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悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス®」の進行期ホジキンリンパ腫を対象とした一次(フロントライン)治療に関する臨床第3相試験ECHELON-1試験の良好な結果について

悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス®」の進行期ホジキンリンパ腫を対象とした一次(フロントライン)治療に関する臨床第3相試験ECHELON-1試験の良好な結果について


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June 27, 2017

- アドセトリスのランダム化臨床第3相試験において主要評価項目を達成し、統計学的に有意な修正無増悪生存期間の改善を示唆
- 2017年米国血液学会年次集会のプレゼンテーションのために抄録を提出予定、当局への申請も計画

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とSeattle Genetics, Inc.(本社:米国ワシントン州ボセル、以下「シアトルジェネティクス社」)は、このたび、悪性リンパ腫治療剤「アドセトリス®」(一般名:ブレンツキシマブ ベドチン、以下「アドセトリス」)の臨床第3相試験であるECHELON-1試験において主要評価項目を達成し、対照群と比較して統計学的に有意な修正無増悪生存期間の改善が示されましたのでお知らせします。ECHELON-1試験は、未治療の進行期古典的ホジキンリンパ腫の患者さん1,334名を対象とし、化学療法と併用した場合のアドセトリスの一次(フロントライン)治療としての有用性を検討したランダム化および多施設共同の試験です。アドセトリスは、古典的ホジキンリンパ腫に発現しているCD30抗原を標的とした抗体薬物複合体です。アドセトリスのホジキンリンパ腫に対する一次治療は現在承認されていません。 

ECHELON-1試験に参加した患者さんは、ホジキンリンパ腫の標準的一次治療として知られているABVD(アドリアマイシン・ブレオマイシン・ビンブラスチン・ダカルバジン)療法(以下「対照群」)あるいはアドセトリスとAVD(ABVDからブレオマイシンを除いた療法)の併用療法(以下「アドセトリスAVD群」)に無作為に割付けられました。本試験では、独立評価機関の評価において、アドセトリスAVD群は対照群と比較して統計学的に有意な修正無増悪生存期間を改善するという結果が示されました(ハザード比:0.770、p値=0.035)。アドセトリスAVD群の2年修正無増悪生存率は82.1%であり、対照群は77.2%でした。重要な副次評価項目である全生存期間の中間解析では、アドセトリスAVD群が優れる傾向にありました。2017年12月9日から12日にかけて米国ジョージア州アトランタで開催される米国血液学会年次集会での発表のために抄録を提出する予定です。 

ECHELON-1試験におけるアドセトリスAVD群の安全性プロファイルは、本レジメンを構成するそれぞれの薬剤で知られている安全性プロファイルと一貫していました。アドセトリスAVD群では発熱性好中球減少と末梢性ニューロパチーの発現率増加がみられました。発熱性好中球減少は、成長因子の予防的投与を受けた患者さんにおいて減少し、末梢性ニューロパチーは用量調節することで管理されました。対照群では、肺毒性の発現率上昇および重症化がみられました。 

武田薬品Oncology Therapeutic Area UnitのExecutive Medical DirectorであるDirk Huebnerは、「主要評価項目である修正無増悪生存期間において、統計学的に有意な改善が示されたことを大変嬉しく思います。この試験結果は、アドセトリスの開発において大きな前進を示唆するものであり、進行期ホジキンリンパ腫の一次治療のアプローチを変える可能性があります」と述べています。 

シアトルジェネティックス社の社長兼CEOであるClay Siegallは、「臨床第3相試験であるECHELON-1試験の結果は、ホジキンリンパ腫の患者さんにとって非常に重要な結果です。シアトルジェネティックス社の目標は、ホジキンリンパ腫などのCD30陽性リンパ腫の基礎治療薬としてアドセトリスを確立することです。特に本試験は、進行期ホジキンリンパ腫を対象とした一次治療において、ブレオマイシンを除いたレジメンで優れた効果を示した初めての試験です」と述べています。 

武田薬品とシアトルジェネティックス社は、追加効能取得に向け、それぞれの権利を有する国・地域でこれらの試験結果を当局に提出する予定です。

 

<ECHELON-1 試験のデザインについて>

本試験は、進行期古典的ホジキンリンパ腫の患者さんを対象として、一次治療としてのアドセトリス+AVD療法とABVD療法を比較した、ランダム化、非盲検の臨床第3相試験です。主要評価項目は、Revised Response Criteria for Malignant Lymphomaを用いた独立評価機関の評価による修正無増悪生存期間です。修正無増悪期間は、病勢進行、死亡あるいは一次治療の完了後に完全寛解が得られず追加の抗がん剤治療を受けるまでの期間と定義され、独立評価機関により判定されました。本評価項目は、化学療法による一次治療の効果を明確に示すとともに、サルベージ、地固め化学療法、放射線療法の交絡因子による影響を除外できるため選択されました。副次評価項目は、全生存期間、完全寛解率、安全性などです。本試験は、米国、欧州、南米、豪州、アジア、アフリカにおいて多施設共同で行われました。本試験には、古典的ホジキンリンパ腫のステージ3あるいは4と診断され、全身化学療法あるいは放射線療法の治療歴のない1,334名の患者さんが登録されています。ECHELON-1試験は米国食品医薬品局(FDA)の臨床試験計画評価(Special Protocol Assessment)に基づいて実施されており、欧州医薬品庁(EMA)から科学的アドバイスも受けています。

 

以上