潰瘍性大腸炎を対象としたENTYVIO®(ベドリズマブ)のTreat-to-Target試験の結果について | 武田薬品
潰瘍性大腸炎を対象としたENTYVIO®(ベドリズマブ)のTreat-to-Target試験の結果について
- 割り付けられた治療目標を達成したENTYVIO投与患者さんの半数超が、16週時点で、副腎皮質ステロイドを使用せずに症候的・内視鏡的・組織学的寛解を組み合わせた疾患クリアランスを達成
- VERDICT試験は、先進治療としてENTYVIOの投与を受けた、主に生物学的製剤による治療歴のない患者さんにおいて、疾患クリアランスに伴う腸管組織の修復を、肉眼および顕微鏡レベルで示すエビデンスを初めて提示
当社は、2026年10月19日(米国東部時間)、VERDICT試験(NCT04259138)の新たなデータを発表しました。本試験では、潰瘍性大腸炎(UC)の成人患者さんにENTYVIO®(ベドリズマブ)を静脈内(IV)投与し、副腎皮質ステロイド非使用(CSF)での疾患クリアランスを目標とした治療と、CSFでの症候的寛解のみを目標とした治療を比較しました。その結果、疾患クリアランスを目標とした治療では、症候的寛解のみを目標とした治療と比べ、UC関連合併症が初めて発現するまでの期間が有意に延長し(ハザード比0.33[95%信頼区間0.17~0.67]、P=0.0014)、UC関連合併症のリスクは約70%低下しました。ENTYVIOの第4相臨床試験であるVERDICT試験は、中等症から重症のUC治療において、疾患クリアランスが達成可能かつ臨床的に意義のある治療目標であることを、前向き無作為化試験として初めて提示しました1。本結果は、2026年のUnited European Gastroenterology (UEG) Weekのレイトブレーキングセッションおよびポスターセッションで発表され、United European Gastroenterology Journalに掲載されました。
Western University の医学部教授であり、Alimentiv社のchief medical officerで本試験の筆頭著者のVipul Jairath氏(MBChB、DPhil、FRCP、FRCPC)は、「目に見える炎症と顕微鏡レベルの炎症の両方に対処し、より深い寛解を達成することが、潰瘍性大腸炎の長期的な負担軽減につながるかについて、近年議論が高まっています。VERDICT試験の結果は、Treat-to-Targetの導入が疾患経過を変える可能性を示唆しています。また、16週以内に、より深く持続的な疾患コントロールを目指すENTYVIOを用いた治療のエビデンスをさらに強化するものです」と述べています。
当社の消化器系・炎症性疾患領域、グローバルメディカルアフェアーズのバイスプレジデントであるVijay Yajnikは、「潰瘍性大腸炎の患者さんは、症状が緩和しても、体内で起きていることの全容を把握できるとは限りません。副腎皮質ステロイドを使用せずに深い治癒と疾患コントロールを達成することは、重要な治療目標です。VERDICT試験のデータは、投与開始後16週以内に疾患クリアランスを含むアウトカムの達成における腸管に選択的に作用するENTYVIOの可能性をさらに裏付けるとともに、生物学的製剤による治療歴のない患者さんにおける腸管機能の回復を示唆する、新たな分子・細胞レベルのエビデンスを提供するものです。VERDICT試験は、潰瘍性大腸炎の治療戦略や標準治療をめぐる複雑な課題の解明に向け、エビデンスの創出に取り組む当社の姿勢を示すものです」と述べています。
VERDICT試験では、中等症から重症の成人潰瘍性大腸炎患者さんを、段階的に厳格化した3つのCSF治療目標に無作為に割り付け、より深い寛解とUC関連合併症発現までの期間延長の関連性を評価しました。グループ1では症候的寛解、グループ2では症候的寛解および内視鏡的寛解、グループ3では症候的寛解、内視鏡的寛解および組織学的寛解からなる疾患クリアランスを治療目標としました。割り付けられた治療目標に応じて、ENTYVIOを用いた治療アルゴリズムに従って治療を強化し、必要に応じて投与頻度を増やしました。 主要評価項目は、治療目標達成後80週までの初回UC関連合併症(入院、結腸切除術、救済療法の使用、治療関連合併症およびその他のUC関連合併症)の発現までの期間を、グループ3とグループ1で比較することでした。治療目標を達成した患者集団における主な結果は、以下のとおりです。
- ENTYVIOによる治療後、無作為化された患者さんの約60%(400/672例)が48週までに割り付けられたCSF目標を達成(グループ1: 137例[74.1%]、グループ2: 125例[56.3%]、グループ3: 138例[52.1%])
- 疾患クリアランス群(グループ3)では、症候的寛解群(グループ1)と比べ、初回のUC関連合併症発現までの期間が延長し(ハザード比 0.33、95%信頼区間 0.17~0.67、P=0.0014)、主要評価項目を達成
- ENTYVIOによる厳格な複合治療目標である疾患クリアランスを目指した治療により、治療目標達成後80週までのUC関連合併症リスクが約70%低下
- CSFで臨床的寛解および内視鏡的寛解を達成した患者さん(グループ2)の80%以上が、48週時点で組織学的寛解も達成
- グループ2とグループ3では、UC関連合併症発現までの期間は同程度(1.10[0.45~2.69]、P=0.8023)
- 51件のUC関連合併症が発現し、最も多かったのは救済療法の使用
- 有害事象の発現率は各群で同程度であり、より厳格な目標に向けた治療強化やENTYVIOの投与頻度増加による影響は認められず
96週間を通じて示された安全性プロファイルは、これまでに報告されたデータと概ね一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした。主な有害事象(≥5%)は、潰瘍性大腸炎、貧血、血便、新型コロナウイルスへの感染、インフルエンザ、鼻咽頭炎および関節痛でした1。
UEG Weekでは、疾患クリアランスの早期達成に関連する分子変化を検討したVERDICT試験の追加解析も発表されました2,3。プロテオーム解析とトランスクリプトーム解析の結果、生物学的製剤による治療歴がなく、16週までに疾患クリアランスを達成した患者さんでは、炎症、粘膜の恒常性および組織修復に関わる経路の変化を含む特徴的な分子パターンが確認されました。これらの探索的な知見は、疾患クリアランスに関連する生物学の理解を深める手がかりとなる可能性があり、今後さらに検討していく価値があります。
潰瘍性大腸炎の影響は、日々の症状だけにとどまりません4。患者さんの最大30%は、時間の経過とともに、痛みを伴う症状の再燃、入院、手術などの合併症を経験する可能性があり、生活への支障に加え、精神的・経済的負担を伴うことがあります5,6。そのため、症状への対処に加えて、腸管の治癒を促し、疾患の経過に変化を与えることで、長期的な影響を最小限に抑え、治療アウトカムの改善を目指すことが重要です。
Q&A
潰瘍性大腸炎における「疾患クリアランス」とは?
疾患クリアランスは、次の3つの寛解基準を組み合わせた治療目標です。副腎皮質ステロイド非使用(CSF)で、症状がない「症候的寛解」、腸管粘膜の目に見える治癒を示す「内視鏡的寛解」、顕微鏡レベルでの治癒を示す「組織学的寛解」です1,7,8。症状の緩和にとどまらず、長期的な疾患の再燃や進行のリスク低減につながる可能性があるとして、International Organisation for the Study of Inflammatory Bowel Diseases (IOIBD)が提唱する、より厳格な基準です。VERDICT試験は、事前に設定した仮説にこの厳格な治療目標を組み込んだ、UCで初めての無作為化試験です。
VERDICT試験の概要と主な結果は?
VERDICT試験((NCT04259138)は、潰瘍性大腸炎(UC)関連合併症が発現するまでの期間を延長するための最適な治療目標を評価した、UCで初めて且つ唯一の前向き第4相ENTYVIO無作為化試験です1。中等症から重症の潰瘍性大腸炎を有する成人患者さんを対象に、ENTYVIOを用いて副腎皮質ステロイドを使用せず(CSF)に疾患クリアランスを目指した群では、同条件下で症候的寛解のみを目指した群と比べ、初回のUC関連合併症が発現するまでの期間が延長しました。本試験は、この厳格な治療目標を事前に設定した仮説に組み込んだ、UCで初めての無作為化試験です。さらに、治療目標を達成した患者さんのうち、ENTYVIO投与群の半数超(57%)が、16週時点で疾患クリアランスを達成しました。
「Treat-to-Target」アプローチとは?
Treat-to-Targetは、あらかじめ設定した臨床目標の達成に向けて、患者さんの疾患を積極的にモニタリングし、定められたスケジュールに沿って治療を調整するアプローチです。目標を設定せずに臨床状態を評価する方法とは異なります1。VERDICT試験では、16週および32週時点で治療目標の達成状況を評価し、割り当てられた目標を達成していない場合は、事前に定めたアルゴリズムに従って治療を調整しました。VERDICT試験の治療目標達成集団には、16週、32週または48週時点で割り当てられた治療目標を達成した患者さんが含まれました。
VERDICT試験におけるENTYVIOの安全性プロファイルは、これまでのデータと一貫していましたか?
VERDICT試験で96週間にわたって確認された安全性プロファイルは、これまでに報告されたENTYVIOのデータと概ね一貫しており、新たな安全性シグナルは認められませんでした1。
ENTYVIO®(ベドリズマブ)について
ベドリズマブは、潰瘍性大腸炎およびクローン病で利用可能な、唯一の腸管選択的生物学的製剤です。ベドリズマブはα4β7インテグリンに特異的に結合し、主として腸管の内皮細胞に発現するMAdCAM-1との相互作用を阻害します9。ベドリズマブは、既存治療または抗TNF抗体治療に対して効果不十分、効果減弱、または不耐であった中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病の成人患者さんを対象に、静脈内(IV)投与および皮下(SC)投与として承認されています(承認内容は市場により異なります)10。ベドリズマブIVは、米国および欧州連合を含む80を超える国で販売承認を取得しています。ベドリズマブSCは、米国、欧州連合を含む50を超える国で販売承認を取得しています。世界全体で、ベドリズマブIVおよびSCはこれまでに、累計で230万人・年を超える患者さんに投与されています11 。
VERDICT試験について
VERDICT試験(NCT04259138)は、Alimentiv社がタケダと共同で実施した第4相無作為化Treat-to-Target試験です1。主に生物学的製剤による治療歴のない、またはMES(Mayo内視鏡スコア)評価で重症、またはその両方に該当する中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の成人患者さん672例(Mayo血便サブスコア[RBS]≥1、Mayo内視鏡スコア[MES]≥2)を、段階的に厳格化した治療目標に無作為に割り付けました。グループ1は副腎皮質ステロイド非使用(CSF)での症候的寛解、グループ2はCSFでの症候的寛解と内視鏡的寛解、グループ3はCSFでの症候的寛解、内視鏡的寛解、および組織学的寛解を目標としました。ENTYVIOに基づいたアルゴリズムを用いて治療を強化し、必要に応じて投与頻度を増やしました。目標の達成状況は16週、32週、48週に評価しました。主要評価項目は、治療目標達成後80週までの初回UC関連合併症(入院、結腸切除術、救済療法の使用、治療関連合併症およびその他のUC関連合併症)の発現までの期間を、グループ3とグループ1で比較することでした。
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武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
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医療情報
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参照資料
- Jairath V, Colombel JF, D’Haens GR, et al. VERDICT: Randomized treat-to-target trial of corticosteroid-free targets with vedolizumab-based treatment algorithms in ulcerative colitis. Presented at UEG Week 2026. 2026 Oct 17-20; Barcelona, ES.
- Mehandru S, Powell N, Paraskevopoulou MD, et al. Proteomic signatures accompanying early disease clearance in ulcerative colitis patients treated with vedolizumab in the VERDICT trial. Accepted abstract, UEG Week 2026.
- Mehandru S, Powell N, Paraskevopoulou MD, et al. Proteotranscriptomic signatures accompanying early disease clearance in ulcerative colitis patients treated with vedolizumab in the VERDICT trial. Accepted abstract, UEG Week 2026.
- Crohn's and Colitis Foundation. The Facts About Inflammatory Bowel Diseases. Crohn’s & Colitis Foundation; 2014. Accessed October 1, 2026. www.crohnscolitisfoundation.org/sites/default/files/2019-02/Updated%20IBD%20Factbook.pdf.
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- DeLeon MF, Stocchi L. Clin Colon Rectal Surg. 2022;35:437-444.
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- Le Berre C, Peyrin-Biroulet L; SPIRIT-IOIBD Study Group. Gastroenterology. 2021;160(5):1452-1460.e21.
- Soler D, Chapman T, Yang LL, et al. J Pharmacol Exp Ther. 2009;330(3):864-875.
- ENTYVIO Summary of Product Characteristics (SmPC). Takeda Pharmaceuticals. Available at: www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/entyvio-epar-product-information_en.pdf.
- Data on file. Takeda Pharmaceuticals.