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多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ®カプセル」の日本における製造販売承認取得について

多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ®カプセル」の日本における製造販売承認取得について


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March 30, 2017

−再発又は難治性の多発性骨髄腫の患者さんに対する新たな治療選択肢−

当社は、本日、多発性骨髄腫治療剤「ニンラーロ®カプセル」(一般名:イキサゾミブクエン酸エステル、開発コード:MLN9708、以下「ニンラーロ」)について、厚生労働省より製造販売承認を取得しましたのでお知らせします。本剤は、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用において、再発又は難治性の多発性骨髄腫に対して承認を取得した、日本で初めての経口プロテアソーム阻害剤です。本剤は、再発又は難治性の多発性骨髄腫を予定する効能・効果として、2016年7月に製造販売承認申請を行いました。 

今回の承認は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんを対象に実施した国際共同臨床第3相試験であるTOURMALINE-MM1の結果に基づくものです。本試験では、レナリドミド及びデキサメタゾンに本剤を併用投与することにより、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)が、プラセボを併用した場合と比較して統計学的に有意で臨床的に意義のある延長(35%)を示しました(ハザード比0.74、p=0.01、PFSの中央値はイキサゾミブ群20.6ヶ月に対し対照群14.7ヶ月、追跡期間の中央値は14.7ヶ月)。 

日本赤十字社医療センター 骨髄腫・アミロイドーシスセンター長である鈴木 憲史 医師は、「臨床第3相試験TOURMALINE-MM1の参加医師として、本試験は、再発又は難治性の多発性骨髄腫の一般的な患者さん、すなわち高齢者、中等度の腎機能障害、軽鎖病や高リスクの細胞遺伝学的異常を有する患者さんなども対象に含めた、実臨床を反映した試験であると考えています。本試験で、イキサゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾンの3剤併用療法は、再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんの無増悪生存期間を有意に延長するとともに、管理可能な忍容性及び安全性プロファイルを有する経口レジメンであることが明らかとなりました。さらに、国内臨床第1相試験であるTB-MC010034試験では、同3剤併用療法は日本人の再発又は難治性の多発性骨髄腫患者さんにおいて忍容性に問題なく実施可能でした」と述べています。 

当社の日本オンコロジー事業部長である三好 集は、「本日は、当社にとって、多発性骨髄腫の患者さんの治療に貢献するための重要な一歩です。ニンラーロの承認により、プロテアソーム阻害剤を含めた、すべてが経口投与の3剤併用レジメンが可能となります。週1回投与のニンラーロは、有効性のみならず、多発性骨髄腫の患者さんのアンメットメディカルニーズである、治療の継続、副作用の軽減、通院の負担の軽減に貢献できるものと考えております。今後、本剤の薬価基準収載に向けた発売準備を進めるとともに、新たな効能への適応拡大を目指し、試験を継続してまいります」と述べています。

 

<多発性骨髄腫について>
多発性骨髄腫は形質細胞のがんであり、骨髄が病巣となります。本疾患では、単クローン性の形質細胞のあるグループが悪性化して増殖します。悪性化した形質細胞には骨を脆くする作用があり、多くの骨に影響を与え、結果として圧迫骨折、溶解性骨病変や関連疼痛に繋がることがあります。また、本疾患は免疫系、腎、赤血球数に影響を与え、倦怠感、貧血などの典型的な症状を伴うことが多く、数多くの重大な健康障害を引き起こす可能性があります。本疾患は、がんの中では稀であり、新規に本疾患を発症する患者数は全世界では年間11万4千人(2012年 WHO GLOBOCAN, Population Fact Sheet)です。日本における総患者数は約1万8千人(2014年 厚生労働省大臣官房統計情報部 患者調査)と報告されています。

 

<「ニンラーロ®カプセル」について>

製品名

ニンラーロ®カプセル 2.3mg
ニンラーロ®カプセル 3mg
ニンラーロ®カプセル 4mg

一般名

イキサゾミブクエン酸エステル

効能・効果

再発又は難治性の多発性骨髄腫

<効能・効果に関連する使用上の注意>

(1)

本剤による治療は、少なくとも1つの標準的な治療が無効又は治療後に再発した患者を対象とすること。

(2)

臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、(添付文書内に記載の)【臨床成績】の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。

用法・用量

レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用において、通常、成人にはイキサゾミブとして1日1回4mgを空腹時に週1回、3週間(1、8及び15日目)経口投与した後、13日間休薬(16~28日目)する。この4週間を1サイクルとし、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

  

「ニンラーロ®カプセル」は、新規の経口プロテアソーム阻害剤であり、多発性骨髄腫の他に、全身性ALアミロイドーシスを対象に開発を進めています。2017年2月現在、米国、欧州を含む世界38カ国で販売許可を取得しています。また、当社は各国の規制当局に本剤の販売許可を申請中です。

 

<TOURMALINE試験について>
当社は、本剤の総合的な臨床試験プログラムであるTOURMALINE試験による安全性、有効性等の検証を経て、世界中の多発性骨髄腫患者さんや医療関係者の方々に革新的な新薬を開発し、お届けしていきます。TOURMALINE試験には、5つの試験が含まれており、4つは多発性骨髄腫の患者さんを対象とした試験であり、1つはALアミロイドーシスの患者さんを対象とした試験です。

  • TOURMALINE-MM1:再発・難治性の多発性骨髄腫を対象に本剤・レナリドミド・デキサメタゾン併用群とプラセボ・レナリドミド・デキサメタゾン併用群を比較
  • TOURMALINE-MM2:初発の多発性骨髄腫を対象に本剤・レナリドミド・デキサメタゾン併用群とプラセボ・レナリドミド・デキサメタゾン併用群を比較
  • TOURMALINE-MM3:初発の多発性骨髄腫を対象に導入療法及び自家造血幹細胞移植後の維持療法として本剤とプラセボを比較
  • TOURMALINE-MM4:自家造血幹細胞移植歴のない初発の多発性骨髄腫を対象に維持療法として本剤とプラセボを比較
  • TOURMALINE-AL1: 再発・難治性のALアミロイドーシスを対象に本剤及びデキサメタゾンの併用と医師が選択したレジメンでの治療を比較 

TOURMALINE試験の他、イキサゾミブに関する多くの医師主導臨床試験が世界中で実施されています。

 

<希少疾病用医薬品の指定について>
「ニンラーロ®カプセル」は、2016年2月に、再発又は難治性の多発性骨髄腫を予定する効能・効果として、厚生労働省より希少疾病用医薬品の指定を受けました。
本件に関する詳細は、2016年2月26日付の下記プレスリリースをご覧ください。
http://www.takeda.co.jp/news/2016/20160226_7321.html

 

<注意事項>
本リリースに記載されている医薬品の情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。

 

 以上