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遺伝性血管性浮腫(HAE)治療薬「フィラジル®皮下注30mgシリンジ」の小児治療に対する製造販売承認事項一部変更承認の申請について

2021年12月10日
- HAE小児患者さんの新たな治療選択肢となることに期待

当社は、本日、選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー「フィラジル®皮下注30㎎シリンジ」(一般名:イカチバント酢酸塩、以下「フィラジル」)について、「遺伝性血管性浮腫」(Hereditary Angioedema、以下「HAE」)の小児治療に対する製造販売承認事項一部変更承認申請を行いましたのでお知らせします。

HAEは腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患です1,2,3。喉に発生した場合は気道がふさがり呼吸困難を起こし、窒息死する危険もあります3,4。HAEは世界中で5万人にひとりが罹患していると推定されています4。日本には2,000人から3,000人の患者さんが存在すると推定されていますが、疾患に対する日本での認知度は低く、診断されている患者さんは約450名に留まっており、未診断の患者さんが多くいると考えられています5。また、日本では初めての発作が起きてから確定診断までに平均13.8年かかるといわれており6、米国の平均10年7、欧州の平均8.5年8の報告と比較すると、大きな開きがあるのが現状です。平均11.2歳で初発し、初発が早い方が遅発患者さんよりも浮腫による影響が深刻との報告9があり、18歳未満の小児患者さんへの治療選択肢が求められています。

今回の申請は、主に2歳以上18歳未満の小児にフィラジルを皮下投与したときの安全性、有効性、および薬物動態を評価した国内第3相非盲検試験(jRCT2041200073)や、海外第3相非盲検試験(NCT04654351)に基づいて行っています。これらの試験において、フィラジルはその安全性と有効性がみられました。国内第3相非盲検試験でみられた日本人小児の治療反応は、日本人及び海外の成人並びに海外第3相非盲検試験での小児の治療反応と類似していました。承認された場合、フィラジルはHAE治療薬として成人だけでなく小児においても治療選択肢として提供されます。

当社の日本開発センター所長である廣田 直美は、「フィラジルは発作が起こったその場で速やかに治療が可能なHAEの治療薬です。日本では2018年の販売開始以降、成人患者さんの標準治療薬としての実績があります。今回の申請が承認された場合、小児患者さんにとっては日本ではじめての急性発作に対する治療選択肢となり、一人でも多くの小児患者さんに貢献できることを願っています」と述べています。

<フィラジル®皮下注30mgシリンジについて>

フィラジルは発作の原因であるブラジキニンの作用を直接的に阻害する唯一のHAE治療薬で、一回の注射で速やかにHAEの発作症状を緩和させる10ことが期待できます。皮下投与による自己投与可能な唯一のプレフィルドシリンジ製剤で、学校や仕事場などの外出時や夜間などに急な発作が起こった場合でも、その場で速やかな治療が可能です。

製品名

フィラジル®皮下注30㎎シリンジ

一般名

イカチバント酢酸塩

効能・効果

遺伝性血管性浮腫の急性発作

薬理作用

選択的ブラジキニンB2受容体ブロッカー

 

<武田薬品について>

武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

<注意事項>

本リリースに記載されている医薬品、医療機器の情報は、武田薬品の経営情報の開示を目的とするものであり、それぞれが開発中のものを含むいかなる医薬品、医療機器の宣伝、広告を目的とするものではありません。

 

  1. Cicardi M, Bork K, Caballero T, et al; on behalf of HAWK (Hereditary Angioedema International Working Group). Evidence based recommendations for the therapeutic management of angioedema owing to hereditary C1 inhibitor deficiency: consensus report of an International Working Group. Allergy. 2012; 67(2):147-157.
  2. Zuraw BL. Hereditary angioedema. N Engl J Med. 2008;359(10):1027-1036.
  3. Banerji A. The burden of illness in patients with hereditary angioedema. Ann Allergy Asthma Immunol. 2013;111(5):329-336.
  4. Longhurst HJ, Bork K. Hereditary angioedema: causes, manifestations, and treatment. Br J Hosp Med.2006;67(12):654-657.
  5. Hide M, Horiuchi T, et al. Management of hereditary angioedema in Japan: Focus on icatibant for the treatment of acute attacks. Allergology International 70 (2021) 45-54.
  6. Ohsawa I et al: Ann Allergy Asthma Immunol 2015; 114: 492-498
  7. Banerji et al., Allergy Asthma Proc. 2018 May-Jun; 39(3): 212–223
  8. Zanichelli et al., Allergy, Asthma & Clinical Immunology 2013, 9 :29
  9. Hereditary Angioedema: New Findings Concerning Symptoms, Affected Organs, and Course The American Journal of Medicine Volume 119, Issue 3, March 2006, Pages 267-274
  10. 秀 道広ら. アレルギー. 2018; 67: 139-47.

以上