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皮下注用人免疫グロブリン製剤「ハイキュービア® 10% 皮下注セット」の追加承認について | 武田薬品

皮下注用人免疫グロブリン製剤「ハイキュービア® 10% 皮下注セット」の慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)に対する適応追加承認について


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2025年6月24日
  • 人免疫グロブリン投与前にボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を投与することでより大量の人免疫グロブリンの投与が可能となり、3週または4週間隔での皮下投与が可能に
  • 従来の皮下注用人免疫グロブリン製剤に比べて投与頻度が減少することにより、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの患者さんの負担軽減に期待

当社は、本日、皮下注用人免疫グロブリン製剤およびボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)製剤から構成される組み合せ製剤「ハイキュービア® 10% 皮下注セット」(以下「ハイキュービア」)について、「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」の適応追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を厚生労働省から取得しましたので、お知らせします。なお、当社は本剤について、2025年6月12日に、「無又は低ガンマグロブリン血症」を効能又は効果として、発売しています。 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(以下「CIDP」)は、末梢神経系に影響を及ぼす希少で後天的な免疫介在性の脱髄性末梢神経障害です1,2。四肢の遠位および近位における脱力、ピリピリ感または感覚消失、反射消失、歩行困難など、進行性の左右対称性の症状を典型的な特徴とします2。多巣性運動ニューロパチー(以下「MMN」)も、CIDPと同じく末梢神経に障害が生じる疾患です。MMNは、CIDPと異なり、左右非対称の運動障害が主で、感覚が障害されることはないか、障害があっても軽度です3,4,5

本剤は、皮下注用人免疫グロブリン(以下「SCIG」)10%製剤1バイアルとボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(以下「rHuPH20」)製剤1バイアルを組み合わせた日本初かつ唯一の皮下注用免疫グロブリン製剤です。rHuPH20を投与し皮下組織の透過性を一時的に高め、その後同じ部位にSCIG10%を投与することで、SCIG10%の拡散と吸収が促進され、大量投与が可能になります。静脈路の確保が不要という皮下投与製剤の特徴に加え、大量投与によりCIDP/MMN患者さんへの投与頻度が従来の皮下注用人免疫グロブリン製剤に比べて少ない3週または4週間隔となり、患者さんの負担の軽減が期待されます。

本製造販売承認事項一部変更承認は、日本人のCIDP患者さんおよびMMN患者さんを対象とした国内第3相 臨床試験(TAK-771-3002試験NCT05084053Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT05084053)、ならびにCIDP患者さんを対象とした海外第3相臨床試験2試験(161403試験NCT02549170Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT02549170および161505試験NCT02955355Go to https://clinicaltrials.gov/study/NCT02955355?term=161505&rank=1)に基づくものです。これらの試験において、本剤は、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)に対する治療薬としての有効性、安全性が評価されました。

当社のPDTビジネスユニット R&D Japan リージョナルヘッドである廣田直美は、「世界45カ国以上で承認されているハイキュービアが、無又は低ガンマグロブリン血症に続き、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)を新たな効能・効果として、承認されたことを嬉しく思います。投与頻度が3週または4週間隔となり、CIDP/MMN患者さんの負担軽減が期待できる本剤を日本の患者さんにお届けできることを誇りに思っています」と述べています。

慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)について

CIDPは、末梢神経系に影響を及ぼす希少で後天的な免疫介在性の脱髄性末梢神経障害です1,2。四肢の遠位および近位における脱力、ピリピリ感または感覚消失、反射消失、歩行困難など、進行性の左右対称性の症状を典型的な特徴とします2。日本人10万人あたりのCIDPの有病率は3.3人(男性と女性の比率は1.5:1)、発症率は0.36人と推測されます6

多巣性運動ニューロパチー(MMN)について

MMNも、CIDPと同じく末梢神経に障害が生じる疾患です。MMNは、CIDPと異なり、左右非対称の運動障害が主で、感覚が障害されることはないか、障害があっても軽度です3,4,5。日本人10万人あたりのMMNの有病率は0.3人と推測されています。性別の割合は男性が72%、女性が28%です7

ハイキュービア®について

ハイキュービアは、SCIG10%およびrHuPH20から構成される組み合わせ製剤です。本剤は、2025年5月現在、45カ国以上で承認されています。

「ハイキュービア® 10% 皮下注セット」の製品概要

  • 販売名
    ハイキュービア® 10% 皮下注セット5g/50mL、同10g/100mL、同20g/200mL
  • 一般名
    pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)
    ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)
  • 効能又は効果
    無又は低ガンマグロブリン血症
    慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)
  • 用法及び用量
    〈無又は低ガンマグロブリン血症〉
    ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を皮下投与した後、約10分以内に同じ部位へ人免疫グロブリンGを皮下投与する。
    人免疫グロブリンG及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)の投与は、以下の用量の1/3又は1/4から開始し、漸増する。また、投与間隔は投与量に併せて延長する。
    ・通常、人免疫グロブリンGとして150~600mg(1.5~6mL)/kg体重を3週間に1回又は200~800mg(2~8mL)/kg体重を4週間に1回投与する。
    ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)は、人免疫グロブリンG 1gあたり80単位(0.5mL)を投与する。
    なお、患者の状態に応じて、3週又は4週あたりの投与量及び投与回数は適宜増減する。
    〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎及び多巣性運動ニューロパチーの運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)〉
    通常、成人には、ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を皮下投与した後、約10分以内に同じ部位へ人免疫グロブリンGを皮下投与する。
    人免疫グロブリンG及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)は、以下の用法及び用量で皮下投与するが、原則として開始用量は、以下の用量の1/3又は1/4とし、投与量に併せて投与間隔を延長しながら漸増すること。
    ・人免疫グロブリンGとして1.0g(10mL)/kg体重を3週間に1回投与するが、患者の状態に応じて、0.3~1.6g(3~16mL)/kg体重を3週間に1回、又は0.4~2.2g(4~22mL)/kg体重を4週間に1回の範囲で適宜増減する。
    ・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)は、人免疫グロブリンG 1gあたり80単位(0.5mL)を投与する。
    なお、1回あたりの人免疫グロブリンGの投与量及び忍容性に応じて、人免疫グロブリンG及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を48~72時間間隔で分割して投与することができる。
  • 薬価
    ハイキュービア® 10% 皮下注セット5g/50mL 1セット  56,816円
    ハイキュービア® 10% 皮下注セット10g/100mL 1セット 112,154円
    ハイキュービア® 10% 皮下注セット20g/200mL 1セット 221,382円

武田薬品について


武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細については、https://www.takeda.com/jp/ をご覧ください。

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  1. GBS CIDP Foundation International. Voice of the Patient Report. August 26, 2022. www.gbs-cidp.org. Accessed August 2022.
  2. Dalakas MC. Nat Rev Neurol. 2011;7(9):507–17.
  3. Joint Task Force of the EFNS and the PNS. European Federation of Neurological Societies/Peripheral Nerve Society Guideline on management of multifocal motor neuropathy. Report of a Joint Task Force of the European Federation of Neurological Societies and the Peripheral Nerve Society – first revision. J Peripher Nerv Syst. 2010;15:295-301.
  4. van Asseldonk JT, Franssen H, van den Berg-Vos RM, Wokke JH, van den Berg LH. Multifocal motor neuropathy. Lancet.Neurol. 2005;4:309-19.
  5. Vlam L, Van der Pol WL, Cats EA, Straver DC, Piepers S, Franssen H, et al. Multifocal motor neuropathy: Diagnosis, pathogenesis and treatment strategies. Nat Rev Neurol. 2012;8:48-58.
  6. Aotsuka Y, Misawa S, Suichi T, Shibuya K, Nakamura K, Kano H, et al. Prevalence, Clinical Profiles, and Prognosis of CIDP in Japanese Nationwide Survey: Analyses of 1,257 Diagnosis-Confirmed Patients. Neurology. 2024;102(6):e209130.
  7. 松井尚子.多巣性運動ニューロパチー:疫学と治療の実態.臨床神経学.2012;52(11):920-2.