アクセシビリティ機能を有効化アクセシビリティ機能を有効化

コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤「soticlestat(TAK-935)」の 希少疾病用医薬品の指定について

2022年2月28日
- ドラベ症候群(DS)及びレノックス・ガストー症候群(LGS)を予定される効能・効果として厚生労働大臣より希少疾病用医薬品の指定を取得

このたび、当社は、コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤「soticlestat(TAK-935)」が、ドラベ症候群(DS)及びレノックス・ガストー症候群(LGS)を予定される効能・効果として厚生労働大臣より希少疾病用医薬品の指定を取得いたしましたのでお知らせいたします。

DSおよびLGSは発達性てんかん性脳症(DEE)の一種で指定難病です。soticlestat は、CH24Hを抑制しニューロンの24S‐ヒドロキシコレステロール(24HC)レベルを低下させることでDSおよびLGSの症状を改善することが期待されており、現在、DS及びLGSを対象とした第III相臨床試験等が進行中です。

<soticlestat(TAK-935)について>

soticlestatは、強力で選択性の高い、ファースト・イン・クラスの経口コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤であり、発作感受性を低下させ、発作制御を改善する可能性があります*1。CH24Hは主に脳で発現し、そこでコレステロールを24S‐ヒドロキシコレステロール(24HC)に変換し、脳コレステロールの恒常性バランスを調節します。24HCはNMDA受容体のポジティブアロステリックモジュレーターであり、てんかんに関連するグルタミン酸作動性シグナル伝達を調節します。グルタミン酸は脳内の主要な神経伝達物質の1つであり、発作の開始および進展に関与していることが示されています。最近の論文では、24HCがNMDA受容体の調節を介してグルタミン酸経路の過度な活性化に関与し、CH24Hの発現増加がアストロサイトによるグルタミン酸の再取り込みを妨げ、てんかん原性や神経炎症などの神経毒性が生じることが示されています*2。soticlestatによるCH24Hの抑制はニューロンの24HCレベルを低下させ、脳の興奮性/抑制性バランスのゆがみを改善する可能性があります。
現在、DS及びLGSを対象とした第III相臨床試験等が進行中です。

<ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群について>

ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群は、まれなてんかん症候群の不均一なグループである発達性てんかん性脳症(DEE)の一種です。ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群はどちらも「難病の患者に対する医療等に関する法律」(平成26年法律第50号)に基づき指定される指定難病です。ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群は、典型的な場合で乳児期または幼児期に発症し、多くの抗てんかん薬で抑制が難しい非常に難治性の疾患です。

ドラベ症候群はSCN1A遺伝子の遺伝子変異が原因で起こることが最も多く、日本における患者数は約3000人と推定されています。ドラベ症候群は、けいれん性強直間代発作に進展しうる遷延性焦点発作を特徴とします。ドラベ症候群を有する小児患者は、発作が増加するにつれて発達障害を発症します。そのほかによくみられる症状には、食欲の変化、バランス感覚の悪化、かがみ歩行などがあります。

レノックス・ガストー症候群の日本における患者数は約4300人と推定されています。レノックス・ガストー症候群は不均一な病態であり、いくつかの異なるタイプの発作、最も一般的には弛緩性(脱力)、強直性および非定型欠神発作を特徴とします。レノックス・ガストー症候群を有する小児患者では、認知機能障害、発達のマイルストン達成の遅れや行動上の問題が引き起こされることもあります。レノックス・ガストー症候群は、様々な基礎疾患によって引き起こされることがありますが、原因を特定できないこともあります。

<希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)について>

次のいずれの要件にも該当するものについて、医薬品医療機器法第77条の2第1項に基づき薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定するものです。

  • 当該医薬品の用途に係る対象患者数が本邦において5万人未満であること。ただし、その用途が指定難病の場合は、難病法第5条第1項 に規定する人数(人口のおおむね千分の一程度)まで対象者数の範囲とする。
  • 代替する適切な医薬品または治療法がないこと、または既存の医薬品と比較して著しく高い有効性もしくは安全性が期待される等の医療上特に優れた使用価値を有すること
  • 対象疾病に対して当該医薬品を使用する理論的根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であると認められること

 

<武田薬品について>

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

 

<注意事項>

本リリースに記載されている医薬品、医療機器の情報は、武田薬品の経営情報の開示を目的とするものであり、それぞれが開発中のものを含むいかなる医薬品、医療機器の宣伝、広告を目的とするものではありません。

*1 J Med Chem. 2021 Aug 26;64(16):12228-12244. doi: 10.1021/acs.jmedchem.1c00864. Epub 2021 Aug 13.
*2 J Neurochem. 2021 May;157(4):899-918. doi: 10.1111/jnc.15228. Epub 2020 Nov 18.

以上