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産官学連携により、重篤な副作用の回避に繋がるタンパク質と薬剤の複合体構造を解明

2021年2月23日

タケダを含む企業5社(Axcelead Drug Discovery Partners株式会社、アステラス製薬株式会社、小野薬品工業株式会社、第一三共RDノバーレ株式会社)はAMED、千葉大学、高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所と協働して、副作用を引き起こす蛋白質としてよく知られるhERGタンパク質と薬剤との複合体の立体構造を明らかにしました(AMEDプレスリリースへのリンク論文へのリンク)。
hERG阻害作用の回避は、多くの創薬プロジェクトで候補物質を最適化する際の重要な項目の一つです。従来はナレッジや構造活性相関に頼る構造変換を行って候補物質を最適化してきましたが、今回発表された成果により、タンパク質との相互作用情報を元に薬剤を設計することが可能になり、より効率的に阻害作用を低減できるようになりました。
複合体の構造解明には、クライオ電子顕微鏡による単粒子解析法が用いられました。この手法は、本成果で示されたように望まないオフターゲットへの親和性予測やそれを回避するための基盤技術となることが期待されます。創薬研究での利用が期待される一方、クライオ電子顕微鏡は高額な機械で、日本ではアカデミアが限られた台数を保有しているのみとなっています。アカデミアの貴重なリソースやノウハウを有効に活用し、産業界のナレッジをうまく取り込んで、広く便益のある成果を創出したという意味で、本共同研究は産官学協働が成功した素晴らしい事例だと考えます。タケダは今後もこのような取り組みに積極的に参画し、患者さんのニーズに沿う革新的な薬の創出に向けて社外研究者と協業しながら、可能性を追求していきます。