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新規経口プロテアソーム阻害薬「NINLARO®」(一般名:イキサゾミブ)の米国における販売許可取得について

新規経口プロテアソーム阻害薬「NINLARO®」(一般名:イキサゾミブ)の米国における販売許可取得について


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November 21, 2015

- 前治療歴のある再発・難治性の多発性骨髄腫に対する新たな治療オプション

当社は、このたび、新規経口プロテアソーム阻害薬「NINLARO®」(一般名:イキサゾミブ、開発コード:MLN9708)について、米国食品医薬品局(FDA)より販売許可を取得しましたのでお知らせします。NINLAROは、前治療歴のある再発・難治性の多発性骨髄腫に対する初めてかつ唯一の経口プロテアソーム阻害薬であり、レナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用で使用されます。NINLAROは週1回投与のカプセル剤であり、詳細についてはwww.NINLARO.comをご覧ください。 

当社は2015年7月、NINLAROの販売許可申請をFDAに提出し、同年9月、審査完了目標日(PDUFA date)を2016年3月10日とする優先審査の指定を受けました。これは、多発性骨髄腫が重大な健康障害を引き起こし、再発を繰り返す根治困難で希少ながんであり、新たな治療に対する切実なニーズがあることに対応したものです。 

Dana-Farber Cancer Institute, Jerome Lipper Multiple Myeloma Center Institute Physician, Clinical Research のClinical Program Leader 兼Director であり、今回の販売許可取得のベースとなったTOURMALINE-MM1試験の担当医師であるPaul Richardson医学博士は、「NINLAROの販売許可取得により、私たちは患者さんに効果の高い3剤併用療法の一部として週1回投与の経口プロテアソーム阻害薬を提供することが可能になりました。TOURMALINE-MM1試験の担当医師として、再発・難治性の多発性骨髄腫の最も一般的な患者、すなわち高齢者、中程度の腎機能障害を有する患者、軽鎖病や高リスクの細胞遺伝学的異常を有する患者さんなどを含む、実臨床をよく反映した方法でこの併用療法を検証することが重要であると考えていました。さらには、再発・難治性疾患においてNINLAROの継続治療が可能かどうかを判断するために、病気が進行するまで治療を行いました。その結果、TOURMALINE-MM1試験において、NINLAROをベースとした経口3剤併用療法群では無増悪生存期間の延長が認められ、忍容可能な安全性プロファイルを有し、レナリドミドとデキサメタゾンの併用療法群を凌ぐ有用性が示されました」と述べています。 

当社Chief Medical and Scientific OfficerのAndrew Plumpは、「当社は、約20年前に、最初のプロテアソーム阻害薬であるベルケイド®の臨床研究を開始しました。以来、当社は、この希少ながんに関する知見をさらに深め、このたびのNINLAROの販売許可取得につなげることができました。NINLAROは全く新しい化合物であり、プロテアソーム阻害薬としての効果が簡便な週1回の服用で得られ、忍容可能な安全性プロファイルを有しています。当社は、多発性骨髄腫の患者さんに、この極めて革新的な治療薬をお届けできることを嬉しく思うとともに、引き続き、臨床開発プログラムを通じてNINLAROの可能性について検討してまいります」と述べています。 

国際骨髄腫財団(IMF:International Myeloma Foundation)の会長であるBrian Durie博士は、「IMFは、イキサゾミブの販売許可取得を大変嬉しく思っています。今回の販売許可取得により、経口プロテアソーム阻害薬を中心とした経口3剤併用療法への扉が開かれました。数十年にわたり多発性骨髄腫に対する取り組みを続け、大きな進展もありましたが、未だアンメット・ニーズが存在しています。今回の販売許可取得により、私たちは多発性骨髄腫患者さんのための魅力的な治療オプションを、新たに有することになります」と述べています。 

今回のNINLAROの販売許可取得は、プロテアソーム阻害薬を用いた最初の二重盲検、プラセボ対照臨床第3相試験であるTOURMALINE-MM1試験の結果に基づくものです。TOURMALINE-MM1試験は、実施中の5つの臨床第3相試験のうち、最初に結果が得られた試験です。TOURMALINE プログラムでは、これまでに40ヶ国で約3,000人の患者さんが登録されております。TOURMALINE-MM1試験のデータは、本年12月7日に、第57回米国血液学会(ASH:American Society of Hematology)年次総会にて発表されます。 

Multiple Myeloma Research Foundation (MMRF)の創設者で、Executive ChairmanのKathy Giustiは、「このたびのイキサゾミブの販売許可取得により、待ち望んでいた治療オプションが多発性骨髄腫治療に加わることになります。また、疾患をより深く理解し、患者さんに希望をもたらす大きな一歩です。今日のがんの診断は数年前とは異なっており、その進歩は目覚ましいものです。患者として、このたび私たちと武田薬品が実現したような、新しい治療オプションの提供につながるパートナーシップを通じた研究のさらなる進展が急務であると考えています」と述べています。 

当社Global Oncology Business UnitのPresidentであるChristophe Bianchiは、「NINLAROは、グローバル開発が進められてきた同系統では初めての革新的な治療薬であり、Takeda Oncologyにとっても前例のないものです。本剤の試験に参加してくださった患者さんに心より感謝いたします。本剤の有効性・安全性のプロファイルおよび経口投与という特徴により、患者さんの負担を軽減することが可能になるとともに、患者さんが継続治療の利益を全面的に享受できると考えており、今回の販売許可取得により本剤の発売に向けて大きく前進しました。当社の20年にわたるがん領域における取り組みとして、今後も引き続き患者さんに貢献してまいります。NINLAROの発売を心待ちにするとともに、他の国々でも本剤をお使いいただけるよう取り組んでまいります」と述べています。 

 

<TOURMALINE-MM1試験について>

TOURMALINE-MM1は、722名の成人の再発・難治性の多発性骨髄腫の患者さんを対象にNINLARO群(本剤+レナリドミド+デキサメタゾン)とプラセボ群(プラセボ+レナリドミド+デキサメタゾン)とを比較した、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照の国際共同試験です。本試験において、NINLAROは、無増悪生存期間を延長するとともに管理可能な安全性を有することが示されました。また、本試験では、主要評価項目が達成されるとともに臨床上有意義かつ統計学的に有意な無増悪生存期間の延長が示され、NINLARO群では対照群と比較し、病気が悪化することなく有意に長く生存しました。本試験では、病気が悪化するまで治療が継続され、長期の転帰が評価される予定です。 

TOURMALINE-MM1では、NINLAROの投与を受けた患者さんで、最も一般的に見られる有害事象(20%以上)は、下痢、便秘、血小板減少症、末梢神経障害、悪心、末梢性浮腫、嘔吐、背部痛などでした。重篤な有害事象(2%以上)は、血小板減少症(2%)、下痢(2%)などでした。 

有効性・安全性データは、独立データモニタリング委員会(IDMC)によってレビューされ、引き続き患者さんは二重盲検下で治療を受け、全生存期間(OS)を含む長期的な転帰についての評価が行われています。 

 

<NINLARO®カプセルについて>

NINLARO(一般名:イキサゾミブ)は、前治療歴のある多発性骨髄腫に対するレナリドミドおよびデキサメタゾンとの併用の適応を有する初めてかつ唯一の経口プロテアソーム阻害薬です。週1回の経口投与で、28日の治療サイクルにおける治療開始1日目、8日目、および15日目に投与されます。NINLAROは現在、欧州医薬品庁(EMA)の審査中であり、欧州医薬品評価委員会(CHMP)から迅速審査の指定を受けています。また、NINLAROは、2014年に再発・難治性のALアミロイドーシスについて米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Therapyの指定を受けました。 

当社は、イキサゾミブの臨床開発プログラムにより、世界中の多発性骨髄腫患者さんや医療関係者の方々に革新的な新薬を開発し、お届けするという取り組みをさらに強化しています。本薬については、以下の国際共同臨床第3相試験を実施しています。

ž ・TOURMALINE-MM1:再発・難治性の多発性骨髄腫を対象に本薬・レナリドミド・デキサメタゾン併用群とプラセボ・レナリドミド・デキサメタゾン併用群を比較

ž ・TOURMALINE-MM2:初発の多発性骨髄腫を対象に本薬・レナリドミド・デキサメタゾン併用群とプラセボ・レナリドミド・デキサメタゾン併用群を比較

ž ・TOURMALINE-MM3:初発の多発性骨髄腫を対象に導入療法および自家造血幹細胞移植後の維持療法として本薬とプラセボを比較

ž ・TOURMALINE-MM4:自家造血幹細胞移植歴のない初発の多発性骨髄腫を対象に維持療法として本薬とプラセボを比較

ž ・TOURMALINE-AL1: 再発・難治性のALアミロイドーシスを対象に本薬およびデキサメタゾンの併用と医師が選択したレジメンでの治療を比較 

TOURMALINE プログラムの他に、イキサゾミブは世界中の患者さんに対して数多くの医師主導試験で評価が行われています。

現在実施中の臨床第3相試験の詳細については、www.clinicaltrials.govをご覧ください。NINLAROに関する詳細についてはwww.NINLARO.comをご覧ください。

 

以上