進行胃がんを対象とした国際共同第3相試験におけるarcotatug tavatecan(TAK-921)の全生存期間および無増悪生存期間の統計学的に有意かつ臨床的意義のある改善について | 武田薬品
進行胃がんを対象とした国際共同第3相試験におけるarcotatug tavatecan(TAK-921)の全生存期間および無増悪生存期間の統計学的に有意かつ臨床的意義のある改善について
- 2026年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)年次総会のLate-Breaking Presentationにおいて、ベスト・イン・クラスとなる可能性がある開発中のClaudin (CLDN)18.2抗体薬物複合体(ADC)、arcotatug tavatecanの国際共同第3相G-HOPE-001試験のデータを発表
- arcotatug tavatecanは、既治療のCLDN18.2陽性進行胃がん患者さんにおいて、医師選択治療と比較して、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、2つの主要評価項目を達成
- 本試験結果は、日本における製造販売承認申請およびCLDN18.2陽性がんに対するarcotatug tavatecanのグローバルな開発の継続を支持
当社は、2026年10月23日(米国時間)、既治療のClaudin (CLDN)18.2陽性進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん(以下「G/GEJA」)患者さんを対象としたarcotatug tavatecan(TAK-921、Innovent社開発コード:IBI343)の国際共同第3相G-HOPE-001試験(NCT06238843)において、良好な結果が得られたことを発表しました。2026年欧州臨床腫瘍学会(以下「ESMO」)年次総会のLate-Breaking Oral Presentationで発表された2回の中間解析の結果、本試験は主要評価項目である全生存期間(以下「OS」)および無増悪生存期間(以下「PFS」)を達成しました。
胃がんは、世界におけるがん関連死亡の主要な原因の一つであり、進行した場合の予後は不良です ¹。治療を重ねた後も病勢が進行する患者さんでは、有効な治療選択肢が限られていることから、新たな標的治療薬に対する高いアンメットメディカルニーズがあります ²。CLDN18.2は、一部の腫瘍細胞表面において陽性となるタンパク質であり、胃がんを含む一部の消化器がんにおける重要なバイオマーカーおよび治療標的として注目されています ³。arcotatug tavatecanは、CLDN18.2を標的とするベスト・イン・クラスとなる可能性がある開発中の抗体薬物複合体(ADC)であり、エキサテカンをペイロードとして搭載し、Fc受容体を介した毒性低減を目的としてFc機能を抑制した抗体骨格を有しています。当社はInnovent社とライセンスおよび提携契約を締結しており、arcotatug tavatecanについては、中国・香港・マカオ・台湾以外での開発、製造および商業化に関する権利を有しています。
ESMO2026にてG-HOPE-001試験の結果を発表した、国立がん研究センター東病院 消化管内科長の設楽紘平医師は「前治療を複数回受けた後に病勢が進行した胃がん患者さんは、治療選択肢が限られており、予後も不良です。国際共同第3相G-HOPE-001試験において、後方ラインで一般的に用いられる治療と比較して、arcotatug tavatecanは病勢進行までの期間を有意に延長するとともに、生存期間を有意に延長しました。これらの結果は、arcotatug tavatecanが管理可能な安全性プロファイルを有し、CLDN18.2陽性進行胃がん患者さんに臨床的に意義のあるベネフィットをもたらし、新たな治療選択肢となる可能性を示しています」と述べています。
治療選択肢が限られる患者さんに対する有意義なベネフィットを示す解析結果
国際共同第3相G-HOPE-001試験では、arcotatug tavatecanが事前に規定された主要評価項目であるOSおよびPFSを達成し、医師選択治療(以下「TPC」)[イリノテカン、パクリタキセルまたはトリフルリジン/チピラシル]と比較して統計学的に有意な改善を示しました。
事前に規定された第2回中間解析(IA2)では、2026年9月3日をデータカットオフ日として、OSを評価し、その結果は以下のとおりです。
- OSの統計学的に有意かつ臨床的意義のある改善
OS中央値は、arcotatug tavatecan群で10.2カ月、TPC群で6.9カ月でした(HR=0.57[95% CI:0.45–0.73]、P<0.0001)。 - PFSの臨床的意義のある改善
独立画像判定委員会(IRRC)による評価では、PFS中央値は、arcotatug tavatecan群で7.1カ月、TPC群で3.1カ月でした(HR=0.45[95% CI:0.35–0.58])。 - 高い奏効率(ORR)
IRRC評価による確定ORRは、arcotatug tavatecan群で37.4%、TPC群で7.7%でした。 - arcotatug tavatecanの安全性プロファイルは、全体として管理可能
- arcotatug tavatecan単剤療法を受けた患者さんにおける安全性プロファイルは全体として管理可能であり、グレード3以上の治験薬との関連がある有害事象の発現率は47.4%で、TPC群では55.9%でした。
- arcotatug tavatecan群およびTPC群で最も多く認められたグレード3以上の治験薬投与開始後に発現した有害事象(以下「TEAE」)には、貧血(20.4% 対13.1%)、好中球数減少(17.4% 対 32.0%)および白血球数減少(11.7% 対 22.5%)が含まれました。
- 重度の消化器系事象の発現率は低く、arcotatug tavatecan群におけるグレード3以上の悪心、嘔吐および下痢の発現率は、それぞれ0.9%、2.6%および1.3%であったのに対し、TPC群ではそれぞれ1.8%、3.2%および4.1%でした。この安全性プロファイルはarcotatug tavatecanの特徴の一つであり、将来的に患者さんの治療負担を軽減する可能性があります。
- 投与中断に至ったTEAEは、arcotatug tavatecan群の47.4%、TPC群の51.4%で報告されました。治験薬との関連がある投与中止は少なく、両群で同程度であり、arcotatug tavatecan群では1.7%でした。arcotatug tavatecan群において、原因不明の突然死として報告された、治験薬との関連がある死亡に至った有害事象が1例認められました。
事前に規定された第1回中間解析(IA1)では、2026年2月13日をデータカットオフ日として、PFSの最終解析およびOSの無益性評価を実施し、結果は以下のとおりです。
- PFSの統計学的に有意かつ臨床的意義のある改善
IRRC評価によるPFS中央値は、arcotatug tavatecan群で5.5カ月、TPC群で2.9カ月でした(HR=0.47、95% CI:0.34–0.65、P<0.0001)。
G-HOPE-001試験は、既治療のCLDN18.2陽性G/GEJA患者さんを対象に、arcotatug tavatecan単剤療法とTPCを比較評価する、中国および日本で実施中の国際共同、多施設共同、無作為化、非盲検試験です。本試験は現在も進行中であり、追加の事後解析の結果は今後の医学学会で発表予定です。
arcotatug tavatecanのグローバル開発を継続的に推進
国際共同第3相G-HOPE-001試験のデータは、日本における本適応症での製造販売承認申請の根拠となる可能性があります。中国では、Innovent社が承認申請したarcotatug tavatecanが、中国国家薬品監督管理局(NMPA)により優先審査品目として受理されています。
当社のOncology Therapeutic Area Unit HeadのPhuong Khanh(P.K.)Morrow, M.D.は「治療のあり方を変える可能性がある国際共同第3相G-HOPE-001試験のデータは、当社によるarcotatug tavatecanの初の製造販売承認申請および継続的なグローバル開発に向けた道筋を裏付けるだけでなく、有望な科学的知見を、胃がんや膵臓がんを含む治療が難しいさまざまなCLDN18.2陽性がん患者さんに対する新たな治療選択肢へとつなげる重要な前進でもあります」と述べています。
当社は、これらのがん種を対象として現在進行中の概念実証試験の結果を基盤に、胃がんおよび膵臓がんを対象としたarcotatug tavatecanの国際共同第3相試験を開始する予定です。
arcotatug tavatecanは、米国食品医薬品局(FDA)を含むいずれの規制当局からも承認を取得していない開発中の治療薬です。
arcotatug tavatecanについて
arcotatug tavatecanは、Claudin (CLDN)18.2を発現する腫瘍細胞を標的とする次世代の抗体薬物複合体(ADC)です。CLDN18.2は正常な胃粘膜に通常みられるタンパク質ですが、一部の腫瘍細胞表面において陽性となり、新たながん治療の標的として注目されています3。arcotatug tavatecanは、抗CLDN18.2抗体と、トポイソメラーゼⅠ阻害剤(TOPO1i)である細胞傷害性薬剤エキサテカンを結合したADCです。また、腫瘍外の標的発現に起因する毒性(off-tumor, on-target toxicity)のリスクを最小限に抑えることを目的として、Fc機能を抑制した構造設計を採用しています。
arcotatug tavatecanは、2レジメンの全身療法による既治療のCLDN18.2陽性膵がん患者さんの治療を対象として、米国食品医薬品局(FDA)よりファストトラック指定を受けています。
国際共同第3相G-HOPE-001試験について
第3相G-HOPE-001試験(NCT06238843)は、既治療のClaudin(CLDN)18.2陽性進行胃腺がんまたは食道胃接合部腺がん(G/GEJA)患者さんを対象に、arcotatug tavatecan単剤療法と医師選択治療(TPC:イリノテカン、パクリタキセルまたはトリフルリジン/チピラシル)を比較評価する進行中の国際共同、多施設共同、無作為化、非盲検試験です。本試験では、コンパニオン診断薬VENTANA CLDN18(43-14A)Assayにより測定された腫瘍細胞の75%以上で免疫組織化学染色(IHC)による発現強度が2+以上のCLDN18.2陽性腫瘍を有し、2~4レジメンの全身療法後に病勢進行が認められた患者さんを対象としました。患者さんは、地域、原発巣部位および胃切除歴を層別因子として、arcotatug tavatecan 6 mg/kgを3週間ごとに投与する群またはTPC群に1対1の割合で無作為に割り付けられました。主要評価項目は、RECIST v1.1に基づく無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)です。副次評価項目には、奏効率(ORR)、病勢コントロール率、奏効期間、奏効までの期間および安全性が含まれます。本試験には、日本および中国において計464名の患者さんが登録されました。
胃腺がんおよび食道胃接合部腺がん(G/GEJA)について
胃がんは、世界で5番目に多く、がん関連死亡原因でも5番目に位置するがんで、日本および中国は世界的に見ても発症率が高い国です1,4。5年相対生存率は国によって異なるものの、おおむね20%~40%であり、進行がん患者さんではさらに低くなります5。病勢の進行に伴い、治療選択肢はさらに限定され、後方ライン治療を受ける患者さんの全生存期間(OS)中央値は依然として10カ月未満にとどまっています6。Claudin (CLDN)18.2は、正常な胃組織に通常みられるタイトジャンクションタンパク質ですが、G/GEJAの腫瘍細胞表面において陽性となります。そのため、CLDN18.2は、本疾患に対する新たな精密医療の開発において重要なバイオマーカーであるとともに、有望な治療標的として注目されています3。
武田薬品について
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK )は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。
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