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皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤の日本における製造販売承認申請について

2024年2月14日

- 免疫グロブリン投与前にヒアルロニダーゼを投与することで免疫グロブリンの大量投与が可能となり、3週又は4週間隔での皮下投与が可能に
- 投与頻度の減少により無又は低ガンマグロブリン血症の患者さんの負担軽減に期待


当社は、本日、皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤(一般名:pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)、ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、開発コード:TAK-771、以下「本剤」)について、「無又は低ガンマグロブリン血症」を予定する効能又は効果として、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。
「無又は低ガンマグロブリン血症」は、原発性免疫不全症(以下「PID」)または続発性免疫不全症(以下「SID」)による抗体が無いまたは低い状態で、重篤な感染症の再発リスクが増加することを特徴とする疾患です1


本剤は、皮下注用人免疫グロブリン10%製剤(以下「SCIG10%」)および遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20製剤(以下「rHuPH20」)から構成される皮下注用の組み合わせ製剤で、2バイアルが同梱されています。rHuPH20を投与し皮下組織の透過性を一時的に高め、その後同じ部位にSCIG10%を投与することで、SCIG10%の拡散と吸収が促進され、大量投与が可能になります。大量投与により投与頻度が従来の皮下注用製品に比べて少ない3週または4週間隔となり、患者さんの負担の軽減が期待されます。


このたびの製造販売承認申請は、主に有効性、安全性、忍容性および薬物動態を評価するために実施された、PID日本人患者さんを対象とした臨床第3相試験(TAK-771-3004試験NCT05150340)ならびにPID患者さんを対象とした3つの海外臨床第2/3相試験(160603試験NCT00814320、160902試験NCT01175213および161503試験NCT03277313)に基づいて行っています。これらの試験において、本剤は無又は低ガンマグロブリン血症の治療薬として有効性と安全性が評価されました。


当社のPDTビジネスユニット R&D Japan リージョナルヘッドである廣田直美は、「現在日本で承認されている無又は低ガンマグロブリン血症患者さんのための皮下投与製剤は週1回または2週間に1回の投与が必要で、静脈投与製剤と比較して頻回の投与が必要です。SCIG10%とrHuPH20の組み合わせ製剤が承認されれば、投与頻度が3週または4週間隔となり、患者さんの負担軽減が期待できます。40カ国以上で承認されている本剤を新しい治療選択肢として、少しでも早くお届けできる日を心待ちにしています」と述べています。


<無又は低ガンマグロブリン血症について>

無ガンマグロブリン血症は、Bリンパ球と呼ばれる免疫細胞の正常で成熟した増殖を阻害する遺伝子の異常によって抗体が産生されず引き起こされる遺伝性疾患です2。低ガンマグロブリン血症は、遺伝子異常によって遺伝することが多いですが、化学療法、特定の併存疾患、免疫抑制剤の使用などの二次的影響によって抗体が欠乏し発症する場合もあります1。どのような種類の抗体欠乏症であっても、感染症を繰り返すことが多く、 免疫グロブリン補充療法により体内の抗体レベルを上昇させることができます。「無又は低ガンマグロブリン血症」はPIDまたはSID1により引き起こされます。


<原発性免疫不全症・続発性免疫不全症について>

原発性免疫不全症(PID)は、免疫系の一部が欠損している、または適切に機能していない480種類を超える希少遺伝性疾患の不均一なグループを指します3。続発性免疫不全症(SID)は、免疫系の外因性条件または要因に起因する免疫応答の障害と定義することができます。SIDは栄養不良、代謝障害、免疫抑制薬の使用、慢性感染、悪性腫瘍、および重度の外傷の結果として生じます4。PIDおよびSIDの患者さんは免疫系が障害されているため、感染症にかかりやすく、回復に時間がかかることがあります。抗体欠損があり、易感染性が亢進していたり、持続性感染症の患者さんでは、機能的抗体による代替(免疫グロブリン補充療法)が免疫系の機能を支える標準治療です4


<皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤について>

皮下注用人免疫グロブリン・遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼ組み合わせ製剤は、「無又は低ガンマグロブリン血症」と診断された患者さんの感染予防として大量の免疫グロブリンの皮下投与を可能にするために、当社が開発したSCIG10%およびrHuPH20から構成される組み合わせ製剤です。rHuPH20をSCIG10%投与の直前に投与することで皮下組織の透過性を一時的に高め、SCIG10%の拡散と吸収を促進することで、大量投与が可能で、投与頻度は3週または4週間隔です。本剤は、欧州で2013年5月に、米国では2014年9月に承認され、2023年5月現在、40カ国以上で承認され、HYQVIA®の製品名で発売されています。




<武田薬品について>

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。


<重要な注意事項>

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。
武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。


<将来に関する見通し情報>

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、武田薬品が事業を行う国の政府を含む武田薬品とその顧客及び供給業者又は武田薬品の事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非中核資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社による省エネルギーへの取り組み及び将来の再生可能エネルギー又は低炭素エネルギー技術の発展による当社の温室効果ガス排出量の削減の程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings-and-security-reports/)又はwww.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。


<医療情報>

本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。


以上


出典

  1. F.M.C.A. Pimenta et al., Hypogammaglobulinemia: a diagnosis that must not be overlooked. BJMBR, 2019;52(10): e8926, http://dx.doi.org/10.1590/1414-431X20198926
  2. National Organization for Rare Disorders https://rarediseases.org/rare-diseases/agammaglobulinemia/
  3. Stuart G. Tangye et al., Human inborn errors of immunity: 2022 update on the classification from the international union of immunological societies expert committee. J Clin Immunol. 2022; 42(7): 1473-1507. doi: 10.1007/s10875-022-01289-3. Epub 2022 Jun 24. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35748970
  4. Karen S Tuano, Neha Seth, Javier Chinen. Secondary immunodeficiencies. Ann Allergy Asthma Immunol 2021; 127(6): 617-626. doi: 10.1016/j.anai.2021.08.413