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ベトナムのHAE診療を前進させる | 武田薬品

小さな男の子と彼の母親

ベトナムのHAE診療を前進させる

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2026年1月22日

本記事は、実際の患者さんの体験談を紹介しています。特定の患者さんの体験を紹介したものであり、多くの患者さんに共通する体験を紹介するものではありません。気になる症状や医学的な懸念がある場合、また、適切な診断と治療を受けるためには医療機関を受診ください。


私たちは、この希少な遺伝性疾患とともに生きる人たちが、適切な診断や治療を受けられるよう活動しています。

喉の締め付けや息苦しさに悩まされることもあります。

グエン・ヴァン・ビンさん(仮名)は、身体中が突然腫れるという原因不明の症状に、35年もの間苦しめられてきました。一度症状が出ると、2~5日はおさまりません。

ビンさんの例を共有してくれたのは、108軍中央病院医師のグエン・ラン・アンさんです。しかし、こうした話は、ビンさんに限ったことではありません。同じような経験をしている遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者さんが、ベトナムには1,000~2,000人いると推計されています。

HAEは非常に稀な疾患とされ、世界での発症率は5万人に1人と推定されています。症状は、手や足、性器、胃、顔、喉など身体のさまざまな部分に重度の腫れ(血管浮腫)が繰り返し発生するというもので、気道に腫れが生じた場合には呼吸困難を引き起こします。身体的な外傷や心理的ストレスが発症の引き金になることもありますが、明らかな引き金がなく症状が出る場合もあります1

症状は人によって異なり、発生頻度も時間とともに変わることがあります。何年もの間HAEと診断されず、症状からアレルギーや虫垂炎と誤診されてしまう例もあります2,3

タン・チョン・ソン、武田ベトナム メディカルディレクター

タン・チョン・ソン、武田ベトナム メディカルディレクター

この問題に対応するため、私たちは2021年、ホーチミン喘息アレルギー臨床免疫学会および日本の国立国際医療研究センター(現在の国立健康危機管理研究機構)と共同プログラムを立ち上げました。HAEの診断レベルを向上させるために立ち上げたプログラムだったと、武田ベトナム メディカルディレクターで医師のタン・チョン・ソンさんは振り返ります。

「つい最近の2021年まで、ベトナムには多くの問題がありました」とソンさんは言います。「それまでHAEと診断される患者さんはいませんでした。というのも、HAEを特定するための一般的なスクリーニングも、家族を対象としたスクリーニングも実施されていなかったからです。ベトナムにあったのは、アレルギーと免疫を専門とするハノイの治療センター1カ所のみでした」

それからわずか4年の間に、このプログラムは次のような成果をあげました。これは、現地の組織との協調的で持続可能な取り組みを通じて医療を利用しやすい環境をつくろうというタケダの包括的な取り組みの一環として実施されています。

  • HAEが疑われる患者さん106人にスクリーニングを実施
  • 7,500人を超える医師および看護師に、診断および治療レベル向上のためのトレーニングを実施
  • 診断および治療の標準化を目的としたHAEガイドライン
  • 医療を利用しやすい環境を整えるため、ハノイおよびホーチミンに治療センターを設立
グエン・ラン・アンさん、108軍中央病院医師

グエン・ラン・アンさん、108軍中央病院医師

「HAEの診断においては、この疾患の認識とインフラが不足していたことが主な課題になっていました」とソンさんは言います。「そこで、疾患の認知度の向上、診断のための検査を受けやすい環境の構築、医療従事者へのトレーニングに取り組むことで、これらの課題に対応するとともにHAE患者さんへのサポートを充実させていきました」

無料で実施された検査により、ビンさんをはじめ36人がHAEと診断されました。その中には5~6歳の子どもも3人いました。ラン・アンさんは、こうした成果を見れば、このプログラムによってベトナムの医療制度にもたらされた変化の大きさがよく分かるとし、次のように述べました。

「現在ではHAEの患者さんも正確な診断を受けられるようになりました。医師も、このプログラムによって必要なトレーニングやリソースを得て、より良い医療を提供できるようになり、取り残されるHAE患者さんが一人もいない未来に向けて前進できるようになりました」

このプログラムを通じてHAEと診断された患者さんは、適切な治療とケアを受け、症状を緩和できる可能性が高くなります。しかしこのようなメリットをベトナム全土のHAE患者さんに届けるには、すべきことがまだたくさんあります。

ハノイとホーチミンに治療センターを設立できた今、このパートナーシップでは、ベトナム中部の沿岸地域にある都市ダナンを皮きりに、サポート地域を拡大していこうとしています。そしてゆくゆくは、支援の届いていない国内すべての遠隔地にまでサポート範囲を広げ、すべてのHAE患者さんが必要な治療を受けられるようにすることを目指しています。

それは、ベトナムにとってさらなる大きなステップになります。しかし、こうした国内医療の公平性を実現するには、継続的な努力と不屈の精神、つまり240年以上にわたりタケダの前進とイノベーションを支えてきた価値観が重要になると、ソンさんは指摘します。

「HAE患者さんの治療の道のりはとても困難なものです」とソンさんは述べています。「私たちはこの勢いを止めてはなりません。医療従事者と患者さんへの啓蒙には時間がかかるのですから」

*プライバシー保護のため、仮名を使用しています。


日本の知見で現地医療を支援

厚生労働省の国際事業として、私たちはベトナムの遺伝性血管性浮腫(HAE)診療体制構築に挑み、以下の成果をあげました。

  • 診療ガイドライン策定: 日本の専門医と協働し、ベトナムの医療体制に適したHAE診療ガイドラインを作成。
  • 診断数の増加: ベトナムでの確定診断患者数が、ゼロから4年間で33名に増加。HAE診療が可能な医療機関は5施設に拡大4
  • 日本政府との連携: 私たちのプロジェクトが厚生労働省の国際事業に採択され、国立国際医療研究センターと連携して推進。当初3年間の計画が、現地医師の強い要望により4年に延長。

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