年後にどうなっていたいかを問うビジョン……私はこれらが、患者さんの生活を大きく変える「革新的な飛躍」に最も大切だと考えています。そしてここには、その全てがあります。

座右の銘 「古人の跡を求めず 古人の求めたるところを求めよ」

医学には、何世紀もの間に構築された非常に多くのエビデンスがあります。医師は患者さんを治療するため、これらを使いこなせるよう習得しますが、一生をかけても学びきれないほどの量があります。この言葉は、誰かが歩んだ道のりそのものを真似るのではなく、科学的発見の追求に集中するよう私に教えてくれます。医学の問題の解決に、大胆で革新的なアプローチを追求するように、と。


ニコール・シェリー

ボストン勤務。小児内分泌学分野の医師としてボストンのマサチューセッツ総合病院で10年間勤務した後、製薬業界に転職。現在は、タケダのグローバル臨床開発の責任者として希少疾患を担当。患者さんの治療変革のため大胆な目標を追求する、有能なチームとの仕事を楽しんでいる。