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大うつ病治療剤Brintellix®の認知機能に関する臨床試験データ追記申請の米国FDAによる受理について

大うつ病治療剤Brintellix®の認知機能に関する臨床試験データ追記申請の米国FDAによる受理について


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August 11, 2015

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)とH. Lundbeck A/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「Lundbeck社」)は、本日、Brintellix®(一般名:ボルチオキセチン臭化水素酸塩)の成人の大うつ病患者における認知機能への効果に関する臨床成績について、添付文書への追記申請が米国食品医薬品局(FDA)に受理されましたのでお知らせします。現在、Brintellixは成人の大うつ病治療剤として米国で承認され、処方されています。FDAは、審査完了目標日を、2016年3月 28日の予定としています。

 

うつ病は、認知機能に関連するものを含むあらゆる症状を示しますが、医療関係者や患者さんが認知機能に関する症状に気付かないことがあります。[i], 認知機能に関して主にみられる症状には、集中力低下、決断力の低下、思考の混乱、物忘れなどがあり、これらの症状は多くの場合、大うつ病エピソードの合間に表れます。, うつ病患者さんにおける3年間の前向き研究によると、認知機能に関する症状(思考または集中能力の低下および/または判断力の低下と定義)は、大うつ病エピソード中の94%で、大うつ病エピソードの合間もしくは一時的な寛解期間中の44%でそれぞれ見られると報告されています。

 

シカゴのRush University Medical CenterのAssociate Professor of PsychiatryであるJohn Zajecka, M.Dは、「認知機能に関する症状は、大うつ病患者さんで発現することが多く、このような症状を軽減させることが困難な場合があります。また、多くの患者さんでは、大うつ病症状が改善した後でも、ある程度の認知症状や他の症状が続きます」と述べています。

 

この度の申請は、主にFOCUS試験 および CONNECT試験の結果に基づくもので、それらの試験では、成人の大うつ病患者さんの認知機能に対するBrintellixの効果を、客観的指標を用いて評価しています。, これら2つの、8週間にわたり無作為化、二重盲検、プラセボ対照でBrintellix 10mg/日もしくは20 mg/日の効果を検討した試験では、確立された神経心理検査である数字符号置換検査(Digit Symbol Substitution Test:DSST)が用いられました。,   DSSTでは、実行機能、処理速度および注意力に関連する指標を評価しています。,

 

武田薬品のU.S. Medical Affairs Vice PresidentであるCharlie Baumは、「本申請がFDA に承認されれば、Brintellixは米国の添付文書において認知機能への効果を示した臨床試験のデータが記載された初めての大うつ病治療剤となります。当社は、FDA と協力し、大うつ病患者さんの重要なニーズに応えられるよう、取り組んでまいります」と述べています。

 

Lundbeck U.S.のPresidentであるStaffan Schubergは、「大うつ病患者さんにおけるBrintellixによる認知機能への効果を評価するため、厳正に実施された本試験は、大うつ病患者さんに見られる一般的な認知症状、特に、多くのうつ病の方にとって問題となっている主な症状について検証しようとする、当社の取り組みの表れです。私たちは本症状によって生じる負荷に対する認知度を高めるため、この分野の臨床的な理解が進むよう、貢献してまいります」と述べています。

 

Brintellixは、成人の大うつ病治療剤として、2013年9月30日にFDAより承認を受けています。

Brintellix の詳細については、www.brintellix.com にアクセスし登録のうえご参照ください。

 

<Brintellixについて>

Brintellixは、神経伝達物質セロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用、また、5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体の部分的刺激作用、5-HT3、5-HT1D、5HT7受容体拮抗作用など、複数のセロトニン受容体での作用を有すると考えられています。Brintellixは、これらの薬力学的作用を併せ持つ初めてかつ唯一の薬剤です。

BrintellixはLundbeck社が創製し、米国における臨床試験はLundbeck社と武田薬品が共同で行い、米国市場における新薬承認申請(NDA)は武田薬品が行いました。BrintellixはLundbeck 社の登録商標であり、武田薬品が使用許諾を得て使用しています。

世界保健機関(WHO)は、Anatomical Therapeutic Chemical(ATC:解剖治療化学分類)において、Brintellixを「その他」の抗うつ薬というクラスに分類しました。

6~8週間のプラセボを対照とした試験において、Brintellix投与時に最も多く発現した有害事象(発現率≧5%かつプラセボ投与群の少なくとも2倍の発現率)は吐き気、便秘、嘔吐でした。短期投与試験全体において、Brintellix 5~20mg/日を投与した患者さんの5~8%が、プラセボ投与群においては4%が副作用により治療を中止しており、最も多い副作用は吐き気でした。

6~8週のプラセボを対照とする臨床試験において、Brintellix投与群では投与開始前からの平均体重変化量に有意な影響は認められませんでした。また、12週間のBrintellix投与にて効果の認められた患者さんを対象とした、24週間のプラセボ対照・二重盲検・長期維持試験において、プラセボ投与群とBrintellix投与群の体重変化量に差はありませんでした。なお、プラセボ対照試験において、Brintellix投与群の患者さんの収縮期血圧及び拡張期血圧ならびに心拍数等のバイタルサインについても、影響は認められませんでした。

 

<承認用量>

Brintellix 5mg錠、10mg錠、20mg錠(食事の摂取に関わらず服用可能)

Brintellixの承認用法・用量は5~20 mg 1日1回、推奨服薬開始用量は1日10 mgであり、米国における臨床試験の結果において、高用量投与時により高い治療効果が示されたことから、患者さんの忍容性に応じて1日20mgまで増量することが可能です。高用量投与に忍容性のない患者さんは、5mg/日まで減量することが推奨されます。幅広い用量設定により、多様な患者さんのニーズに対応可能です。

以上

Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-5). (5th ed., 155-188). America Psychiatric Association, 2013.

ii Conradi, H., Ormel, J., & De Jonge, P. (2011). Presence of individual (residual) symptoms during depressive episodes and periods of remission: A 3-year prospective study. Psychological Medicine, 41(06), 1165-1174.

iii McIntyre R.S., Olsen K. (2014). A randomized, double-blind, placebo-controlled study of vortioxetine on cognitive function in depressed adults. Int J Neuropsychopharm.17, 1557-1567.

iv Mahableshwarkar A.R., Zajecka J., Jacobson W., et al. (2015). A Randomized, Placebo-Controlled, Active-Reference, Double-Blind, Flexible-Doze Study of the Efficacy of Vortioxetine on Cognitive Function in Major Depressive Disorder. Neuropsychopharm. 40, 2025-2037.