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経口PARP阻害薬「ゼジューラ®」の日本における卵巣がんに対する製造販売承認の取得について

2020年9月25日

当社は、このたび、経口のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬「ゼジューラ®カプセル100㎎」(一般名:ニラパリブトシル酸塩水和物、開発コード:MK-4827、以下「ゼジューラ」)について、「卵巣癌における初回化学療法後の維持療法、白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発卵巣癌における維持療法、白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌」を適応とする治療薬として、厚生労働省より製造販売承認を取得したことをお知らせします。

今回の承認は、海外臨床第3相試験であるPRIMA試験、海外臨床第3相試験であるNOVA試験、海外臨床第2相試験であるQUADRA試験、ならびに日本人卵巣がん患者に対し安全性を検討した国内臨床第2相試験のNiraparib-2001試験、日本人卵巣がん患者に対し有効性および安全性を検討した国内臨床第2相試験のNiraparib-2002試験の結果に基づくものです。

Niraparib-2001試験、Niraparib-2002試験の治験参加施設の責任医師である慶應義塾大学医学部産婦人科学教室 教授 青木大輔医師は、「卵巣がんは女性特有のがんで、日本の罹患者数・死亡者数ともに年々増加しており、早期発見が困難なことから予後不良ながんとして知られています。また、半数以上の方が治療後再発のリスクがあり、不安を抱えながら過ごしています。ゼジューラは、卵巣がんの維持療法と、白金系抗悪性腫瘍剤感受性で相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌の適応を有するPARP阻害剤です。ゼジューラはこれまでの抗がん剤とは異なる作用機序を有し、国内外の臨床試験において有効性が示されているため、卵巣がんの患者さんへの新たな治療選択肢となることを期待しています」と述べています。

当社のOncology Therapeutic Area Unit HeadであるChristopher Arendtは、「ゼジューラはバイオマーカーで限定されず、卵巣がん患者さんにおける初回及び再発の維持療法として、また再発卵巣がん患者さんの後方ラインでの治療として、1日1回単剤での投与が可能な唯一のPARP阻害剤です。このたびの承認取得は、当社にとって極めて重要なマイルストンであり、本剤が国内の卵巣がん患者さんにとって新たな治療選択肢として貢献できるものと確信しています」と述べています。

当社は、2017年7月に日本における独占的開発・販売権に関するライセンス契約をグラクソ・スミスクライン(本社:英国)(旧 TESARO, Inc.社)と締結しています。

以上

<卵巣がんについて>
卵巣がんは女性生殖器悪性腫瘍の中で最も死亡者数の多い疾患です。卵巣は骨盤内の比較的奥深くに位置する臓器であるため、初期の段階では自覚症状に乏しく、卵巣がんの進行期分布をみると半数近くが予後不良な進行期ステージⅢ・Ⅳ期症例となっています。腫瘍の増大に伴う自覚症状には腹部膨満感、下腹部痛、頻尿などがあります。治療はごく初期の段階を除き、手術療法と化学療法の組み合わせが基本となります。

<ゼジューラ®について>
ゼジューラは、卵巣がんでは唯一の1日1回経口投与のPARP阻害剤です。2017年3月に、再発性上皮性卵巣がんと卵管がん、または原発性腹膜がんで、白金系抗悪性腫瘍剤を基本とした化学療法で完全奏効または部分奏効が得られた成人患者さんの維持療法として、米国食品医薬品局(FDA)から最初の承認を得ました。

<ゼジューラ®の薬価収載前の倫理的無償供給について>
当社は、ゼジューラが薬価収載するまでの間、本薬を無償で提供する倫理的無償供給プログラム(以下、「本プログラム」)を開始します。なお、ゼジューラの使用に際して必要となる、相同組換え修復欠損(homologous recombination deficiency:HRD)診断薬「myChoice® CDx(以下「myChoice CDx」)」による検査結果についても無償で提供します。本プログラムの対象となる患者さんは、現時点では標準治療がなく治療選択肢が極めて限られている「白金系抗悪性腫瘍剤感受性の相同組換え修復欠損を有する再発卵巣癌」の患者さんです。患者さんの緊急の要望にお応えするために、厚生労働省の定める「保険外併用療養費制度」のもと本プログラムを実施いたします。

<myChoice® CDxについて>
ミリアド ジェネティクス社のmyChoice診断システムは、相同組換え修復欠損(HRD)を検出することができるコンパニオン診断システムです。myChoice診断システムは、腫瘍組織のBRCA1/BRCA2遺伝子のシーケンスおよび大規模解析、そしてゲノム不安定性スコア(Genomic Instability Score:GIS)によって構成されます。GISは、3つのバイオマーカー(ヘテロ接合性の消失(LOH)、テロメアアレルの不均衡(TAI)および大規模な状態遷移(LST))の測定によって計算されます。

<PRIMA試験について>
新規に進行卵巣がんと診断され、白金系抗悪性腫瘍剤含有レジメンによる初回化学療法で奏効した症例に対するニラパリブ維持療法の有効性と安全性を検討した海外臨床第3相、他施設共同、無作為化二重盲検、プラセボ対照比較試験です。

<NOVA試験について>
白金系抗悪性腫瘍剤感受性再発卵巣癌症例を対象として、維持療法としてのニラパリブの有効性および安全性を検討した海外臨床第3相、多施設共同、無作為二重盲検、プラセボ対照比較試験です。
 
<QUADRA試験について>
HRD陽性で3または4レジメンの化学療法歴があり、白金系抗悪性腫瘍剤を含むファーストライン治療で白金系抗悪性腫瘍剤感受性を示した進行・再発性の上皮性卵巣癌、卵管癌、原発性腹膜癌における、ニラパリブの有効性と安全性を検討した海外臨床第2相、他施設共同、非盲検、単群試験です。

<Niraparib-2001試験について>
直近の白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法で完全奏効又は部分奏効が得られた白金系抗悪性腫瘍剤感受性の再発性上皮性卵巣がん、卵管がん又は原発性腹膜がんの日本人患者を対象としてニラパリブの安全性及び有効性を評価する、国内臨床第2相、多施設共同、非盲検、単群試験です。

<Niraparib-2002試験について>
3又は4ラインの前治療歴を有する進行・再発性の高悪性度漿液性上皮性卵巣がん、卵管がん又は原発性腹膜がんの日本人患者を対象としてニラパリブの有効性及び安全性を評価する、国内臨床第2相、多施設共同、非盲検、単群試験です。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

<注意事項>
本ニュースリリースに記載されている医薬品情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。