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「中等症から重症の活動期のクローン病」に対する「エンタイビオ®」の 製造販売承認事項一部変更承認の取得について

「中等症から重症の活動期のクローン病」に対する「エンタイビオ®」の 製造販売承認事項一部変更承認の取得について


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May 22, 2019

- 日本の「中等症から重症の活動期のクローン病」の成人患者さんに新たな治療法の選択肢

当社は、このたび、「エンタイビオ®」(一般名:ベドリズマブ 開発コード:MLN0002、以下「エンタイビオ」)について、中等症から重症の活動期のクローン病の治療及び維持療法の治療薬として、厚生労働省より製造販売承認事項一部変更の承認を取得しましたのでお知らせします。本剤は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療及び維持療法の治療薬として2018年7月に厚生労働省より製造販売承認を取得し、同年11月に発売しました。

当社は、中等症から重症のクローン病患者157名を対象に、導入療法及び維持療法におけるエンタイビオの有効性、安全性及び薬物動態を検討した国内臨床第3相試験であるCCT-001試験の結果、ならびに中等症から重症のクローン病患者を対象としたベドリズマブの海外臨床第3相試験であるGEMINI II試験(対象患者数1,115名)およびGEMINI III試験(対象患者数416名)の結果に基づき、2018年7月に厚生労働省に製造販売承認事項の一部変更承認申請を行いました。

慶應義塾大学 医学部消化器内科 教授の金井隆典医師は、「クローン病は潰瘍性大腸炎とともに炎症性腸疾患のひとつです。日本国内におけるクローン病患者数は急速に増加し、日々の生活に困難を抱えている患者さんが数多くいらっしゃいます。エンタイビオは腸管選択的に免疫反応を調節する新しい作用機序を有する生物学的製剤で、昨年、潰瘍性大腸炎の新規治療薬として承認を受けました。今回、本剤がクローン病の治療薬としても承認されたことで、患者さんにとって新たな治療選択肢が増えることになり、クローン病治療における課題解決や患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)向上に貢献すると期待しています」と述べています。

当社の日本開発センター所長である廣田直美は、「世界60 カ国以上で承認され、日本では昨年から潰瘍性大腸炎の治療および臨床的寛解の維持に寄与している本剤を、国内のクローン病の患者さんにおいても新たな治療選択肢として提供できることを嬉しく思います。このたびの効能・効果の追加は、当社にとって極めて重要なマイルストンです。当社は引き続き、一人でも多くの患者さんにより良い日常生活を送っていただけるよう、革新的な医薬品の提供に努めてまいります」と述べています。

<クローン病について>
現在、日本におけるクローン病の患者数は4万人以上と推定されています。 クローン病は最も代表的な炎症性腸疾患の一つで、再燃と寛解を繰り返す慢性の炎症が小腸や大腸を中心とした消化管のあらゆる部位に非連続的に認められる進行性の疾患です。よく見られる症状は、下痢、腹痛、発熱、体重減少、栄養障害です。クローン病の正確な原因については明らかになっていませんが、最近の研究では、遺伝素因や環境要因に加え、腸内細菌抗原に対する異常な免疫応答といった様々な因子が関与する、多因子疾患と考えられています。

<CCT-001試験について>
中等症又は重症の日本人クローン病患者157名を対象として、ベドリズマブの導入療法、維持療法それぞれの有効性を検討した多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験です。
導入期では、二重盲検法により0週目、2週目、6週目にベドリズマブ300mgを投与する群とプラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けました。10週目に行った有効性の評価時、ベドリズマブ投与により改善(CDAI-70改善:CDAIスコアがベースラインから70ポイント以上減少)がみられた患者を14週目に維持期に組み入れ、54週目まで8週間毎にベドリズマブ300mgを投与する群とプラセボを投与する群のいずれかに無作為に割り付けました。維持期では、有効性の統計学的な検証を目的とせず、海外で実施された臨床試験結果との類似性が検討されました。
導入期の主要評価項目である10週目CDAI-100改善(CDAIスコアがベースラインから100ポイント以上減少)の割合を比較したところ、プラセボ群(16.7%)よりベドリズマブ群(26.6%)の方が上回っていたものの、統計学的に有意な差は認められませんでした[P=0.1448;調整オッズ比(AOR)=1.80;95% CI, 0.816-3.958]。本試験の維持期の主要評価項目である60週目寛解(CDAIスコアが150ポイント以下)の割合は、プラセボ群(16.7%)、ベドリズマブ群(41.7%)でした。導入期および維持期の主要評価項目および副次評価項目は、GEMINI IIおよびIII試験で得られた結果と概ね同様の傾向を示しました。さらに、発現した有害事象は概ね軽度から中等度であり、安全性に関して治療群間で臨床的に明らかな違いはみられませんでした。

<GEMINI試験について>
ベドリズマブの安全性及び有効性はGEMINI試験の結果によって評価されています。GEMINIⅠ試験、GEMINIⅡ試験、GEMINIⅢ試験、GEMINI LTS(非盲検、長期安全性)試験、以上4つの臨床第3相試験で構成されており、約40カ国において、潰瘍性大腸炎又はクローン病を有する2,400名の患者が登録されました。
・GEMINⅠ試験:中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎患者を対象に、導入療法及び維持療法におけるベドリズマブの投与について評価したプラセボ対照試験
・GEMINIⅡ試験:中等症から重症の活動期クローン病患者を対象に、導入療法及び維持療法におけるベドリズマブの投与について評価したプラセボ対照試験
・GEMINIⅢ試験:中等症から重症の活動期クローン病患者を対象に、導入療法におけるベドリズマブの投与について評価したプラセボ対照試験
・GEMINI LTS試験:潰瘍性大腸炎又はクローン病のいずれかを有する患者を対象に、ベドリズマブの長期安全性について評価した非盲検試験

<Entyvio® (ベドリズマブ)(国内販売名:エンタイビオ)について>
ベドリズマブは消化管に選択的に作用する生物学的製剤であり、現在、静注製剤として承認されています。本剤はα4β7インテグリンと特異的に拮抗し、α4β7インテグリンの腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)への結合を阻害しますが、血管細胞接着分子1(VCAM-1)への結合は阻害しないようデザインされた、ヒト化モノクローナル抗体です。MAdCAM-1は消化管の血管およびリンパ節に選択的に発現しています。 一方、α4β7インテグリンは循環血液中の白血球サブセットに発現しています。これらの細胞は、潰瘍性大腸炎とクローン病における炎症プロセスを調節するうえで重要な役割を果たしていることが明らかになっています。α4β7インテグリンを阻害することで、ベドリズマブはある種の白血球細胞が消化管組織へ浸潤することを制限できる可能性があります。
ベドリズマブ静注製剤は、標準療法又は抗TNFα抗体による治療のいずれかに対し効果不十分、効果減弱がみられた、もしくは不耐性である中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病成人患者に対する治療薬として承認されています。ベドリズマブ静注製剤は米国や欧州連合など、現在60カ国以上の国で承認を取得しており、これまでに260,000人年(patient years)以上が本剤の投与を受けています。

<注意事項>
本文書に記載されている医薬品の情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。

以上