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クローン病の発症阻止を目指す共同研究が進行中 | 武田薬品

明るい診察室で患者を診察する医師

クローン病の発症阻止を目指す共同研究が進行中

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2026年3月11日

炎症性腸疾患はどの患者さんにとっても同じものではありません。本情報は疾患啓発目的の記事であり、医療アドバイスではありません。医療アドバイスや診断・治療に関しては医療関係者にご相談ください。


INTERCEPT研究で、バイオマーカーによるリスクの早期特定と適切な医療介入による治療成果向上の可能性を探ります

オランダ・アムステルダム大学医療センターのヒャルト・ダンス教授は、30年以上に及ぶキャリアの中で、1万5,000人を超える炎症性腸疾患(IBD)患者さんの治療に携わってきました。この難治性の慢性疾患による痛みや社会生活上の困難、そして時には精神的なつらさに苦しむ患者さんの姿を、30年にわたり見つめてきたといいます。現在、ダンス教授が率いる研究では、クローン病へのさらなる理解や新たな治療選択肢の可能性や、将来的に発症予防に繋がる知見などを見出そうとしています。

「これは、1932年にブリル・クローン氏がクローン病という疾患を初めて報告して以来、この分野で最も重要な科学的進展につながる可能性があると感じています。」

ヒャルト・ダンス教授、「INTERCEPT」のプロジェクトコーディネーター

ヒャルト・ダンス教授(アムステルダム大学医療センター〈AUMC〉)、「INTERCEPT」プロジェクト コーディネーター

ヒャルト・ダンス教授(アムステルダム大学医療センター〈AUMC〉)、「INTERCEPT」プロジェクト コーディネーター

「クローン病が“管理できる疾患”から、将来的には“予防できる疾患”へと変わる――そんな未来を思い描いています」とダンス教授は語ります。「これは、1932年にブリル・クローン氏がクローン病という疾患を初めて報告して以来1、この分野で最も重要な科学的進展につながる可能性があると感じています。」

ダンス教授が語る「INTERCEPT」は、官民が連携して進める国際的な共同研究です。 ダンス教授は、ニューヨークのマウントサイナイ病院のジャン=フレデリック・コロンベル教授とともに、プロジェクト・コーディネーターを務めています。この研究では、バイオマーカー(体液に含まれる測定可能な物質で、疾患が臨床的に現れる前にその兆候を示すことがある)の活用により、ごく早期のクローン病を検出できるかを検証します。

このようなバイオマーカーを活用するアプローチは、すでに1型糖尿病やリウマチ性関節炎など、他の炎症性疾患でも取り入れられています。クローン病の発症リスクを持つ人を特定できれば、医療従事者による早期診断と、疾患が進行して患者さんの生活の質が損なわれる前の適切な医療介入が可能になるかもしれません。

「これまでクローン病の治療薬や治療法は大きく進歩してきましたが、それでもなお、寛解と再燃を繰り返す患者さんが多くいると感じます」とデハンス教授は語ります。「日々診療にあたる中で、子どもや若い世代の患者さんが、病気の影響で勉強や仕事に集中できない姿を目にすることも少なくありません」

INTERCEPT

「バイオマーカーの研究を進めることで、症状が現れる前の段階でクローン病の兆候を捉えられる可能性があります。さまざまな集団でその有効性が検討されれば、症状が現れるよりももっと前から早期診断ができるかもしれません。そうなれば、適切な管理とケアにつながると考えられます。」

「INTERCEPT」は、EUのInnovative Health Initiative Joint Undertaking(IHIJU)Go to https://www.ihi.europa.eu/の支援を受けて進められている、5年間の国際共同研究です。欧州、北米、韓国などから計21のパートナーが参画しており、タケダもその一員として取り組んでいます。

このプロジェクトでは、複数のバイオマーカーを組み合わせて使う「パネル」を検証し、その臨床的な有効性を評価します。その上で、クローン病の発症リスクが高い人を特定するための血液リスクスコアを構築することを目指しています。クローン病患者さんの一親等にあたる健康な協力者1万人を、欧州7カ国から募集し、バイオマーカーおよびリスクスコアのさらなる検証を進めます。この中から一定の基準に基づき選ばれた100人が、次の段階となる臨床試験に参加する予定です。この試験では、既存の治療法を用いて、クローン病の発症を予防できるかどうかを調べます。バイオマーカーがクローン病の発症予測に活用できるのか、早期の医療介入や管理が疾患の進行にどう影響するかなどを明らかにすることを目指しており、結果は2029年に公表される予定です。

オウニー・ファラジァラー医師(タケダのチーフ メディカル オフィサー )

オウニー・ファラジァラー医師(タケダのチーフ メディカル オフィサー )

タケダはその専門性と、「この分野への貢献を目指すというビジョン」とデハンス教授が評する姿勢が評価され、「INTERCEPT」への参画の機会を得ました。

タケダのチーフ メディカル オフィサーであるオウニー・ファラジァラー医師は、「INTERCEPT」で業界代表を務めています。ファラジァラー医師は、自身の臨床経験を通じてこの役割への使命感を強く抱くようになったと語ります。「臨床現場にいた頃、クローン病の合併症による深刻な影響を数多く目にしてきました。特に、何カ月も入院を余儀なくされた若い男性患者さんのことをよく覚えています。大きな膿瘍ができ、何度も外科的処置を受ける必要がありました。もし彼のような患者さんがこうした段階に至る前に、予防や介入ができるようになれば、それは本当にすばらしいことです」

ファラジァラー医師は、官民それぞれの専門性とリソースを結集することが、クローン病の研究を前進させるための重要な道筋になると考えています。こうした取り組みは、革新的な科学を推進し、医療の発展と患者さんのより良い未来に貢献するという私たちのコミットメントを体現するものでもあります。

「もしクローン病の発症や進行を抑えることができれば、患者さんやそのご家族の生活もより良いものになるでしょう。しかし、その実現には複雑な科学的課題が伴います。これは、一つの組織だけで取り組めるものではありません」とファラジァラー医師は語ります。

さらに、ファラジァラー医師は次のように続けます。「タケダはIBDにおいて豊富な経験を有し、患者さんにより良い治療選択肢を提供することを最優先事項の一つとしています。そのため、他のパートナーと協力してこの研究に取り組めることを大変嬉しく思います。クローン病の発症を防ぎ、新たな治療アプローチをもたらす可能性を追求するだけでなく、このような疾患が予防できるかもしれないという考え方を強化するうえでも重要な取り組みです」

「INTERCEPT」の詳細についてはこちらGo to https://www.intercept-ihi.eu/をご覧ください。

References


  1. Crohn’s & Colitis Foundation. A Look Back at Our Beginning. Crohn’s & Colitis Foundation. Accessed October 2, 2025. https://www.crohnscolitisfoundation.org/about/our-beginningGo to https://www.crohnscolitisfoundation.org/about/our-beginning.

  2. GBD 2017 Inflammatory Bowel Disease Collaborators. Lancet Gastroenterol Hepatol 2020; 5: 17–30. https://doi.org/10.1016/ S2468-1253(19)30333-4Go to https://doi.org/10.1016/S2468-1253(19)30333-4.

  3. Long D. Biomedicines. 2024; 12:689. Barberio B, Zamani M, Black CJ, Savarino EV, Ford AC. Lancet Gastroenterol Hepatol 2021; 6: 359–70. https://doi.org/10.1016/ S2468-1253(21)00014-5Go to https://doi.org/10.1016/S2468-1253(21)00014-5.

  4. Barberio B, Zamani M, Black CJ, Savarino EV, Ford AC. Lancet Gastroenterol Hepatol 2021; 6: 359–70. https://doi.org/10.1016/ S2468-1253(21)00014-5Go to https://doi.org/10.1016/S2468-1253(21)00014-5. GBD 2017 Inflammatory Bowel Disease Collaborators. Lancet Gastroenterol Hepatol 2020; 5: 17–30. https://doi.org/10.1016/ S2468-1253(19)30333-4Go to https://doi.org/10.1016/S2468-1253(19)30333-4.

C-ANPROM/INT/ENTY/0275 | October 2025

炎症性腸疾患について

クローン病や潰瘍性大腸炎などのIBDは、世界でおよそ600万人以上が抱える疾患です2。主な症状として、次のようなものが挙げられます3,4

  • 倦怠感
  • 下痢
  • 腹痛
  • 体重減少
  • がんなどの合併症リスクの上昇
  • 抑うつなどの精神的な不調

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