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武田薬品とStructural Genomics Consortiumの患者組織由来の評価系を用いた共同研究について

武田薬品とStructural Genomics Consortiumの患者組織由来の評価系を用いた共同研究について


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September 29, 2017

- 炎症性腸疾患における新規創薬標的の臨床的検証 -

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とKarolinska Institutet (所在地:スウェーデンストックホルム、以下「カロリンスカ研究所」)、The Structural Genomics Consortium (本部:カナダ オンタリオ州トロント、カロリンスカ研究所内にも研究機関を所有、以下「SGC」)は、このたび、炎症性腸疾患における新規治療法の開発および検証に向け、前競争的研究および独占的研究に関する共同研究契約を締結したことをお知らせいたします。

本提携により、武田薬品、カロリンスカ医科大学病院およびSGCの研究者と臨床医で構成されるトランスレーショナル医療研究チームが発足し、大規模かつ十分特徴づけられた炎症性腸疾患患者群から得られた組織検体をもとに、先進的なトランスレーショナル疾患モデルを開発します。これら業界標準の評価系をSGCが有する高品質のケミカルプローブや武田薬品の化合物の評価に用いることで、潰瘍性大腸炎やクローン病など治療ニーズが高い疾患におけるこれまで未知であった分子標的や経路の探索が可能となります。

武田薬品の消化器疾患創薬ユニットのヘッドであるGareth Hicksは、「当社は、"患者さん中心"ならびに、"ヒトを第一"とする研究アプローチを取っています。この考えから患者さんのアンメットメディカルニーズに着眼し、ヒト組織による研究を優先することにより、消化器疾患の生物学的理解を深めています。カロリンスカ研究所およびSGCの研究者との提携は、炎症性腸疾患治療における新たなアプローチの発見と評価に向けた当社の取り組みの大変重要な要素となります。当社は、同疾患に苦しむ患者さんへのコミットメントを共有し、協働できることを誇らしく思います」と述べています。

本契約に基づき、武田薬品は、今後3年間、本共同研究に対し資金を提供します。本共同研究のうち、前競争的研究では、カロリンスカ研究所、SGCおよび武田薬品は、共同研究の効果を最大限に高めるため、共同研究により見出されたすべての試薬および専門知識を研究コミュニティに対して制限なく利用可能とします。独占的研究では、武田薬品は研究成果に対する独占的権利を有し、患者さんと薬剤候補の相互関係の解析、患者さんの新規サブ集団の特定、および炎症性腸疾患の発症や進行に関与する基礎的な生物学的機序の評価に利用することが可能となります。

カロリンスカ研究所 SGCのChief ScientistであるMichael Sundströmは、「カロリンスカ研究所では、全身性自己免疫疾患に対する患者由来評価系を構築してきました。本プログラムが、患者さんや業界の関心の高まりにより、炎症性腸疾患を含めたプログラムの拡大につながりました。ヒト検体由来の疾患モデルは、既存の疾患モデルよりも疾患を正確に再現することから、大きな期待が寄せられています」と述べています。

Department of Medicine Solna のヘッドでありカロリンスカ研究所Unit of Infectious Diseasesの教授兼カロリンスカ医科大学病院Clinic of Infectious DiseasesのSenior ConsultantであるKristina Brolidenは、「武田薬品との提携は、カロリンスカ研究所および医学界全体にとって非常に戦略的であり、学術的にも重要です。我々にとってもこの種の提携は初めてであり、前競争的研究と独占的研究を組み合わせた提携が他疾患、他製薬企業との提携にも拡がっていくことを願っています。炎症性腸疾患の病因は、ほとんど解明されておらず、本提携により、医学的に大きくなりつつある問題に立ち向かうために、我々のリソースを統合し、新しい、より具体的で効果的な治療の開発への道を切り開いていきます」と述べています。

<The Structural Genomics Consortiumについて>

The Structural Genomics Consortium(SGC) は、すべての研究成果を科学コミュニティで自由に利用出来るようにすることで、ヒト生物学と創薬研究を加速する前競争的官民連携組織です。SGCは、そのミッションを成し遂げるために、科学者のオープンコラボレーションネットワークを構築しています。SGCは、6つの主要な学術機関[トロント(カナダ)、オックスフォード(英国)、UNICAMP(ブラジル)、カロリンスカ(スウェーデン)、UNCチャペルヒル(米国)およびフランクフルト(ドイツ)]に活発的な活動を実施する研究機関を有しており、SGCの研究者は、300名以上のアカデミアおよび産業界の研究者と協働しています。

SGCは、以下記載の組織より資金提供を受けている登録慈善団体(登録番号1097737)です。

資金提供組織:AbbVie, Bayer Pharma AG, Boehringer Ingelheim, Canada Foundation for Innovation, Eshelman Institute for Innovation, Genome Canada, Innovative Medicines Initiative (EU/EFPIA), Janssen, Merck & Co., Novartis Pharma AG, Ontario Ministry of Economic Development and Innovation, Pfizer, São Paulo Research Foundation-FAPESP, Wellcome Trustおよび武田薬品。

詳細は、www.thesgc.orgをご参照ください。

<Karolinska Institutetについて>

Karolinska Institutet(カロリンスカ研究所)は、世界有数の医科大学の1つです。カロリンスカ研究所のビジョンは、人々の健康増進に大きく貢献することです。カロリンスカ研究所は、スウェーデンで実施された医学研究の40パーセント以上を占めており、医学および健康科学分野において、全国的に幅広く教育を提供しています。カロリンスカ研究所のノーベル賞選考委員会は、ノーベル医学生理学賞受賞者を選考しています。

以上