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テック投資で子どもと地域の未来を切り拓く | 武田薬品

3人の女の子がスマホを持っている

テック投資で子どもと地域の未来を切り拓く

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2025年12月5日

私たちはグローバルCSRプログラムを通じて、医療課題に新しいアプローチで取り組む起業家を支援しました。

デジタルイノベーションには、子どもたちの健康状態を改善する力があります。しかし、イノベーションに必要となる民間資本投資額のうち、新興市場に投じられるのは10%に過ぎず1、それが多くの国で課題となっています。

通貨の価値下落、消費者数の減少、そしてリスクが高まっているという認識に関連する問題があり、課題解決に挑戦する開発初期段階の起業家が、必要な資本を獲得しづらい状況になっています。その結果、価値を創出できる可能性のある多くの新しい技術が、その潜在力をすべて発揮できないこともあります。

タケダの従業員は2019年、グローバルCSRプログラムによる支援先に、ユニセフ・ベンチャー・ファンド(UNICEF Venture Fund)のプログラムである「Investing in Innovation and Frontier Technology(イノベーションと最先端テクノロジーによる医療アクセス改善)」を選びました。このプロジェクトは、新興市場において、子どもたちの利益となる開発初期段階のオープンソーステクノロジーを対象にしています。柔軟性の高い資金やメンターシップを提供するなど、起業家に支援を行うことが目的です。本プログラムはその目的のもと、スタートアップ企業を支援し、デジタル公共財(グローバルな課題への対応や人々の利益になるよう設計された、ソフトウェア、データ、標準などのオープンソース資産)を提供することで、支援が必要な地域社会の医療アクセスを改善するために活動しています。

私たちの支援プロジェクトは5年をひと区切りとするもので、2024年に終了しました。以下に、この取り組みによる成果と、実現した技術の一部をご紹介します。

数字で見る成果


ロケットのアイコン

29

支援したスタートアップ企業の数
ディスプレイのアイコン

15

運用化されたデジタル公共財の数

その結果…

地球のアイコン

15,915,371

恩恵を受けた人々の総数
インフルエンサーのアイコン

1,850,772

ドローンやモバイルアプリなどの技術ソリューションを通じて医療品やサービスを受け取った女性の数
赤ちゃんのアイコン

501,793

モバイルアプリやAIを活用した新生児敗血症スクリーニングサービスの恩恵を受けた妊産婦の数
ドローンのアイコン

364,070

新生児敗血症のスクリーニングを受けた新生児や、育児支援アプリに登録された新生児、ドローンで母乳を受け取った新生児の数
子どものアイコン

337,239

遠隔医療プラットフォームを通じて医療を受けた、またはブロックチェーンを活用した支援物資配布の恩恵を受けた、子どもや青少年の数
AIのアイコン

52,285

AI主導型の医療ソリューションの恩恵を受けた医療従事者の数

タケダにおける健康と技術


「私たちはデータとデジタル技術の力を生かして、世界の健康問題に取り組もうとしています。そして UNICEF Venture Fundとのパートナーシップはその取り組みを実現していく大きな力になりました。持続可能なソリューションを前進させ、世界各地の支援を必要とする地域に有意義で永続的な成果を創出できるのが、オープンソースのイノベーションです。私たちはこうしたイノベーションをこのパートナーシップを通じて支援できました」

大薮 貴子(チーフ グローバル コーポレート アフェアーズ&サステナビリティ オフィサー)

プログラムを通じて支援した医療・健康のためのイノベーション


タンザニアの医療従事者に専門家レベルの意思決定を

タンザニアには、専門家や小児科医がいない地域が数多くあります。そうした地域では、診断のための機器やリソースをなかなか利用できず、子どもの死亡率、特に5歳未満の死亡率が高くなっています3。Inspired IdeasのElsa Health Assistantは、すべての医療従事者が専門家レベルの意思決定ができるよう臨床上の意思決定をサポートするプラットフォームです。このプラットフォームでは、人工知能、データ、専門的知識を活用することで、症状の原因特定や、服薬アドヒアランス(指示された用法・用量通りに薬を服薬すること)の予測、国のガイドラインに基づく実践可能な手段の選択の提供などで医療従事者を支援します3

このツールに組み込まれているAIモデルは、医療分野の専門家と協力して開発されました。症状や危険因子、位置情報、時間などのデータと、予想される状態との関係性をマッピングします。患者さんがマラリアに罹患している可能性や、良好な結果を得るための適切な処置などについて、エビデンスベースの知見が積み上げられています。

Elsa Health Assistantを使用している様子
Elsa Health Assistantを使用している様子

Elsa Health Assistantはサービス開始以来、約20万人の患者さん、ひと月当たりで約5,000人の患者さんの臨床意思決定を支援してきました。

「これはタンザニアの一次医療施設に導入されている唯一のAIベースの臨床意思決定支援ツールです。私たちはその重要性をしっかりと理解しています3 アリー・サリムさん(Inspired Ideas創業者)

ウルグアイの農村地域で医療を利用しやすくするために

ドローンから医療物資を取り出している男性
ドローンから医療物資を取り出している男性

Dronfies Labsは、ウルグアイで業務用ドローン運用のための空域アクセス管理システムを開発しました。このシステムによるリアルタイムのデータ共有により、共有空域での安全なドローンの運用が可能になり、自然災害などの緊急時を含め、医療物資の配送のための新たなルートを確保することができました。このソリューションにより、医療物資を遠隔地に輸送する際の時間を短縮でき、さらに二酸化炭素の排出量も削減できます。

このプラットフォームがもたらす幅広いメリットを踏まえ、ウルグアイ民間航空局は、同国における商用ドローンの飛行許可を申請する正式手段として同プラットフォームを承認しました。このソリューションを通じて、6,000人以上の人々が必要な物資を受け取れました。

「災害が発生した場合、空からの輸送が被災地域への唯一のアクセス手段となる可能性があります。またドローンなら、ヘリコプターより費用をはるかに節約できます。ウルグアイには、洪水時に孤立しやすい地域が数多くあります。そうした地域では、このソリューションが特に有益になるはずです4 Dronfies Labs

Oky:月経教育で世界の少女たちに力を

世界の中には、月経のことを知らずに、またはその準備ができていないままに初潮を迎える少女が何百万人もいます。それだけでなく、月経にまつわるネガティブな解釈が広まっていることから少女たちが恥ずかしさを感じ、この話題をオープンに話し合うことができないことも少なくありません2。そこでユニセフは、複数の国際的な開発チームと協力して、月経管理モバイルアプリ「Oky」を開発しました。このアプリは、信頼できる情報源になるように設計されています。

このアプリの企画とデザインの段階には、インドネシアとモンゴルの少女たちが400人以上参加しました。彼女たちのアイディアは、アプリを形作っていく上でも、外観や使い勝手を決める上でも参考にされ、遊び心のある造語である「Oky」という名称もそこから生まれました。そうしてゲーム要素があり、インターネットへのアクセスが限られている環境でもオフラインで使用できる軽量のアプリが完成しました。また、家族や友人と携帯電話を共有していても、少女たちのデータやプライバシーが保護されるようにもしました。

Okyにより、これまでに60万人以上の少女が月経に関する理解を深めるとともに、デジタル技術の使用を通じてデジタル活用力を向上させました。

モンゴルの少女たちと一緒にOkyアプリのユーザーテストを実施
モンゴルの少女たちと一緒にOkyアプリのユーザーテストを実施

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