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波及効果を生むメンターシップ:コミュニティを強くする力 | 武田薬品

三人の女性の科学者が研究所でほほ笑んでいる様子

波及効果を生むメンターシップ:コミュニティを強くする力

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2026年3月25日

本ストーリーは、WBUR(ボストン大学公共放送)の許可を得て再掲載しているものです。本ストーリーを再利用、複製、配布する場合は、WBURおよびタケダの書面による同意が必要です。


執筆:アンドリュー・プランプ(タケダ リサーチ&デベロップメント プレジデント)

科学界や製薬業界ではよく、人材育成の手段の一つとしてメンターシップを採用しています。実は、メンターシップの効果は人材育成に留まりません。私は幸運にも、キャリア形成を助けてくれただけでなく、考え方にも影響を及ぼしたメンターと出会うことができました。ロックフェラー大学のジャン・ブレスローは、静かで落ち着いた自信の大切さと、振り返ってじっくり考えることが柔軟な発想につながることを教えてくれました。スタンフォード大学の元学長で、現在はバイオテクノロジー企業のエグゼクティブを務める神経科学者のマーク・テシア=ラヴィーンは、私の科学者としての独立を応援してくれたと同時に、かけがえのない指導を与えてくれました。こうした出会いに助けられながら、私はキャリアの転換点を乗り越え、現在のリーダーとしてのあり方を形成してきたのです。

メンターシップは、好奇心を研ぎ澄まし、前提を疑い、能力を伸ばしながら互いに強く影響し合う交流です。夢を形にし、自信を育み、人と人とのつながりを築き、キャリアを刺激してくれるものでもあります。しかも、メンターシップが及ぼす力は研究室やオフィスの中だけに留まりません。

それは、社内だけでなくその先にあるコミュニティに向けて、公平性やイノベーション、影響を与える力だと、私たちは考えています。では、若手科学者や起業家がキャリアの重要な局面に立ったとき、メンターシップはどのように生きるのでしょう? また、科学、技術、工学、数学といった理工系分野に興味を持つ好奇心旺盛な学生に、すでにその道で成功を収めている先人を引き合わせると、どのような刺激を受けるのでしょう?

若手科学者やキャリア初期段階の人材をメンターシップによってサポートすることは、単にその個人に投資をするというだけではありません。それは、私たちのコミュニティの健全性を強化することにもつながります。そこで今回は、この取り組みをけん引している注目すべき人々やプログラムの一部を紹介するとともに、私たちがどのように職場の枠を越えてメンターシップを展開しているかをご紹介します。

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1992年:研究に取り組むロックフェラー大学のジャン・ブレスロー教授(右)と博士過程修了後のアソシエートとしてのアンドリュー・プランプ。この研究により、アテローム性動脈硬化症の遺伝子改変マウスモデルが初めて誕生し、この命に関わる疾患研究の大きな飛躍となりました。出典:ロックフェラー大学「Search」誌(1994年 vol.4, no.1)https://digitalcommons.rockefeller.edu/search_magazine/13/Go to https://digitalcommons.rockefeller.edu/search_magazine/13/

科学の未来のために


キャリア初期段階の科学者は、重要な局面でリソースや認知度が足りていないということがよくあります。大胆なアイディアでも、実際にその画期的な研究を実現するためのサポートを得るとなると、一筋縄ではいきません。

だからこそ、タケダがNatureと共にInnovators in Science AwardGo to https://www.nature.com/immersive/innovatorsinscience/index.htmlを再開したことを、私は心から誇りに思っています。このグローバルアワードは、タケダの主要疾患領域である消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、オンコロジー(がん)において、キャリアの初期段階にいる有望な研究者を表彰するものです。疾患の理解や治療のあり方を変え得る大胆なアイディアを携えた研究者に授与されます。

今年はこのプログラムにすばらしい進展がありました。最終選考に残った全員が、1年間のNature Masterclass Programに参加できることになったのです。参加者はこのプログラムを通じて、個別のメンタリングやコーチング、助成申請書の作成や研究の伝え方に関するトレーニングを受けることができます。科学分野のキャリアを飛躍させる上で、これらのスキルが役立つことはすでに証明されています。このように、評価と充実したサポートとを組み合わせることで、新進気鋭の研究者たちが次の科学的ブレークスルーを生み出すのに必要なツールや自信、人とのつながりを掴めるよう支援しています。

次世代への扉を開く


バイオテクノロジーやライフサイエンスの分野では、長年にわたり、構造的な壁が多様な人材の参画を制限してきました。特に、女性、有色人種、リソースの乏しい地域の学生がその影響を大きく受けています。といっても、才能ある人材が不足しているのではなく、リソースや機会へのアクセスが不足しているのです。しかし、メンターシップがこうした壁を打ち砕き、ライフサイエンスの次世代リーダーを力づけ、彼らがイノベーションを促進し、機会を広げ、すべての人々のより良い健康に寄与できるよう支援する光景を私は見てきました。

例えば、PhageProGo to https://www.phageproinc.com/の共同創業者であるミンミン・イェンCEOです。バイオテック企業の創業者としての彼女の歩みを見れば、起業がいかに孤独な道のりになり得るかがよく分かります。しかし、イェンCEOは、Massachusetts Life Sciences CenterのMassNextGenプログラムGo to https://www.masslifesciences.com/programs/massnextgen/を通じてメンターと仲間を見つけました。このプログラムは、少数派に属し十分な機会や支援を得にくい立場のライフサイエンスの起業家に、資金やコーチング、プロフェッショナルネットワークへの扉を提供するもので、タケダが支援しています。彼女はまた、すでに壁を打ち破り、後進が続く道をつくってくれた女性たちにも出会いました。 イェンCEOは「メンターシップは、特定のレベルに達したらそれで終わりというものではありません」と言います。「その後も好奇心と成長は必要ですし、その重要性はいっそう増していきます。なぜなら私たちの意思決定はより重要になり、責任はより大きくなり、私たちを取り巻くコミュニティを形成して強化していく力も大きくなっていくからです」

私たちは、Thrive ScholarsGo to https://www.thrivescholars.org/とも提携し、リソースの少ない学生が学術や職業の機会を得られるよう資金面で支援しています。タケダの主任研究員でメンターでもあるカーラ・モラレスをはじめ、チームメンバーの多くも、このメンターシップによる波及効果を目の当たりにしてきました。「学生たちはこの取り組みを通じて、自分たちが気にかけてもらえていること、そして誰もが何らかの苦労をしていることをあらためて実感しています。それは学術的な成功だけでなく、強く思いやりのあるコミュニティを形成していくことにつながります」と、カーラは言います。

波及効果を生むメンターシップ


キャリアや人生の成長において、メンターになったり、メンターを求めたりすることに、誰もがぜひ挑戦してほしいと思います。

私自身も、タケダのグローバル レギュラトリー アフェアーズ アドバタイジング&プロモーション グループの有望な科学者であるジュリア・スミスのメンターになり、私たちが持つユニークな背景やアイデンティティがプロフェッショナルとしての歩みにどう影響するかをより深く理解しました。この長く続く関係からは、年長者も若手から学びを得るリバースメンターシップが、キャリアの発展に与える影響の大きさを浮き彫りにしています。ジュリアとの交流を通じて、互いの知識や視点を継続的に交換しおり、その内容はますます充実してきています。こうした関係は、私たち双方の人としての、またプロフェッショナルとしての成長にもつながっています。

私たちは、人材育成は単なる責務ではなく、良い影響を周りに広げる波及効果の源だと考えています。メンターシップに時間をかけることで、未来のリーダーたちが自ら獲得した知識や経験をその先へとつなげられるよう力を与えているのです。今日交わした会話が、やがて波及効果を生み、次世代の新しいリーダーに重要な学びをもたらすかもしれません。私たちが育てているのは、人と人との関係だけではありません。ヘルスケア分野の大きな課題に立ち向かう土台となる、さまざまな人々がつながり合い多様性を反映したエコシステムを構築しているのです。

アンドリュー・プランプ(博士、医師)は、タケダのリサーチ&デベロップメント プレジデントおよび取締役を務めています。

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