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第57回米国血液学会年次総会における新規経口プロテアソーム阻害薬である多発性骨髄腫治療剤「NINLARO®」(イキサゾミブ)の臨床第3相試験TOURMALINE-MM1試験データの発表について

第57回米国血液学会年次総会における新規経口プロテアソーム阻害薬である多発性骨髄腫治療剤「NINLARO®」(イキサゾミブ)の臨床第3相試験TOURMALINE-MM1試験データの発表について


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December 7, 2015

-初発の多発性骨髄腫に対するイキサゾミブ・シクロフォスファミド・低用量デキサメタゾンの併用療法を検討した臨床第2相試験結果も発表

当社は、このたび、多発性骨髄腫治療剤「NINLARO®」(一般名:イキサゾミブ、以下「NINLARO」)カプセルについて、再発・難治性の多発性骨髄腫を対象としたTOURMALINE-MM1試験において、無増悪生存期間を延長するとともに管理可能な忍容性を有することが示されたデータを、第57回米国血液学会年次総会(ASH、米国フロリダ州オーランドで開催)で発表しましたのでお知らせします。TOURMALINE-MM1試験は、週1回経口投与のイキサゾミブ群(本剤+レナリドミド+デキサメタゾン)とプラセボ群(プラセボ+レナリドミド+デキサメタゾン)とを比較した、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照の臨床第3相試験です。

 

NINLAROは、先般、米国食品医薬品局(FDA)より販売許可を取得し、前治療歴のある再発・難治性の多発性骨髄腫に対し、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用で使用されます。NINLAROの販売許可取得は、臨床第3相試験TOURMALINE-MM1試験データに基づくものであり、本データは今回の米国血液学会年次総会の記者会見でも発表されました。さらに、本学会では、初発の多発性骨髄腫に対するNINLARO・シクロフォスファミド・低用量デキサメタゾンという全て経口薬からなる併用療法を検討した臨床第2相試験結果をはじめ、イキサゾミブのデータが18のプレゼンテーションで発表されます。

 

当社Chief Medical and Scientific OfficerのAndrew Plumpは、「本学会で発表するデータは、イキサゾミブの総合的な臨床試験プログラムであるTOURMALINE試験から得られた最初の主要データであり、有効で利便性の高い治療オプションを多発性骨髄腫の患者さんにお届けしようとする当社の取り組みを示すものです。TOURMALINE試験の患者層は非常に広いため、極めて広範囲にわたり多発性骨髄腫患者さんの重要なデータを集めることができるとともに経口プロテアソーム阻害剤イキサゾミブの有効性・安全性プロファイルをさらに詳しく説明することが可能になります。当社は、今後も本試験を含めたイキサゾミブの重要な臨床試験を引き続き実施するとともに、数年内に試験結果を皆さんにお伝えすることを楽しみにしています」と述べています。

 

イキサゾミブの総合的な臨床試験プログラムであるTOURMALINE試験には、5つの試験が含まれており、4つは多発性骨髄腫の主要な患者層を対象とした試験であり、ひとつはALアミロイドーシスの患者を対象とした試験です。

 

経口プロテアソーム阻害薬イキサゾミブをレナリドミドおよびデキサメタゾンと併用した際の、再発・難治性の多発性骨髄腫患者の無増悪生存期間の有意な延長:臨床第3相試験Tourmaline-MM1試験(抄録番号727

TURMALINE-MM1 (対象患者数:722名)は、プロテアソーム阻害薬を用いた最初の二重盲検、プラセボ対照試験であり、最初の中間解析で主要評価項目を達成した試験です。本試験では、統計学的に有意な無増悪生存期間の延長(35%)が示され、イキサゾミブ群では対照群と比較し、病気が悪化することなく有意に長く生存しました(イキサゾミブ群20.6月に対し対照群14.7月、ハザード比0.742、p=0.012)。全奏効率は、イキサゾミブ群78.3%に対し対照群71.5%、奏効期間の中央値はイキサゾミブ群20.5ヶ月に対し対照群15ヶ月でした。ハイリスク患者の無増悪生存期間の中央値は、全ての患者および通常リスク患者の無増悪生存期間の中央値と差がありませんでした(ハザード比0.543、染色体17p欠失患者のハザード比0.596)。イキサゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用群における有害事象は、それぞれの薬剤単独で報告されている安全性プロファイルと同様でした。最も一般的に見られたグレード3以上の有害事象は、白血球減少症、貧血、血小板減少症、肺炎などでした。消化器系の有害事象は下痢、悪心、嘔吐などでした。末梢神経障害の発現率はイキサゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用群28%に対し対照群21%、発疹は35%に対し21%、急性腎障害は8%に対し10%、心不全は4%に対し3%でした。  

TOURMALINE-MM1試験の治験責任医師であり、本演題の発表者であるフランス ナント大学のPhilippe Moreau医学博士は、「TOURMALINE-MM1試験は、再発・難治性の多発性骨髄腫の複雑性から、新たな治療オプションに対する喫緊のニーズがある最も一般的なタイプの患者さんを対象に、イキサゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾンの併用療法を評価したものです。本試験により、高齢の患者さん、中程度の腎機能障害を有する患者さん、軽鎖病や高リスクの細胞遺伝学的異常を有する患者さんなど、幅広い患者層にわたる有効性・安全性データを収集することができました」と述べています。 

TOURMALINE-MM1試験は現在も実施中であり、今後は、病気が悪化するまで治療が継続され、長期の転帰が評価される予定です。  

当社は、TOURMALINE-MM1試験データに基づき、欧州医薬品庁(EMA)など世界中の当局に対してイキサゾミブの申請を行っています。 

 

移植非適応の初発の多発性骨髄腫を対象とした、全て経口薬からなる併用療法(プロテアソーム阻害薬イキサゾミブ+シクロフォスファミド+低用量デキサメタゾン)のランダム化臨床第2相試験(抄録番号26 

当社は、移植非適応患者に対する一次治療としての、全て経口薬からなる3剤併用療法(イキサゾミブ+シクロフォスファミド+低用量デキサメタゾン)に関する非盲検、多施設共同臨床第2相試験の予備データを発表しました。本試験では、両群ともに、以前実施されたイキサゾミブの臨床試験と同様の管理可能な安全性プロファイルを有し、同等な有効性が示されるとともに管理可能な骨髄抑制も示されました。本試験は、多発性骨髄腫の一次治療としてイキサゾミブ・シクロフォスファミド・低用量デキサメタゾンの3剤併用療法を検討した最初の試験です。  

本臨床第2相試験(対象患者数:70名)において、患者は、イキサゾミブ+シクロフォスファミド300mg/m2+低用量デキサメタゾン投与群(対象患者数: 36名、以下「シクロフォスファミド300mg/m2群」)とイキサゾミブ+シクロフォスファミド400mg/m2+低用量デキサメタゾン投与群(対象患者数:34名、以下「シクロフォスファミド400mg/m2群」)の2群にランダム化され、両群とも平均追跡期間は7.0ヶ月でした。予備の結果では、最良不確定完全寛解と最良部分奏効の合計はシクロフォスファミド300mg/m2群27%に対しシクロフォスファミド400mg/m2群23%、早期の全奏効率は80%に対し73%でした。両群とも安全性は管理可能でしたが、シクロフォスファミド400mg/m2群はシクロフォスファミド300mg/m2群と比較して有害事象の発現率が高率でした。血小板減少症の発現は、シクロフォスファミド300mg/m2群5名(うちグレード3以上は無し)に対し、シクロフォスファミド400mg/m2群4名(うちグレード3以上は3名)でした。最も一般的に見られた有害事象(発現率15%以上)は、貧血、白血球減少症、悪心、末梢神経障害、下痢、嘔吐、便秘、疲労、最も一般的に見られたグレード3以上の有害事象は白血球減少症、貧血、肺炎であり、グレード3の末梢神経障害は見られませんでした。  

本試験の治験責任医師であり、本演題の発表者であるNational and Kapodistrian University of Athens, School of MedicineのMeletios A. Dimopoulos医学博士は、「本試験では、プロテアソーム阻害薬・シクロフォスファミド・デキサメタゾンの併用が多発性骨髄腫の患者さんに有効であることが示されました。実臨床において、同疾患の治療法は地域によって異なるため、様々な併用療法におけるイキサゾミブの有用性を理解することが重要です。本試験で実施した全て経口薬からなる3剤併用療法は有用であることが示唆されたため、この併用療法おけるイキサゾミブに関するさらなるデータを収集したいと考えています」と述べています。

 

NINLARO®カプセルについて>

NINLARO(一般名:イキサゾミブ)は、米国食品医薬品局(FDA)より販売許可を取得した、前治療歴のある多発性骨髄腫に対するレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用の適応を有する初めてかつ唯一の経口プロテアソーム阻害薬です。週1回の経口投与であり、28日の治療サイクルにおいて治療開始1日目、8日目、および15日目に投与されます。NINLAROは現在、欧州医薬品庁(EMA)の審査中であり、欧州医薬品評価委員会(CHMP)から迅速審査の指定を受けています。また、NINLAROは、2014年に希少疾患である再発・難治性のALアミロイドーシスについて、FDAよりBreakthrough Therapyの指定を受けました。

 

当社は、イキサゾミブの臨床開発プログラムにより、世界中の多発性骨髄腫患者さんや医療関係者の方々に革新的な新薬を開発し、お届けするという取り組みをさらに強化しています。本薬については、以下の5つの国際共同臨床第3相試験を実施しています。 

  • TOURMALINE-MM1:再発・難治性の多発性骨髄腫を対象に本薬・レナリドミド・デキサメタゾン併用群とプラセボ・レナリドミド・デキサメタゾン併用群を比較
  • TOURMALINE-MM2:初発の多発性骨髄腫を対象に本薬・レナリドミド・デキサメタゾン併用群とプラセボ・レナリドミド・デキサメタゾン併用群を比較
  • TOURMALINE-MM3:初発の多発性骨髄腫を対象に導入療法および自家造血幹細胞移植後の維持療法として本薬とプラセボを比較
  • TOURMALINE-MM4:自家造血幹細胞移植歴のない初発の多発性骨髄腫を対象に維持療法として本薬とプラセボを比較
  • TOURMALINE-AL1: 再発・難治性のALアミロイドーシスを対象に本薬およびデキサメタゾンの併用と医師が選択したレジメンでの治療を比較

以上