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当社ジカウイルスワクチンの米国食品医薬品局(FDA)によるファスト・トラック指定(Fast Track designation)について

当社ジカウイルスワクチンの米国食品医薬品局(FDA)によるファスト・トラック指定(Fast Track designation)について


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January 30, 2018

- 本ファスト・トラック指定は、ジカウイルス感染症の脅威ならびにその脅威にさらされている人々に対し安全かつ有効なワクチンの必要性を示唆

- 2017年11月に米国にて当社ジカウイルスワクチン(TAK-426)の臨床第1相試験(ZIK-101)を開始

- 当社ジカウイルスワクチンプログラムは、米国保健福祉省の事前準備対応次官補局の一部門である生物医学先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)の助成を受け実施中

当社は、このたび、アラムアジュバント含有全粒子不活化精製ジカウイルスワクチン(TAK-426)が、米国食品医薬品局(FDA)よりファスト・トラック指定を受けたことをお知らせします。

FDAによるファスト・トラック指定制度は、アンメットメディカルニーズを満たす治療困難な疾患に対する治療薬およびワクチンの開発を促進し、迅速に審査するために考案された制度です。ファスト・トラック指定制度のもと、FDAとのより綿密な連携、承認申請における逐次審査が可能となり、関連する基準を満たす場合には、優先審査の対象となります。

ジカウイルスは、妊娠中に感染した母親から産まれた乳児に小頭症やその他の先天的な脳障害を含む先天性ジカウイルス感染症を起こすことがあります。また、ギラン・バレー症候群と呼ばれる神経学的合併症を引き起こすことも示唆されています。近年、ジカウイルスは、米国を含む84を超える国や地域に広がっています。現在、ジカウイルス感染症に対するワクチンや治療薬は存在しません。

当社のGlobal Zika Program LeadであるLaurence De Moerloozeは、「当社は、ジカウイルスによる公衆衛生上の脅威を認識しています。当社は、生物医学先端研究開発局(BARDA)からの助成を受けた後、直ちにプロジェクトチームを編成し、最優先でジカウイルスワクチンの開発に取り組みました。そして、契約締結から15ヵ月以内に臨床第1相試験を開始しました。今回のファスト・トラック指定、BARDAによる継続的な支援および当社が有する実績により、当社は、引き続き迅速な開発を進めることができるものと確信しています。当社は、この重要なワクチンの開発について、FDAおよびBARDA、ならびに世界中の保健当局と密接に協働していきます」と述べています。

現在、当社のジカウイルスワクチンは、米国の臨床試験実施申請(Investigational New Drug :IND)承認下において臨床第1相試験(ZIK-101)を実施中です。ZIK-101試験において最初に得られた成績から妥当と判断された場合、当社は可及的速やかに臨床第2相試験を開始することを目指します。

当社では、ジカウイルス感染症以外にもデング熱、ノロウイルス感染症、ポリオなど優先度の高い感染症に取り組み、これらのワクチンの開発を進めています。当社のデング熱ウイルスワクチンであるTAK-003もまた、ファスト・トラック指定を受け、現在、臨床第3相有効性試験を実施中であり、今年中に最初の試験成績を得られる見込みです。

<米国政府助成金について>

当プロジェクトは、米国保健福祉省の事前準備対応次官補局の一部門であるBARDAより助成を受けています。 (契約番号.HHSO100201600015C)

<ジカウイルス感染症について>

ジカウイルス感染症は、主にネッタイシマカによって媒介されるウイルスによって引き起こされます。ジカウイルス感染症の症状には、軽度の発熱、皮疹、結膜炎、筋肉および関節痛、ならびに倦怠感または頭痛があります。世界保健機関(WHO)によると、ジカウイルスは小頭症を含む先天性ジカウイルス感染症と呼ばれる重篤な先天性異常を起こし、末梢神経系の希少疾患であるギラン・バレー症候群の原因となります。また、他の神経系合併症との関連性についても研究がなされています。2016年2月WHOは、ジカウイルス感染症の流行について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」であると宣言し、米国疾病対策センター(CDC)は、ジカウイルス感染症への取り組みを最も重要度・緊急度の高いレベルに引き上げました。その後、WHOによりPHEICの解除宣言がなされましたが、ジカウイルス感染症は、公衆衛生上、未だ重大な脅威です。

<ZIK-101について>

ZIK-101試験は、18歳から49歳までの男女被験者240名を対象に、ジカウイルスワクチン(TAK-426)の安全性と免疫原性を評価する無作為化、プラセボ対照、二重盲検試験です。当臨床第1相試験では、今後のTAK-426の臨床試験を見据えて複数の用量で評価を行います。当試験は、米国IND承認下で、米国にて実施中です。 (Clinicaltrials.gov identifier: NCT03343626)

<当社のワクチンに対する取り組みについて>

ワクチンは、毎年200万人以上の生命を救い、公衆衛生に劇的な変化をもたらしました。当社は、70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、ジカウイルス感染症、ノロウイルス感染症やポリオなど、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。当社はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。

 

以上