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デング熱ワクチン(TAK-003)が、4歳から16歳の小児・若年層においてデングウイルスの感染歴に関係なく発症予防効果を示した臨床第3相試験の結果をNew England Journal of Medicineにて発表

デング熱ワクチン(TAK-003)が、4歳から16歳の小児・若年層においてデングウイルスの感染歴に関係なく発症予防効果を示した臨床第3相試験の結果をNew England Journal of Medicineにて発表


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November 7, 2019

- 現在実施中のデング熱ワクチングローバル臨床第3相試験における主要評価項目の解析結果がNew England Journal of Medicineに掲載
- デング熱流行地域であるラテンアメリカおよびアジアの20,000名以上の被験者に対し、3か月間隔でデング熱ワクチン2回接種もしくはプラセボ接種にて比較
- 試験全体でのウイルス学的に確認されたデング熱感染に対する有効率は80.2%(接種2回目以後12か月間追跡)、副次評価項目の探索的解析では、ワクチン接種前の血清反応が陽性の被験者群で82.2%、陰性の被験者群で74.9%の有効率を示し、現時点で重大な安全性の懸念は報告されておらず良好な忍容性を確認
- 有効性に関する副次評価項目の正式な解析結果(接種2回目以後18か月間追跡)は、2019年末に発表予定;トータル4.5年間の有効性および安全性を評価

当社は、このたび、現在実施中のデング熱ワクチン(TAK-003)のグローバル臨床第3相試験であるTIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)の主要評価項目の解析結果が、New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載されましたのでお知らせします。当社が開発中のTAK-003は、4歳から16歳の小児・若年層において、主要評価項目であるウイルス学的に確認されたデング熱感染(VCD)に対する予防効果を示しました。TAK-003の初回接種3か月後に2回目を接種した後、12か月の追跡期間におけるワクチン有効率(VE)は80.2%(95%信頼区間:73.3%~85.3%、p<0.001)でした。また、あらかじめ設定されていた副次評価項目の探索的解析では、デングウイルス感染歴のある被験者および感染歴のない被験者において同様の予防効果が示されました(それぞれVE:82.2%(95%信頼区間:74.5%~87.6%)、VE:74.9%(95%信頼区間:57.0%~85.4%))。その他の探索的解析では、デング熱による入院が95.4%減少したことが示されています(95%信頼区間:88.4%~98.2%)。重症感染例に対する有効性については、症例数が少数であったため評価不能でした。TAK-003の初回接種から予防効果が見られ、初回接種と2回目接種の間におけるVEは81%(95%信頼区間:64.1%~90.0%)でした。

TAK-003の忍容性は全般的に良好であり、現時点で重大な安全性の懸念は報告されていません。本試験において示された安全性プロファイルは、これまでに実施されたTAK-003の臨床試験と同様でした。当社はTIDES試験を継続実施し、トータル4.5年間の安全性および有効性を評価します。

NEJMに掲載された論文の筆頭著者であるHumberto Reynales, M.D., Ph.D.は、「この初回解析結果は大変喜ばしいものであり、このワクチンがデング熱およびデング熱に伴う入院に対し、重要な公衆衛生上の利益をもたらし得ることを示しています。本ワクチンの長期的な有効性と安全性を評価するため、継続的に試験結果を解析していくことが重要です。 より長期間の追跡データによって今回の初回解析結果が裏付けられた場合、デング熱の治療に取り組む世界中の人々にとって極めて重要な一歩となります」と述べています。

International Vaccine InstituteのSenior AdvisorであるIn-Kyu Yoonは、「世界保健機関(WHO)によると、デング熱はグローバルヘルスに対する10大脅威の1つであり、流行地域においてデング熱がもたらす大きな負の影響を軽減できる安全かつ有効なワクチンの提供が極めて重要です。これまで、デング熱に対するワクチン開発、特にデングウイルスの感染歴がない方々に対する開発は困難でしたが、本試験の結果では感染歴のない多くの被験者においてもデング熱に対する予防効果が示されています」と述べています。

<デングウイルスの血清型別の効果について>
TIDES試験では、4種すべての血清型によるデングウイルス感染が観察されました。副次評価項目に関する探索的解析では、ウイルス型別のTAK-003の効果が報告されています。1型のVEは73.7%(95%信頼区間:51.7%~85.7%)、2型では97.7%(95%信頼区間:92.7%~99.3%)、3型では62.6%(95%信頼区間:43.3%~75.4%)でした。4型によるデングウイルス感染は現時点では発症例数が少なく、十分な評価を行うことができませんでした(VE:63.2%、95%信頼区間:-64.6%~91.8%)。

さらなる探索的解析では、1型および2型については本ワクチン接種前の血清反応が陽性および陰性の被験者で同様の有効率が示されました。3型については、本ワクチン接種前の血清反応が陽性の被験者におけるVEは71.3%(95%信頼区間:54.2%~82.0%)でしたが、本ワクチン接種前の血清反応が陰性の被験者においては、確定的ではないものの有効性がみられなかったことが示されています(VE:-38.7%、95%信頼区間:-335.7%~55.8%)。本ワクチン接種前の血清反応が陰性の被験者においては、4型によるデングウイルス感染例はありませんでした。

<継続中の解析について>
主要評価項目データの論文化中に、当社は実施中のTIDES試験における追加のデータを受領しました。それにより、追跡期間が6カ月追加され、有効性に関する副次評価項目の評価結果を得ることができました。主要評価項目ならびに副次評価項目の解析結果はいずれも、本年11月20日~24日にメリーランド州ナショナル・ハーバーにて開催される米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene:ASTMH) 第68回年次集会にて発表される予定であり、査読が実施される学術誌にも投稿しています。

当社Global Vaccine Business UnitのPresidentであるRajeev Venkayyaは、「当社は、TIDES試験から得られた、この待ち望んでいた結果をご報告できることを嬉しく思います。本試験では、アジア及びラテンアメリカの国々で、デングウイルス感染歴のない多くの子供たちを含む国際的に多様な被験者において、当社が開発中のワクチンの有用性が検討されました。TAK-003の有効性および安全性プロファイルを完全に明らかにするにはさらなるデータが必要ですが、今回得られた知見はTAK-003が世界中のすべての人々においてデング熱の脅威に対抗できる可能性を強く示唆しています。今後さらなるデータをお届けするとともに、保健当局や科学界、公衆衛生および医学界にこれらの知見を共有してまいります。また、将来のエビデンス構築の優先順位、製造販売許可を得られた後の本ワクチンの提供範囲とベネフィットを最大化するために当社が保健当局や各界と連携し、より深く関わっていけることを楽しみにしています」と述べています。

TIDES試験は継続実施中であり、特にデングウイルス3型で本ワクチン接種前の血清反応が陰性の被験者における有効性および安全性を明確にするには、さらに長期のデータが必要です。当社はデング熱流行地域におけるデング熱の脅威に対し、グローバルヘルスの専門家の知識や本試験から得られたデータを生かすべく、積極的に取り組んでいます。現時点で、TAK-003は世界のどの国や地域においても製造販売承認を受けていません。

<グローバル臨床第3相TIDES試験(DEN-301試験)について>
二重盲検、無作為化、プラセボ対照のグローバル臨床第3相TIDES試験は、小児・若年層被験者を対象とし、4種すべての血清型によって引き起こされる、ウイルス検査レベルで感染が確認されたあらゆる重症度の症候性デング熱の予防において、TAK-003を2回接種した際の安全性および有効性を評価しています。本試験の被験者は、試験開始1日目および90日目にTAK-003 0.5 mLもしくはプラセボを皮下投与にて接種する群のいずれかに無作為に割り付けられました。本試験は3つのパートで構成されており、主要評価項目の解析(パート1)では初回接種後15ヵ月までのTAK-003の有効性および安全性を評価しました(接種2回目以後12カ月間追跡)。パート2では、更に観察期間を6ヵ月間追加し、血清型、ワクチン接種前の血清状態および重症度による有効性の副次評価項目の評価を行います。パート3ではパート2完了後の被験者に対しさらにその後3年間の有効性と長期的な安全性を追跡評価します。

本試験はデング熱流行地域であるラテンアメリカ(ブラジル、コロンビア、パナマ、ドミニカ共和国およびニカラグア)およびアジア(フィリピン、タイおよびスリランカ)にて実施されており、これらの地域ではデング熱予防のアンメットニーズが高く、重症型デング出血熱は小児の重篤な疾患および死亡を引き起こす主たる要因となっています。ワクチン接種前の血液サンプルを本試験に参加するすべての被験者から採取しており、接種前の血清抗体価(デングウイルス感染歴の有無)別の安全性および有効性を評価することが可能です。当社および専門家で構成される独立データモニタリング委員会は積極的な安全性のモニタリングを継続して行っています。

<TAK-003について>
当社の4価デング熱ワクチン(TAK-003)は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の"バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースに構築されています。小児・若年被験者を対象とした臨床第1相試験および臨床第2相試験において、本ワクチン接種前の血清反応が陽性および陰性の被験者双方とも、TAK-003は4種すべての血清型に対して免疫応答を誘導し、一般的に安全で良好な忍容性を示しました。

<デング熱について>
デング熱は、最も急速に感染が拡大している蚊媒介感染症で、世界保健機関(WHO)は、2019年のグローバルヘルスに対する10の脅威の1つにデング熱を挙げています。デング熱は主にネッタイシマカ、および比較的低い割合でヒトスジシマカによって媒介され、4 種のウイルス血清型すべてがデング熱または重症型デング出血熱を引き起こす可能性があります。個別の血清型羅患率は地理、地域、国や季節によって異なり、また時間の経過とともに変化していきます。ある血清型のウイルスに感染した場合、その血清型に対する免疫は一生涯続きますが、後に異なる血清型のウイルスに感染した場合、重症化のリスクが高まります。

デング熱はパンデミックの可能性がある感染症で、熱帯または亜熱帯地域で流行し、近年では米国およびヨーロッパの一部でも流行しました。世界の人口の約半分がデング熱の脅威にさらされており、世界全体で約3.9億人が感染し、20,000人が毎年亡くなっています。デング熱はあらゆる年齢層の人々が感染する可能性があり、ラテンアメリカおよびアジアの子供達にとっては重篤な疾患を引き起こす主な要因となっています。

<当社のワクチンに対する取り組みについて>
ワクチンは、毎年200~300万人の生命を救い、世界の公衆衛生に劇的な変化をもたらしました。当社は、70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、ジカウイルス感染症、ノロウイルス感染症など、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。当社はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。詳細については、www.TakedaVaccines.comをご覧ください。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、消化器系疾患、希少疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国および地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

以上