- オフィスワーカーの約5%は、発達障害に見られる特性を持つグレーゾーンに該当
- ニューロダイバーシティの認知度は、さまざまな多様性の中で最も低い
- ニューロダイバーシティ人材も一緒に働く周りの人も発達障害の特性のために仕事に同程度支障を感じているが、その対応に対して異なる認識
武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)は、「日本橋ニューロダイバーシティプロジェクト」(以下「本プロジェクト」)の一環として、職場環境におけるニューロダイバーシティ※1の現状と課題を把握することを目的に、18歳から65歳の全国のオフィスワーカー2600人※2を対象とする調査を実施しました。この調査結果により、発達障害当事者(発達障害の診断を受けている人)またはグレーゾーン※3(診断はないものの、発達障害に見られる特性を持つ人)であるニューロダイバーシティ人材※4と、それらに該当しない周りの人たちとで、発達障害や多様性に対するさまざまな認識にギャップが存在することが分かりました。
発達障害の診断を受けていないオフィスワーカー2500人の中で三つの発達障害の特性に対して一つでも「よく当てはまる、または頻繁に指摘されたことがある」と回答した人は5%(125人)でした。また、本調査において発達障害の診断を受けた当事者の出現率は約0.8%※5でした。大人の発達障害は、ADHDに限っても約2.5%生じる※6とされており、診断を受けていないグレーゾーンの人がいることが推定されます。
さまざまな多様性・ダイバーシティに関しての認知度・理解度を尋ねる質問では、発達障害当事者、グレーゾーン、周りの人たちのすべてのグループで、ニューロダイバーシティの認知度・理解度が最も低く、特に周りの人たちは60%以上(60.5%)が知らないと回答しました。ニューロダイバーシティは過半数が知らない状況であり、ニューロダイバーシティ人材が活躍できる土壌が整っているとは言えない状況がうかがわれます。
発達障害の特性により仕事に支障があると回答した割合※7は、発達障害当事者、グレーゾーン、発達障害の特性・特徴のある方と仕事をしている周りの人たちの間でそれぞれ67.0%、 56.8%、 67.6%であり同程度でした。一方、支障が出ないようにするための対応を尋ねる質問では、ニューロダイバーシティ人材は「自分で対処しようとしている」と回答した割合が、当事者で76.1%、グレーゾーンで54.9%となり最も高かったのに対し、一緒に働く周りの人たち(N=192)では「周りの同僚や上司が特性・特徴を理解し、対応している」の回答が46.4%と最も多く、対応方法に対して異なる認識を持っていることが分かりました。一緒に働く周りの人たちでは「特に何も対応していない」が39.6%となり、発達障害の特性に対して十分な理解がされておらず、このことからもニューロダイバーシティ人材が活躍できる土壌が整っているとは言えない状況がうかがわれます。
本調査により、職場において発達障害やそれに類似する特性への対応状況がまだまだ不十分であり、ニューロダイバーシティ人材が活躍できる土壌が整っていないことが示唆されました。日本橋ニューロダイバーシティプロジェクトでは、発達障害に見られるような特性を単なる障害ではなく、脳や神経の多様性として捉えるニューロダイバーシティを推進していくことを通じて、ニューロダイバーシティ人材以外の周りの人たちも働きやすい環境を作り出していくことを目指します。
調査概要:
調査対象-発達障害の診断を受けている人 100名、発達障害の診断をうけていない人 2500名
調査方法:インターネット調査
調査期間:2023年1月26日~2023年1月30日
詳細は、「別添資料 調査結果補足」をご覧ください。
脳や神経、それに由来する個人レベルでのさまざまな特性の違いを、多様性と捉えて相互に尊重し、それらの違いを社会の中で活かしていこうという考え方
内訳:発達障害の診断を受けている人100人、発達障害の診断を受けていない人2500人
ADHD、ASD、LD当事者の特性を提示した設問のいずれかにおいて「よく当てはまる、または頻繁に指摘されたことがある」と回答した人の合計
発達障害の診断を受けている人とグレーゾーンに該当する人
スクリーニング質問で発達障害の診断を受けている人が13155人中100人(0.8%)
注意欠如多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第5版
ニューロダイバーシティ人材と周りの人たちそれぞれに、発達障害に見られる特性がどの程度仕事に支障を及ぼすか聞いた設問において「とても支障がある」「やや支障がある」と回答した人の合計