オベポレクストン(TAK-861)の第2b相臨床試験結果がNEJMに掲載:ナルコレプシータイプ1における有意な改善
ナルコレプシータイプ1患者さんを対象とした 経口オレキシン2受容体作動薬oveporexton(TAK-861)の第2b相臨床試験データに関する The New England Journal of Medicine誌への掲載について
- 試験データは、主要評価項目および副次評価項目において統計的に有意な改善を示し、ほとんどの被験者が正常範囲に近い覚醒度および検証された広範な症状において臨床的に意義のある改善を達成
- oveporextonの安全性および忍容性は概ね良好
- oveporextonの第3相臨床試験のデータ読み出しは2025年を予定
当社は本日、ナルコレプシータイプ1(NT1)の患者さんにおけるoveporexton(TAK-861)の第2b相臨床試験データがThe New England Journal of Medicine誌に掲載されたことをお知らせします。oveporextonは、NT1の原因となるオレキシン欠乏症を解消するためにオレキシンシグナルを回復させるよう設計された開発中の経口オレキシン2受容体(OX2R)作動薬です。8週間にわたってプラセボと比較し、すべての用量で日中の過度の眠気(Excessive Daytime Sleepiness, EDS)の客観的および主観的な指標の有意な改善、情動脱力発作(カタプレキシー)発現率の減少、疾患の重症度および生活の質(QOL)において臨床的に意義のある改善を示しました。
NT1は、オレキシン産生ニューロンの著しい減少により引き起こされる慢性神経疾患であり、オレキシンレベルが低下し、EDS、カタプレキシー、認知機能症状、夜間の睡眠分断、入眠時や睡眠覚醒時の幻覚や、睡眠麻痺といった症状を伴います。これらの深刻な影響を伴う症状はQOLを著しく低下させ、仕事、学業や人間関係に深刻な影響を及ぼします。現在の標準治療には、さまざまな症状を管理するための多剤併用療法が含まれますが、これらの標準治療のいずれもNT1の根本的なオレキシン欠乏を標的としていません。
治験責任医師のフランス・モンペリエ大学Gui de Chauliac病院神経科睡眠覚醒障害センターのディレクターであるYves Dauvilliers医師は次のように述べています。「NT1は、24時間症状がおこる可能性があり、健康で生産的な生活を送ることが非常に困難な病気です。oveporextonは、NT1の基礎的な病態生理を解決するように設計された開発が最も進んでいるOX2R作動薬です。第2b相臨床試験で得られたデータにより、NT1の患者さんに影響を与える症状に対して全範囲にわたり臨床的に意義のある改善が示されました」
当社のニューロサイエンス疾患領域ユニットヘッド兼グローバル開発ヘッドであるサラ・シーク MD M.Sc., B.M., B.Ch, MRCPは、「NT1の患者さんにとって、出勤や通学、運転や運動、家族や友人との交流などの日常の活動を管理することは、大きな課題になり得ます。第2b相臨床試験データは、オレキシンシグナルを回復させることが、疾患の広範な領域に良好な影響を及ぼし、健常者に見られる通常に近い覚醒度を達成する可能性があることを示唆しています。当社は、oveporextonがNT1患者さんにとって革新的なファースト・イン・クラスの治療選択肢となるよう懸命に開発に取り組んでいます」と述べています。
TAK-861-2001第2b相臨床試験の結果について
TAK-861-2001第2b相臨床試験には、世界中のNT1患者さん(18~70歳)112人が参加しました。被験者は、4つのoveporexton投与群(1日2回投与群:0.5/0.5 mg、2/2 mg、2/5 mgまたは1日1回投与群:7 mg)のいずれか、またはプラセボに均等に割り付けられ、8週間投与されました。主要評価項目および副次評価項目として、覚醒度と日中の眠気の主観的および客観的な指標、カタプレキシー発現率、および安全性に対するoveporextonの影響をプラセボと比較して評価しました。
第2b相臨床試験の結果は以下の通りです。
主要評価項目は、覚醒度の主要な指標である覚醒維持検査(Maintenance of Wakefulness Test, MWT)による平均睡眠潜時はすべての用量でプラセボと比較して改善が見られました(すべての比較において調整済みp≤0.001)。平均睡眠潜時は健常者の対照群で見られる基準値と一致しました。
主な副次評価項目は、EDSの指標であるエプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale, ESS)スコアの有意な減少と、1週間あたりのカタプレキシー発現率(Weekly Cataplexy Rate, WCR)の減少が、すべての用量でプラセボと比較して確認され、その効果は8週間にわたって持続しました。
ナルコレプシー症状の重症度、頻度および影響を評価する臨床試験用ナルコレプシー重症度スケール(NSS-CT)、およびQOLを評価する36項目の短縮版(SF-36)が探索的評価項目として使用されました。NSS-CTドメインスコアは、ほとんどのドメイン(EDS、カタプレキシー、入眠時幻覚および睡眠麻痺)で顕著な改善を示し、SF-36アンケートで評価されたQOLの臨床的に意味のある改善がすべての用量でプラセボと比較して観察されました。
報告された頻度が高かった治療に伴う有害事象(TEAEs)は、不眠症(43%)、尿意切迫感の増加(30%)、および頻尿(29%)でした。ほとんどのTEAEsの重症度は軽度から中等度であり、投与後1〜2日以内に発現し、一過性でした。肝毒性または視覚障害の症例は報告されませんでした。
試験を完了した被験者の大多数(95%)が長期継続投与(LTE)試験に登録し、多くの患者さんが1年またはそれ以上投与を継続しています。
当社は、複数の新薬候補からなるフランチャイズを構築してオレキシン領域の開発を進めています。oveporextonは、このフランチャイズのリードプログラムであり、第3相臨床試験に進んでいる唯一のオレキシン作動薬です。2025年に第3相臨床試験のデータ読み出しを予定しています。
睡眠覚醒障害に対するタケダのオレキシン作動薬について
当社は、患者さんのニーズに合わせた治療法の提供を目指して複数の新薬候補からなるフランチャイズを構築しオレキシン領域の開発を進めています。オレキシンは、睡眠・覚醒サイクルの主要な調節因子であり、呼吸や代謝などの他の重要な生体機能にも関与しています。oveporexton(TAK-861)は、このフランチャイズのリードプログラムであり、米国食品医薬品局および中国国家医薬品監督管理局からNT1における日中の過度の眠気の治療に対するブレークスルーセラピーの指定を受けています。当社はまた、オレキシン神経ペプチドの濃度が正常な患者集団およびオレキシン生理作用が影響を及ぼす疾患を対象として、複数のオレキシン受容体作動薬の開発を進めています。これには、ナルコレプシータイプ2および特発性過眠症の治療薬として開発中の経口OX2R作動薬であるTAK-360が含まれ、米国食品医薬品局からファストトラック(優先審査)指定を受けています。
武田薬品について
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細については、https://www.takeda.com/jp/ をご覧ください。
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