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IBD患者さんがより暮らしやすい社会の実現を目指した取り組みについて

2023年1月30日

当社は、240年を超える歴史の中で受け継がれてきた私たちの価値観:タケダイズムのもと、革新的な医薬品の提供だけでなく、患者さんに寄り添い、人々と信頼関係を築くことで、患者さんがより暮らしやすい社会の実現を目指しています。

 

当社が注力する消化器系疾患領域においては、炎症性腸疾患(以下、「IBD」)患者さんの気持ちをより適切に理解することを目的としたシミュレーションプログラム「In Their Shoes(以下、「ITS」)」を開発しています。IBDは、主に潰瘍性大腸炎とクローン病の総称であり、腸を中心とする消化管粘膜に炎症が生じる疾患です。10代~20代の方に多く発症すること1が知られており、患者さんの多くは、頻回の下痢や血便、腹痛、発熱、さらには慢性疲労に悩まされながら日常生活を送っています。一方で、IBDは、症状が見た目には分かりづらく、また患者さんがどのようなことで困っているのか周囲の方に伝わりにくい疾患です。

ITSは、その体験を通して当社従業員が患者さんに寄り添い、患者さんの立場に立った情報提供活動を展開していくことを目的として開発され、日本での事業を担うジャパン ファーマ ビジネス ユニットを中心に、既に360名を超える従業員が体験しています。ITSの体験は、患者さんの日常生活上の悩みをより具体的にイメージしたうえでの情報提供活動につながっています。また、当社は医療系学生団体とともにIBDの疾患啓発イベントを2020年から毎年開催しており、その際に参加者の医療系学生にもITSを体験していただいています(ITSを体験した学生の声はこちら)。

 

患者さんがIBDと付き合っていくためには、身近な人々のサポートも必要であることから、今まで以上にIBDやIBD患者さんにとっての必要なケアへの理解を深めていただくことを目的として、このたび、IBD患者さんのご家族13名にITSを体験していただきました。参加者からは、「患者さんが遠慮なく思いや悩みを伝えられるよう、今以上に周囲の理解が必要であることを実感した」や、「便意や腹痛などの症状が、想像以上に仕事や日常生活に支障を及ぼしていることを理解できた」などの声が寄せられました。

 

当社では、IBD患者さんやそのご家族に対し、患者さんの疾患の状態に合わせた情報や日々の生活に役立つ情報など、IBD患者さんご自身が今よりもっとうまく病気と付き合っていくための情報をまとめたIBDステーション(Webサイト)やIBD患者さんのセルフマネジメントをサポートするIBDノート(アプリ)なども提供しています。

また、2023年2月19日(日)には、(Web)市民公開講座「潰瘍性大腸炎とクローン病 -知っておきたい最新情報-」を開催する予定です。どなたでも参加可能となっておりますので、ご興味ありましたら、ぜひご参加ください。参加申し込みは、こちらからお願いします。

 

<市民公開講座 概要>
名称 潰瘍性大腸炎とクローン病 -知っておきたい最新情報-
日時 2023年2月19日(日) 14:00-15:45
対象 IBD患者さん・ご家族・一般の方々

登壇予定者

久松 理一先生(杏林大学医学部 消化器内科学 教授)

長堀 正和先生(東京医科歯科大学病院 臨床試験管理センター 准教授)

布谷 麻耶先生(武庫川女子大学 看護学部・看護学研究科 成人慢性看護学分野 教授)

太田 裕子先生(北里大学病院 栄養部 管理栄養士)

 

当社は、引き続きIBD患者さんの気持ちに寄り添い、IBD患者さんがより暮らしやすい社会の実現を目指して、患者支援団体や医療関係者の皆様との協働のもと、さまざまな活動に取り組んでまいります。

 

<In Their Shoesプログラムについて>

「In Their Shoes」は、スマートフォンのアプリケーションからの指示に従ってIBD患者さんの日常生活を体験し、患者さんの気持ちをより適切に理解することを目的として開発されたシミュレーションプログラムです。「In Their Shoes」 とは、英語で「その⼈と同じ立場や境遇に身を置いて考える」ことを意味します。当プログラムは、IBD 患者さんや患者さん団体の協力を得て海外で開発された、科学的根拠に基づくストーリー性のあるプログラムであり、当社の包括的な患者さんケアへの取り組みである、“Patient First Program(ペイシェント・ファースト・プログラム)”の取り組みの一つです。

 

<ペイシェント・ファースト・プログラムについて>

ペイシェント・ファースト・プログラムは、患者さんのペイシェント・ジャーニーに携わる医療従事者、企業・組織、行政機関など、あらゆるステークホルダーの協力によって、integrated care(包括的なケア)を提供することを目指し、患者さんのアンメット・メディカル・ニーズに対応するための武田薬品の取り組みの一つです。患者さんを中心に考える武田薬品のコミットメントを体現するものであり、患者さんを取り巻くステークホルダーとの議論や効果的な連携を果たすため、営業部門から独立したジャパンメディカルオフィスが中心となり、活動しています。

 

<武田薬品について>

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国と地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。

詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

 

<武田薬品の消化器系疾患領域における取り組みについて>

消化器系疾患は時として、患者さんの日常生活を困難にさせる場合があります。武田薬品およびパートナー各社はこのアンメット・メディカル・ニーズに対し、30年以上にわたり革新的な医薬品や支援プログラムを通じて患者さんのQOL(生活の質)改善に取り組んでまいりました。また武田薬品は、炎症性腸疾患、酸関連疾患、短腸症候群、消化管運動障害など、消化器系疾患領域をリードしてきました。武田薬品の消化器系疾患領域の研究開発チームは、セリアック病や好酸球性食道炎、α-1アンチトリプシン関連肝疾患、クローン病など、アンメット・メディカル・ニーズのある新しい領域でのギャップの解消に向けても取り組んでいます。武田薬品は、これからも研究者や患者団体とともに、消化器系疾患領域における科学的研究と臨床医学の発展に取り組んでいきます。

 


1 難病情報センター,潰瘍性大腸炎, https://www.nanbyou.or.jp/entry/62
   難病情報センター,クローン病, https://www.nanbyou.or.jp/entry/81