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世界睡眠学会におけるオレキシン2受容体選択的作動薬TAK-925のナルコレプシータイプ1患者における初期段階の有効性データ発表について

世界睡眠学会におけるオレキシン2受容体選択的作動薬TAK-925のナルコレプシータイプ1患者における初期段階の有効性データ発表について


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September 26, 2019

- 初期段階のPOC(proof of concept)試験において、TAK-925のナルコレプシータイプ1患者における良好な忍容性とプラセボと比較して覚醒延長を確認
- 断眠した健康成人におけるTAK-925の2つ目の臨床第1相試験で、良好な忍容性とプラセボに比し夜間の覚醒延長を確認
- 経口投与可能なオレキシン2受容体選択的作動薬であるTAK-994は、病態モデルマウスにおいてナルコレプシー症状の低減が確認され、臨床第1相試験に移行中

当社は、このたび、開発中のオレキシン2受容体選択的作動薬であるTAK-925のナルコレプシータイプ1に対する臨床第1相POC(proof of concept)試験ならびに断眠した健康成人を対象とする臨床試験の結果データを発表しましたのでお知らせします。これらの試験において、TAK-925の9時間単回静脈内投与時の安全性、忍容性、薬物動態、薬力学的作用が検討され、いずれの試験においてもTAK-925はすべての用量において良好な忍容性を示しました。これらの試験結果は、カナダのバンクーバーで開催中の2019年世界睡眠学会にて発表されました。

公益財団法人東京都医学総合研究所の睡眠プロジェクトリーダーである本多 真医師[*]は、「ナルコレプシータイプ1は、日中における過度の眠気やカタプレキシーとして知られる覚醒時の突然の脱力を伴う、重篤な疾患です。脳内においてオレキシン産生ニューロンが失われることで発症するナルコレプシータイプ1に関しては、より良い治療法に対する大きなニーズがあります。今回発表された結果は、オレキシン2受容体選択的作動薬がナルコレプシータイプ1における日中の過度の眠気に対する有用な治療法である可能性を示唆しています」と述べています。

ナルコレプシータイプ1患者に対し、TAK-925はプラセボに比し覚醒延長を示しました。14名のナルコレプシータイプ1患者を3つの連続した用量群に登録し、探索的な薬力学的エンドポイントに対するTAK-925の影響を、各群無作為割付、二重盲検プラセボ対照2群2期クロスオーバー法にて検討しました。

ナルコレプシータイプ1患者における薬力学的評価指標には次の項目が含まれています。1)覚醒維持検査(MWT)での入眠潜時: TAK-925もしくはプラセボを投与する9時間静脈投与する間に40分間の検査を2時間のインターバルで4回実施、2)Karolinska Sleepiness Scale(KSS):投与前および投与中、毎時測定。MWTによる平均入眠潜時はプラセボ群(13名)で2.9分、TAK-925の5mg群(6名)で22.4分、11.2mg群(4名)で37.6分、44.8mg群(4名)で40分でした。KSSの結果はMWTの入眠潜時の結果を裏付けるものであり、患者レポートによるとTAK-925の投与中、プラセボに比して眠気のスコアが低いことが示されました。

断眠した健康成人において、TAK-925は夜間の覚醒延長が示されました。本試験は、単一施設、無作為割付、二重盲検プラセボ対照ならびに実薬対照群とのクロスオーバー法にて、20名の断眠した健康成人男性を対象として実施されました。主要評価項目はMWTによる入眠潜時であり、プラセボ群(20名)における平均入眠潜時は8.6分、TAK-925の44mg投与群(18名)では25.4分、112mg投与群(18名)では38.8分でした。KSSの結果は全体的にMWTで得られた結果を反映するものでした。

当社ニューロサイエンスのGlobal Program LeadであるDeborah Hartmanは、「オレキシンは睡眠-覚醒の主要な調節因子と考えられており、今回得られた初期段階の結果は、オレキシン2受容体作動薬が、オレキシンが欠乏しているナルコレプシータイプ1において日中の眠気を軽減させる可能性を示唆しています。さらに、オレキシンが通常レベルであると考えられる健康成人において覚醒促進作用が見られたことは注目に値します。当社にとってこれらの初期段階の結果はとても励みになるものであり、ナルコレプシータイプ1やその他ナルコレプシータイプ2、特発性過眠症など日中の過度の眠気を有する疾患におけるオレキシン2受容体選択的作動薬のさらなる臨床的検討を進め、閉塞性睡眠時無呼吸による日中の過度の眠気に対する治療薬となる可能性についても検討してまいります」と述べています。

当社は、現在臨床第1相試験段階にある経口投与可能なオレキシン2受容体選択的作動薬であるTAK-994に関する前臨床試験のデータについても、世界睡眠学会において2件、ポスター発表しました。ナルコレプシーの病態モデルマウス2種において、TAK-994は活動時の覚醒時間の増加を示し、カタプレキシー様症状を抑制しました。

当社ニューロサイエンスのGlobal HeadであるEmiliangelo Rattiは、「当社は、ナルコレプシータイプ1や他の睡眠-覚醒障害を有する方々が、よりバランスのとれた生活を送ることができるよう、尽力してまいります。当社はオレキシン2受容体作動薬の様々な疾患に対する治療薬としての可能性についてより深い知見を得るために、数々のアプローチを行っています。引き続き、科学分野、医療分野、患者さんのコミュニティと強固な連携をはかり、当社重点領域における研究と画期的な治療薬の開発を進めてまいります」と述べています。

TAK-925は日本の厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、また、米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Therapyならびにオーファン・ドラッグとしての指定を受けています。

これらの先駆的な臨床試験に参加いただいたすべての方々に心より感謝申しあげます。
当社のオレキシン関連の開発プログラムや今後のTAK-925およびTAK-994の臨床試験情報についてはhttp://www.ox2rsparkleprogram.comまでアクセスください。

 

[*] 本多医師は、ナルコレプシータイプ1試験をサポートした医師であり、当社とコンサルタント契約を締結しています。


<ナルコレプシータイプ1について>
ナルコレプシーは慢性の神経疾患であり、脳の睡眠-覚醒サイクルの調節機能が障害される疾患です。全世界で約300万人、米国では約20万人が本疾患を有していると考えられています。ナルコレプシータイプ1は情動脱力発作を伴うナルコレプシーで、オレキシン産生ニューロンの欠乏により、日中の過度の眠気や、強い感情によって引き起こされる突然の筋脱力であるカタプレキシーなどの症状を呈します。

<TAK-925およびTAK-994について>
TAK-925およびTAK-994は、湘南に所在する当社研究所で創製された新規の低分子オレキシン2受容体選択的作動薬です。TAK-925ならびにTAK-994いずれも、現在臨床第1相試験の段階です。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、消化器系疾患、希少疾患およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国および地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

以上