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欧州委員会によるIIb/III/IV期の新規診断を受けたホジキンリンパ腫の成人患者さんに対するECADDとの併用療法としてのアドセトリス®(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)の承認について | 武田薬品

欧州委員会によるIIb/III/IV期の新規診断を受けたホジキンリンパ腫の成人患者さんに対するECADDとの併用療法としてのアドセトリス®(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)の承認について


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2025年6月4日
  • リスク因子を有するIIb期およびIIIまたはIV期のホジキンリンパ腫に対する第3相HD21試験の良好な結果に基づく承認
  • アドセトリスの併用療法は、欧州における標準治療レジメンであるeBEACOPPと比較して優れた安全性プロファイルと有効性を示した
  • ホジキンリンパ腫の一次治療における2番目の承認により、アドセトリスの治療領域が拡大し、欧州連合で既に承認されている6つの適応症に加わる

武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)は、このたび欧州委員会(EC)が、リスク因子を有するIIb期およびIIIまたはIV期の新規診断を受けたホジキンリンパ腫の成人患者さんに対する、エトポシド、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダカルバジンおよびデキサメタゾン(ECADD)との併用療法としてアドセトリス®(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン)を承認しましたのでお知らせします。この決定は、2025年4月25日に欧州医薬品評価委員会(CHMP)からの肯定的見解に基づくものです。

BrECADDとして知られるホジキンリンパ腫の一次治療におけるアドセトリス併用療法の承認は、無作為化第3相HD21試験の結果に基づいています。本試験は、治療関連合併症率(TRMB)および無増悪生存率(PFS)の非劣性において、BrECADDが欧州における標準治療であるブレオマイシン、エトポシド、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾンの増量レジメン(eBEACOPP)と比較して有意に優れた安全性を示し、主要な安全性および有効性の複合主要評価項目を達成しました1

当社のグローバル オンコロジー ビジネス ユニット プレジデントであるテレサ・ビテッティは、「本日の承認は、欧州連合におけるホジキンリンパ腫の患者さんにとって重要な進展を意味します。今回の承認により、特定のリンパ腫の治療におけるアドセトリスの役割が強化され、医療従事者が個々の患者さんのニーズに応じて治療計画を柔軟に調整できるようになります。私たちは、この困難な病気であると診断された患者さんにとって有用なもう一つの選択肢を提供できることを誇りに思います」と述べています。

アドセトリスは、ホジキンリンパ腫の特徴的なマーカーであるCD30を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であり、これまでに欧州連合(EU)において、6つの異なる適応症に対する治療法として承認されています。今回の承認により、アドセトリスによる併用療法は、ホジキンリンパ腫の一次治療における2番目の承認となり、これまで選択肢が限られていた患者さんにとって、利用可能な治療法の幅が広がることになります。

ケルン大学病院(ドイツ)のPeter Borchmann, MD, PhDは、「BrECADDにより、患者さんは、eBEACOPPと比較して、より高い治癒の可能性2*を提供されるだけでなく、治療関連合併症の発現率を大幅に減少させる治療選択肢を利用できるようになります。この新しいアドセトリスの併用療法は、ホジキンリンパ腫の一次治療における成人患者さんに対して新たな標準治療を提供し、患者さんの長期予後の改善に貢献する可能性があります」と述べています。

HD21試験について

HD21試験は、進行期古典的ホジキンリンパ腫患者さんのために新しく合理的にデザインされたCD-30強化一次治療レジメンであるBrECADDの実現可能性、有効性、安全性および忍容性を評価するために設計され、PETによる効果判定を用いた第3相、国際共同、前向き、非盲検、無作為化、多施設試験で、German Hodgkin Study Group(GHSG)が出資しています。

IIb期(巨大縦隔病変および/または節外病変を伴う)、III期またはIV期のホジキンリンパ腫と新たに診断された患者さんを登録し、2サイクルの増量BEACOPPまたはBrECADDを行う群に無作為に割り付けました。中間PETによる効果判定後、さらに2または4サイクルの増量BEACOPPまたはBrECADDの投与を受けるかの決定がなされました。

HD21試験は、同程度の治療効果を維持すると同時に副作用を最小化するための修正治療レジメンを評価することを目的としています。本試験には以下の複合主要評価項目があります。安全性は、一次化学療法において臨床的に重要な急性毒性に焦点を合わせた新規の評価項目である治療関連合併症(TRMB) (優越性)で評価し、有効性はPFS(非劣性)で評価します。副次評価項目は、腫瘍縮小効果(CR率)、OS、1年後の不妊率、二次性悪性腫瘍、有害事象の発現頻度、治療遵守および生活の質(QOL)です。

アドセトリス®(ブレンツキシマブ ベドチン)について

アドセトリスは抗体薬物複合体(ADC)です。ファイザー社の特許技術を利用し、プロテアーゼで切断可能なリンカーによって微小管阻害薬[モノメチルアウリスタチンE(MMAE)]と結合させた抗CD30モノクローナル抗体を含んでいます。血流中では安定を保ち、CD30陽性腫瘍細胞の内部に移行する際にMMAEを遊離するようデザインされた、リンカーシステムを採用しています。

アドセトリス点滴静注用は8つの適応症についてFDAの承認を受けています。

  • 未治療のIII期またはIV期古典的ホジキンリンパ腫(cHL)を有する成人患者さんに対するドキソルビシン、ビンブラスチンおよびダカルバジンとの併用療法(2018)

  • 未治療の高リスク古典的ホジキンリンパ腫(cHL)を有する2歳以上の小児患者さんに対するドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、プレドニゾンおよびシクロホスファミドとの併用療法(2022)

  • 再発または進行のリスクが高いcHLを有する成人患者さんに対する自家造血幹細胞移植(自家HSCT)後の地固め療法(2015)

  • 自家HSCTで効果が得られなかった場合、または自家HSCTが適応とならずに多剤併用化学療法を2回以上実施しても効果が得られなかった場合のcHLを有する成人患者に対する治療(2011)

  • 未治療の全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)またはその他のCD30発現末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)(血管免疫芽球性T細胞リンパ腫およびPTCL, 非特定型を含む)を有する成人患者さんに対するシクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾンとの併用療法(2018)

  • 多剤併用化学療法を1回以上実施しても効果が得られなかったsALCLを有する成人患者さんに対する治療(2011)

  • 原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫(pcALCL)またはCD30発現菌状息肉症(MF)を有する成人患者さんに対する治療(2017)

  • 再発又は難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)〔びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)非特定型(NOS)、低悪性度リンパ腫から移行したDLBCL、または高悪性度B細胞リンパ腫(HGBL)を含む〕を有し2ライン以上の全身療法後で、自己造血幹細胞移植またはCAR T細胞療法に適格でない成人患者さんに対して、レナリドミドおよびリツキシマブ製剤を併用する(2025)

カナダ保健省はアドセトリスに対して、再発または難治性のホジキンリンパ腫およびsALCLを適応症とする条件付きの承認(2013年)、再発または進行のリスクが高いホジキンリンパ腫に対する自家造血幹細胞移植(ASCT)後の地固め療法としての無条件の承認(2017年)、全身療法歴のあるpcALCLまたはCD30発現MF成人患者さんに対する治療としての承認(2018年)、未治療のIV期ホジキンリンパ腫に対してドキソルビシン、ビンブラスチンおよびダカルバジンと併用する治療としての承認(2019年)、ならびに未治療のsALCL、未特定の末梢T細胞リンパ腫(PTCL-NOS)または血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)を有し、腫瘍にCD30が発現している成人患者さんに対してシクロホスファミド、ドキソルビシンおよびプレドニゾンと併用する治療としての承認(2019年)を与えています。

欧州委員会からは2012年10月に条件付きの販売許可を得ており、その販売許可での義務は2022年5月に履行されています。欧州連合で承認されている適応症は、(1)未治療のIII期およびIV期CD30陽性ホジキンリンパ腫成人患者さんに対するドキソルビシン+ビンブラスチン+ダカルバジン(AVD)との併用療法、(2)ASCT後の再発または進行のリスクが高いCD30陽性ホジキンリンパ腫成人患者さんの治療、(3)ASCT後の、またはASCTや多剤併用化学療法が治療選択肢にならない場合は治療を2回以上実施した後の、再発または難治性のCD30陽性ホジキンリンパ腫を有する成人患者さんの治療、(4)再発または難治性のsALCLを有する成人患者さんの治療、(5)未治療のsALCL成人患者さんに対するCHPとの併用療法、ならびに(6)全身療法を1回以上実施した後のCD30陽性皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)成人患者さんの治療、(7)エトポシド、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ダカルバジン、デキサメタゾン(BrECADD)との併用による未治療のCD30陽性のリスク因子を有するIIB期およびIIIまたはIV期のHLの成人患者さんに対する治療です。

アドセトリスは再発または難治性のホジキンリンパ腫およびsALCLを適応症として、80か国以上で規制当局から販売許可を得ています。

アドセトリスは現在、70を超える臨床試験において幅広く評価されています。これらの試験には、ホジキンリンパ腫に対する一次治療を評価する第3相試験(ECHELON-1)、CD30陽性末梢T細胞リンパ腫に対する一次治療として検討する別の第3相試験(ECHELON-2)、その他多くのCD30陽性悪性腫瘍を対象にした臨床試験が含まれます。

ファイザー社と当社はアドセトリスの共同開発費を50:50の割合で負担しますが、日本では当社のみが開発費を負担します。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細については、https://www.takeda.com/jp/ をご覧ください。

重要な注意事項

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。

将来に関する見通し情報

本報告書及び本報告書に関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」、「予測する(forecasts)」、「見通し(outlook)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件並びに国際貿易関係に関する状況を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、税金、関税その他の貿易関連規則を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機、温室効果ガス排出量の削減又はその他環境目標の達成を可能にする武田薬品の環境・サステナビリティに対する取り組みの成功、人工知能(AI)を含むデジタル技術の統合をはじめとする、業務効率化、生産性向上又はコスト削減に向けた武田薬品の取り組み、その他の事業再編に向けた取り組みが、期待されるベネフィットに寄与する程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings-and-security-reports/)又は www.sec.gov Go to https://www.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本報告書に含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本報告書における武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

医療情報

本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。

Footnotes:
* 晩期再発はまれですが、無増悪生存の状態が5年続いていても、治癒を保証するものではありません。患者さんを継続的に経過観察し、症状の再発があれば適時報告するよう促すことが大切です。

References:

  1. Borchmann P, Ferdinandus J, Schneider G, et al. Assessing the efficacy and tolerability of PET-guided BrECADD versus eBEACOPP in advanced-stage, classical Hodgkin lymphoma (HD21): a randomised, multicentre, parallel, open-label, phase 3 trial [published correction appears in Lancet. 2024 Nov 30;404(10468):2164. doi: 10.1016/S0140-6736(24)02571-6.]. Lancet. 2024;404(10450):341-352.
  2. Bröckelmann PJ, Goergen H, Kohnhorst C, von Tresckow B, Moccia A, Markova J, Meissner J, Kerkhoff A, Ludwig WD, Fuchs M, Borchmann P, Engert A. Late Relapse of Classical Hodgkin Lymphoma: An Analysis of the German Hodgkin Study Group HD7 to HD12 Trials. J Clin Oncol. 2017 May 1;35(13):1444-1450. doi: 10.1200/JCO.2016.71.3289. Epub 2017 Feb 27. PMID: 28240973.