医薬品海上輸送の持続可能性に挑む船出 | 武田薬品
医薬品海上輸送の持続可能性に挑む船出
私たちはVELA Transport社の風力三胴船で自社医薬品を輸送する初のバイオ医薬品企業として、環境に配慮したイノベーションを先導しています。
大西洋を横断しての貨物輸送と聞くと、大型の貨物船や航空機が頭に浮かぶかもしれません。では、まったく異なる光景を想像してみてください。3船体を横並びにつないだ三胴船が、海上において100%風力で航行するのです。
それが、私たちとVELA Transport社(VELA社)が先駆的な提携を結んで実施する輸送の形で、2026年後半から、特定の製品をVELA社の貨物用帆走三胴船で輸送する予定です。これにより、輸送に伴う温室効果ガス排出量を航空輸送比で最大99%、コンテナ船比で最大90%削減します¹。
「私たちは、医薬品の安全でタイムリーかつ環境的に持続可能な輸送に継続的にコミットしています。その一環として、新しい物流手段の可能性を探るとともに、既存の輸送方法の最適化に取り組んでいます」と、タケダのエンバイロンメント&サステナビリティ グローバルヘッドであるジョハンナ・ジョビンは話します。
さらにジョハンナは「こうした幅広い取り組みの中でも、VELA社の三胴船は、新規性があり先進的で、将来性も期待できるソリューションという点で際立っています」とし、次のように続けました。「VELA社と提携する最初のバイオ医薬品企業として、私たちは、慎重な取り扱いが求められる医薬品を風力による海上輸送で運ぶという、業界にとっても新たな道を切り開こうとしています。今回の取り組みは、超低排出での製品輸送を実現するだけでなく、業界においてサプライチェーンの脱炭素化を後押しする航路を示すことにもなります」
医薬品の厳しい規制要件を遵守しつつ、品質と安全性を確保して輸送するため、私たちとVELA社は緊密に連携しながら必要な技術を三胴船に搭載しています。船舶には、医薬品の適正流通基準(GDP)といった業界基準に準拠し、船上で発電された再生可能エネルギーによって稼働する温度管理可能な冷蔵システムも搭載されます。
「今回の取り組みは、超低排出での製品輸送を実現するだけでなく、業界においてサプライチェーンの脱炭素化を後押しする航路を示すことにもなります」
未踏の海に航路を示す
私たちは、未踏の海を切り開くように製薬業界の先頭に立って新しい試みに挑むことで、他の企業も風力推進船舶による海上輸送の取り組みに参加できるよう後押しすることを目指しています。
VELA社のピエール=アルノー・バロンCEOもこれに賛同し、次のように語ります。「人生を豊かにする医薬品を、風の力だけで大西洋を越えて運ぶことは、サステナブルな事業が何を達成できるかを示す説得力の高い実例です。私たちは力を合わせて、効率的でサステナブルかつ安全性に優れ、変化や不確実性に強い海上輸送の新しい標準をつくり上げていきます」
ニューヨーク市で開催されたクライメート・ウィーク2025のメインステージイベント「Nest Climate Campus」で、タケダとVELA社との提携が紹介されました。
環境サステナビリティと卓越したオペレーションの両立
VELA社の三胴船は、従来の航空輸送やコンテナ船による海上輸送と比べ、より環境に配慮した形で大西洋横断が可能です。また、気候変動に配慮していると同時に、スピード、信頼性、柔軟性、効率性といった特徴も兼ね備え、コスト面でも私たちの現行の輸送方法と同程度です。
タケダのグローバル ディストリビューション&ロジスティクスヘッドのザビエル・バヴィルは次のように説明します。「このパートナーシップはまさに、地球、患者さん、私たちの事業の三方が利益を得るウィン・ウィン・ウィンの好例で、創業者の武田長兵衞が大切にしていた『売り手よし、買い手よし、世間よし』という精神を体現しています。この精神は240年にわたり私たちのDNAとして息づいてきました。そして次の240年も、それ以降も、私たちの中で受け継がれていくことでしょう」
VELA社の三胴船を使用した医薬品輸送のメリット
- VELA社の三胴船は、海上では100%風力で航行する設計のため²、航空輸送比で最大99%、コンテナ船比で最大90%、輸送に伴う温室効果ガス排出量を削減します¹。
- VELA社は、オフショアレーシング技術、直行航路、そして混雑を避け待ち時間を減らせる小規模な港を使用できる柔軟性を生かし、コンテナ船よりも短い15日以内での大西洋横断を目指しています。
- 従来の海上輸送で使用される大型コンテナは、貨物量が少ない場合の柔軟性に限りがあり、部分的に空きがある状態で輸送されることもありますが、三胴船の場合、より柔軟な輸送が可能です。
- VELA社の三胴船には、製品の追跡が可能な先進的な技術が採用されています。
- VELA社の三胴船は貨物機と比べ5倍の積載能力を備えながら、温室効果ガス排出量とコストは低く抑えられます。
- VELA社の三胴船は、水バラストを使用しない世界で唯一の貨物帆船となる予定です。水バラストは異なる生態系に外来種を運ぶ可能性がありますが、この設計では外洋に水を排出する必要がなく、海洋生物の多様性への影響を低減できます。
地球の健康と人々の健康の結びつき
地球の健康と人々の健康は深く結びついています。2000年以降、避けられたはずの死亡400万例以上が気候変動に起因するとされています³。温室効果ガスは人々の健康に負の影響を与え得るにもかかわらず、世界全体で見るとその最大5%がヘルスケア業界から排出されています⁴。
ザビエルは行動を起こすよう呼びかけます。「製薬業界には排出量を減らしていく責任があります。地球の健康は、私たちの業界の使命の中核である人々の健康に深くかかわっているのですから」
医薬品の厳しい規制要件を遵守しつつ、品質と安全性を確保して輸送するため、私たちとVELA社は緊密に連携しながら必要な技術を三胴船に搭載しています。
私たちはこの責任を認識し、あらゆる事業活動に持続可能性の側面を組み込んでいます。VELA社との提携もその一例です。他にも、バリューチェーン全体での排出量、淡水取水量、廃棄物の削減に向け、先進的かつ課題解決志向で実践的な提携や協働を推進しています。以下にその例をご紹介します。
- 廃水リサイクル:ベルギーのレシーヌ工場では、Ekopak社が設計した先進的な廃水リサイクルシステムを活用しています。これにより、ベルギー国内で初の工場排水の90%を再利用する製薬工場となりました。この提携により、レシーヌ工場では、使用する水の量を1日あたり120万リットル(31万5,000ガロン以上)相当の60%、削減しています。私たちは、2027年までに世界全体で自社廃水の90%をリサイクルすることを目指しています。
- プラスチックリサイクル:ドイツのジンゲンにあるタケダのデング熱ワクチン製造拠点では、製造工程でバイアルの搬送に使用するプラスチック製のトレイをリサイクルするため、Schott Pharma社およびCorplex社と提携しました。この提携により、循環型の仕組みが構築され、排出量をトレイ1枚当たり最大50%削減しています。さらに、新しいトレイの製造に使用されるプラスチックの70%を、使用済みトレイから再生したプラスチックで賄えるようになりました。
- CO₂排出を大幅に抑えた蒸気発生方式で医薬品を製造:オーストリア、ウィーンの製造拠点では、オーストリア技術研究所(AIT)と連携して、生産工程で使う蒸気を化石燃料を使用せずに発生させる医薬品業界初の試みAHEAD(Advanced Heat Pump Demonstrator)プロジェクトを立ち上げました。(【プレスリリース】詳細はこちら)
- ヘルスケアバリューチェーン全体で取り組む排出量削減:私たちとボストン・メディカル・センターは、規制対象下の医療廃棄物の処理工程で発生するCO₂の削減に向けて、先進的で規模の拡大が可能な対応策を見つけるための、まったく新しい共同研究に乗り出しました。規制対象下の医療廃棄物には、医薬品の包装材料や使い捨てプラスチックなどがあり、これらは製薬業界が直面する最も難しい環境課題の1つです。(【プレスリリース】詳細はこちら)
サプライヤーとの連携がなぜそれほど重要なのか、ジョハンナは次のように説明します。「私たちは気候変動対策において、業界でもトップクラスの野心的な目標を掲げています。温室効果ガス排出量を2035年までに事業活動で、また2040年までにバリューチェーン全体で、ネットゼロにしようとしています。それは、私たちだけで達成できるものではありません。バリューチェーンの上流から下流まで、サプライヤーや他のさまざまな組織との協働のもと、有意義な形で排出量を削減していかなくてはなりません。こうした取り組みによって、私たちは業界に例を示すことができるのです」
脚注
- 現在のスコープは、ADEME(フランス環境・エネルギー管理庁)およびSmart Freight Centreによって定義されています。VELA社は、第三者機関による独立したライフサイクルアセスメント(LCA)を通じて、その環境影響を測定しました。採用された手法は、利用可能な中でも最も厳格なものの一つで、すべての排出を算定対象とし、気候への影響を明確かつ包括的に示します。この研究全体の結論として、VELA社は米国-欧州間の比較可能な航路において、他のいかなる輸送手段よりも気候への影響が最も低いことが示されました。
- 船が海上で帆走している間、VELAは排出ゼロで推進を行います。港内では、主に電力(バッテリー、太陽光、水力発電由来)を使用し、バックアップとして船舶用ディーゼルを用いることで、すべての現地の海事規制を遵守します。
- Carlson, C.J. After millions of preventable deaths, climate change must be treated like a health emergency. Nature Medicine 30, 622 (2024). https://doi.org/10.1038/s41591-023-02765-y.
- Lenzen, Manfred et al. The environmental footprint of health care: a global assessment. The Lancet Planetary Health, Volume 4, Issue 7, e271 - e279 (2020). https://www.thelancet.com/journals/lanplh/article/PIIS2542-5196%2820%2930121-2/fulltext
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