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慢性副甲状腺機能低下症による患者負担と長期的な影響についての新たなデータを米国内分泌学会2019年年次総会にて発表

慢性副甲状腺機能低下症による患者負担と長期的な影響についての新たなデータを米国内分泌学会2019年年次総会にて発表


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March 27, 2019

本資料は、2019年3月26日(現地時間)に発表した英語版プレスリリースを翻訳・編集し、配信するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。英文のプレスリリースは、グローバルサイト:https://www.takeda.com/newsroom/からご覧下さい。

− 長期にわたる腎臓および心血管系合併症を含む、患者の生活の質(QOL)への影響を定量化
− rhPTH(1-84)を継続的に用いた6年間の研究の最終結果として、ミネラルの恒常性に関する主要な指標が改善

 

当社は、このたび、慢性副甲状腺機能低下症における患者および介護者に対する負担、ならびに通常療法における腎臓および心血管合併症の潜在的な長期リスクを明らかにする新しいデータを発表しましたので、お知らせします。長期安全性および有効性を評価したオープンラベル試験であるRACE試験の6年間の結果もあわせ、当社はこれらのデータを、米国ルイジアナ州ニューオーリンズで3月23日から26日にかけて開催された米国内分泌学会(ENDO)の2019年年次総会で発表しました。

ニューヨークのColumbia University Irving Medical Center 医学部教授であるJohn Bilezikian博士は、「13カ国で実施されたBurden of Illness Global Surveyの結果から、副甲状腺機能低下症が患者さんおよびその介護者の日常生活にどの程度の影響を及ぼすかが明らかにされています。本結果がもたらす重要な知見により、患者さんが直面する可能性のある潜在的な心血管リスクに対するより深い理解をもとに、腎臓の他の合併症もあわせ、患者さんの管理においてより包括的なアプローチをとることが可能になります」と述べています。

当社のGlobal Medical Team LeadであるJohn Germakは、「今後さらに、本疾患を調査し、長期的な影響についてさらなるデータを集めてまいります。患者さんから直接貴重な知見を得ることにより、本疾患の複雑な病態とその管理についての理解が深まり、ENDOで発表されたデータはそれに資するものであるといえます」と述べています。

Burden of Illness Global Surveyに関する3つの演題が、ENDOにおいて初めて発表されました。この種の多国間にわたる自己申告の調査では、当該試験が初めての大規模試験であり、フィジカルおよびメンタルヘルスの指標を用い、疾患による負担と影響を計測しています。その結果、慢性副甲状腺機能低下症によって起こっている症状や健康関連のQOLへの影響が、通常療法や介護者のサポートによっても適切にコントロールされていないことが示されています。

また、慢性腎臓病(CKD)のリスクとその進行に関する新しいデータも、慢性副甲状腺機能低下症における推算糸球体濾過量(eGFR)の低下を調査する研究と共に発表されました。 さらに、慢性副甲状腺機能低下症における心血管疾患のリスクを見た研究の結果も、これまでの研究では限られたデータしか得られていなかった分野のデータとして発表されました。

RACE試験の6年間の最終結果において、カルシウム投与量の減少、カルシトリオール投与量の減少および血清カルシウム値の正常化または維持を有効性評価項目として評価し、遺伝子組み換えヒト副甲状腺ホルモンrhPTH (1-84)による治療を受けた慢性副甲状腺機能低下症患者におけるミネラル恒常性に関する主要な測定データを発表しました。さらに、本試験では、これまで実施された臨床試験の結果と同様の安全性プロファイルが示されました。

当社は、計8件の演題を当学会で発表しており、本疾患に関する知識と経験をさらに積み重ねています。
すべての演題のアブストラクトは、ENDO 2019のWebサイト(https://www.abstractsonline.com/pp8/#!/5752)から入手可能です。

<Burden of Illness Global Patient and Caregivers Surveyについて>
本調査の結果、慢性副甲状腺機能低下症の患者さんでは、身体的疲労(97%)、筋肉のけいれん(86%)、しびれ(84%)、朦朧感(77%)、不安(78%)およびうつ(76%)を含む多くの負担となる症状がみられることが示されています。症状の重篤度は、健康に関連するQOLの低下と相関していました。
患者さんは症状日記を通じて生活習慣への影響も報告しており、睡眠への影響(78%)、運動能力(84%)、作業能力(75%)、そして家族関係への影響(63%)が示されています。同様に、介護者による報告では配偶者/パートナー、家族や友人との関係に大きな影響があったと報告されています。

<慢性副甲状腺機能低下症における長期合併症について>
4件の研究が発表されています。慢性かつ副甲状腺機能が低下していない患者と慢性副甲状腺機能低下症の患者で、CKDとその進行リスクを比較する後ろ向きコホート研究の結果、慢性副甲状腺機能低下症の患者ではステージ3以上のCKDを発症するリスクおよび末期腎不全への進行が有意に高いことが示されました。加えて、腎機能の主要指標であるeGFRに関し、慢性副甲状腺機能低下症と経時的なeGFR低下率の上昇に相関があることが、コホートのサブグループにおいて入手できた検査データから示されました。さらに、副甲状腺機能低下症の患者さんでは、背景をマッチさせた副甲状腺機能低下症のない患者さんと比較して、腎結石症および腎石灰沈着症のリスクが高いことが示されました。
別の後ろ向きコホート研究では、慢性副甲状腺機能低下症患者さんと副甲状腺機能低下のない患者さんにおける心血管(CV)リスクを比較し、データベース分析の結果、慢性副甲状腺機能低下症患者さんは、副甲状腺機能低下のない患者さんと比較して、冠動脈疾患、末梢血管障害および心不全といった心血管疾患や脳血管疾患の複合エンドポイントそれぞれについて、発症リスクが高いことが示されています。
ENDOで初めて発表されたこれらの試験は、長期合併症と慢性副甲状腺機能低下症とのリスクの関連性を検証する体系的な方法を採用していました。仮説が多く生まれ、さらなる研究が必要と考えられていますが、これらの研究結果により貴重な新しいデータとこのまれな疾患に対するさらなる知見がもたらされました。

<rhPTH (1-84)を用いた6年間の長期安全性・有効性試験であるRACE試験について>
ENDOにて発表したRACEオープンラベル試験の6年間の結果により、慢性副甲状腺機能低下症患者さんに対するrhPTH (1-84)による治療は、これまでの臨床試験と同様の安全性プロファイルを有し、ミネラル恒常性の主要な指標、特に尿中カルシウム値に影響を及ぼしました。アルブミン補正血清カルシウムレベルは正常範囲内に留まり、尿中カルシウム排泄、血清リン酸塩、血清クレアチニン、およびeGFRに大きな変動はありませんでした。経口カルシウムおよびカルシトリオールの投与量は、ベースラインと比較してそれぞれ40%および70%以上減少しました。

<副甲状腺機能低下症について>
副甲状腺機能低下症は、頸部の副甲状腺からの副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が異常に低くなる希少内分泌疾患であり、人体のミネラルバランスに異常をきたす疾患です。慢性副甲状腺機能低下症は、血液中のカルシウム濃度とPTHレベルがきわめて低い患者さんに見られます。術後副甲状腺機能低下症の場合、手術後少なくとも6ヶ月間、副甲状腺機能低下症の特徴が持続します。慢性副甲状腺機能低下症は、患者さんの健康に関連したQOLに重大な影響を及ぼし、重篤な長期合併症につながることもあります。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、消化器系疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および希少疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国および地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

以上