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pUL97キナーゼ阻害剤「maribavir(TAK-620)」の日本における製造販売承認申請について

2023年11月17日

- 臓器移植(造血幹細胞移植も含む)におけるサイトメガロウイルス感染症の治療を予定とする効能又は効果とし厚生労働省に対し製造販売承認申請
- サイトメガロウイルス感染症の新しい治療選択肢として期待


当社は、このたび、pUL97キナーゼ阻害剤 「maribavir(TAK-620)」について、「臓器移植(造血幹細胞移植も含む)におけるサイトメガロウイルス感染症の治療」を効能又は効果として、厚生労働省に対し製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。


このたびの製造販売承認申請は、主に日本人の造血幹細胞移植(hematopoietic stem cell transplant、以下「HSCT」)又は固形臓器移植(solid organ transplantation、以下「SOT」)患者さんでサイトメガロウイルス(Cytomegalovirus、以下「CMV」)感染・感染症を有する患者さんを対象とした国内第3相非盲検試験(NCT05137717)およびHSCT又はSOT患者さんで既存の抗CMV治療に難治性又は抵抗性のCMV感染・感染症を有する患者さんを対象とした海外第3相非盲検試験(NCT02931539)に基づいて行っています。これらの試験において、臓器移植後のCMV感染症の治療薬として有効性と安全性が評価されました。


CMV感染症は、移植後の患者さんに最もよくみられる感染症の一つで、移植後に感染又は再活性化すると、移植臓器の喪失などの深刻な状態になる可能性がある疾患です。maribavirは経口投与可能な、pUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の抗CMV化合物です1-4


当社R&D Japanリージョンヘッドの梶井 靖は「移植後のCMV感染症は、移植臓器の喪失や最悪の場合は死に至ることもある疾患で、多くのアンメットニーズがあります。maribavirは経口投与可能で患者さんの負担を軽減することが期待されます。maribavirを新たな治療選択肢としてお届けできる日を心待ちにしています」と述べています。


<サイトメガロウイルス(CMV)について>

CMVはヒトに多く感染するベータヘルペスウイルスであり、さまざまな成人集団の40~100%で感染歴を認める血清学的エビデンスがあります5。CMVは通常、体内に潜伏し、無症候性ですが、免疫抑制期間中に再活性化することがあります。免疫機能が低下した人では、重篤な疾患を発現することがあり、これにHSCTやSOTを始めとする、さまざまな種類の移植に関連した免疫抑制剤の投与を受けている患者さんも含まれます6。世界における1年の推定20万人の成人移植のうち、CMVは移植後の患者さんが経験する最もよくみられるウイルス感染のひとつであり、推定発現率はSOTの患者さんで16~56%、HSCTの患者さんで30~80%です6,7。移植後の患者さんでCMVが再活性化すると、移植臓器の喪失などの重篤な結果に至る可能性があり、極端な場合では死に至ることもあります8,9


<maribavirについて>

経口投与可能な抗CMV化合物であるmaribavir(海外における承認製品名「LIVTENCITY®」)は、pUL97キナーゼとその天然基質を標的として阻害する最初で唯一の抗ウイルス剤です10
maribavirは移植後の成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重が35 kg以上)におけるガンシクロビル、バルガンシクロビル、cidofovir(国内未承認)またはホスカルネットによる治療に対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性のCMV感染・感染症治療薬として米国FDAに承認されています11。欧州においては、HSCTまたはSOT後の成人患者さんにおける既存の治療薬であるガンシクロビル、バルガンシクロビル、cidofovir(国内未承認)またはホルカルネットのいずれか1種類以上に対して抵抗性(無しも含む)を示す難治性CMV感染・感染症治療薬として承認されています12。カナダ保健省には、移植後の成人患者さんにおける既存の抗ウイルス治療薬のいずれか1種類以上に対して遺伝子型抵抗性(無しも含む)を示す難治性CMV感染・感染症治療薬として承認されています13。また、オーストラリアでは、移植後の成人患者さんにおける既存療法のいずれか1種類以上に対して抵抗性、難治性または不耐性のCMV感染及び感染症治療薬として承認されています14


<武田薬品について>

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。


<重要な注意事項>

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。
武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。


<将来に関する見通し情報>

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、武田薬品が事業を行う国の政府を含む武田薬品とその顧客及び供給業者又は武田薬品の事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非中核資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社による省エネルギーへの取り組み及び将来の再生可能エネルギー又は低炭素エネルギー技術の発展による当社の温室効果ガス排出量の削減の程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。


<医療情報>

本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。


以上


1. Abdel-Magid AF. New Inhibitors of Cytomegalovirus DNA Polymerase. ACS Med Chem Lett. 2013;4(12):1129-1130. doi:10.1021/ml4004099.

2. Hamirally S, Kamil JP, Ndassa-Colday YM, et al. Viral Mimicry of Cdc2/Cyclin-Dependent Kinase 1 Mediates Disruption of Nuclear Lamina during Human Cytomegalovirus Nuclear Egress. Nelson JA, ed. PLoS Pathog. 2009;5(1):e1000275. doi:10.1371/journal.ppat.1000275.

3. Kotton CN, Kumar D, Caliendo AM, et al. The Third International Consensus Guidelines on the Management of Cytomegalovirus in Solid-organ Transplantation: Transplantation. 2018;102(6):900-931. doi:10. 1097/TP. 0000000000002191.

4. Krosky PM, Baek M-C, Coen DM. The Human Cytomegalovirus UL97 Protein Kinase, an Antiviral Drug Target, Is Required at the Stage of Nuclear Egress. J Virol. 2003;77(2):905-914. doi:10.1128/JVI.77.2.905-914.2003.

5. de la Hoz R. Diagnosis and treatment approaches to CMV infections in adult patients. J Clin Virol. 2002;25(Suppl 1):S1-S12.

6. Azevedo L, et al. Cytomegalovirus infection in transplant recipients. Clinics (Sao Paolo). 2015;70(7):515-523.7.Styczynski J. Who is the patient at risk of CMV recurrence: a review of the current scientific evidence with a focus on hematopoietic cell transplantation. Infect Dis Ther. 2018;7:1-16.

7. Styczynski J. Who is the patient at risk of CMV recurrence: a review of the current scientific evidence with a focus on hematopoietic cell transplantation. Infect Dis Ther. 2018;7:1-16. doi:10.1007/s40121-017-0180-z.

8. Ramanan P, et al. Cytomegalovirus infections in solid organ transplantation: a review. Infect Chemother. 2013;45(3):260.9. Camargo JF, et al. Emerging concepts in cytomegalovirus infection following hematopoietic stem cell transplantation. Hematol Oncol Stem Cell Ther. 2017;10(4):233-238.

9. Ramanan P, Razonable RR. Cytomegalovirus infections in solid organ transplantation: a review. Infect Chemother. 2013;45(3):260. doi:10.3947/ic.2013.45.3.260.

10. Avery RK, et al. Maribavir for refractory cytomegalovirus infections with or without resistance post-transplant: results from a phase 3 randomized clinical trial. Clin Infect Dis. 2022;75(4):690-701. doi:10.1093/cid/ciab988

11. Takeda’s LIVTENCITY (maribavir) approved by U.S. FDA as the first and only treatment for people ages 12 and older with post-transplant cytomegalovirus (CMV), refractory (with or without genotypic resistance) to conventional antiviral therapies. Published November 23, 2021.
https://www.takeda.com/newsroom/newsreleases/2021/takeda-livtencity-maribavir-approved-by-us-fda/.

12. LIVTENCITY (maribavir) European Summary of Product Characteristics.

13. Health Canada approves Takeda’s LIVTENCITY (maribavir) the first and only treatment for adults with post-transplant cytomegalovirus (CMV) infection. Published September 20, 2022.
https://www.takeda.com/en-ca/newsroom/news-releases/2022/health-canada-approves-takedas-livtencity-maribavir-the-first-and-only-treatment-for-adults-with-post-transplant-cytomegalovirus-cmv-infection/.

14. Therapeutic Goods Administration (TGA). LIVTENCITY maribavir 200 mg film coated tablet bottle (380132) [Australian product information]. Therapeutic Goods Administration (TGA). Published October 8, 2022.
https://www.tga.gov.au/resources/artg/380132