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てんかん重積状態治療剤「ブコラム®口腔用液」の日本における発売について

2020年12月10日
- ブコラムは本邦初のてんかん重積状態に対する頬粘膜投与製剤であり、医師の指導に従い、家庭内など医療機関外でも投与可能

当社は、本日、てんかん重積状態の治療剤である「ブコラム®口腔用液」(一般名:ミダゾラム 開発コード:SHP615、以下「ブコラム」)を発売しましたのでお知らせします。

本剤は、けいれん性てんかん重積状態を発症した 18 歳未満の患者さんに対してブコラムを頬粘膜投与した2つの国内第3相多施設共同介入非無作為化非盲検試験(NCT03336645およびNCT03336450)の結果を基に、2020年2月に厚生労働省に製造販売承認申請を行い、本年9月25日に製造販売承認を取得しました。ブコラムは本邦初のてんかん重積状態に対する頬粘膜投与製剤であり、医師の指導に従い、家庭内など医療機関外でも投与可能です。

当社のジャパンリージョナル&ニューロサイエンスビジネスユニット ヘッド 大中康博は、「てんかん重積状態における緊急を要する治療において、患者さんに待ち望まれてきたブコラムを本日お届けできるようになったことを心よりうれしく思います。ブコラムは利便性と迅速な効果を有する新たな治療オプションであり、本剤を通じて、てんかん重積状態の治療に貢献してまいります」と述べています。

当社は今年10月、ブコラムをNeuraxpharm社に譲渡しました。Neuraxpharm社は、35年間にわたって中枢神経系に注力するヨーロッパのスペシャリティ・ファーマのリーディングカンパニーです。譲渡完了後も、日本においては引き続き当社が製造販売業者としてブコラムの取り扱いを担います。

以上


<てんかん重積状態について>
てんかん発作(てんかん性発作)とは、脳における、過剰または同期性の異常なニューロン活動による一過性の徴候または症状と定義されています。

てんかん発作が持続する場合や連続して発生する場合、文字通り発作の連続状態を意味するてんかん重積状態の危険性が高まります。国際抗てんかん連盟(ILAE)はてんかん重積状態を「発作がある程度の長さ以上に続くか、短い発作でも反復し、その間の意識の回復がないもの」と定義しており、発作が5分以上持続する場合、速やかに治療を開始する必要があるとしています。初発てんかん重積状態の年間発症率は小児人口10万あたり42人であり、日本の0~17歳人口から推計すると、年間約8,000人の初発てんかん重積患者が存在すると推定されます。

<ブコラムについて>
ブコラムに含まれる有効成分のミダゾラムは、合成イミダゾベンゾジアゼピン誘導体であり、催眠、鎮静、麻酔、抗不安などの作用に加え、抗けいれん作用を有しています。ミダゾラムは速効性があり、持続静脈内投与も可能であることから、多くのてんかん重積状態の患者さんに使用されていましたが、2014年に静脈投与によるてんかん重積状態に対する治療薬として承認されました(他社製品)。また、海外において、ミダゾラムの頬粘膜投与は既に非静脈経路の薬剤として広く使用されており、米国てんかん学会ならびに英国NICEのガイドラインにおいても、小児てんかん重積状態初期治療における推奨薬剤の一つとして記載されています。

ブコラムは、てんかん重積状態を発症した患者さんに対する頬粘膜投与用プレフィルドシリンジ製剤であり、医療機関内外で使用できる薬剤として、BUCCOLAM®の製品名で、EU加盟27カ国、イギリスなど33カ国で承認されています(2020年9月現在)。日本では、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での協議を踏まえ、てんかん重積状態の治療薬として開発を進めてまいりました。なお、ブコラムは本年2月13日付で、厚生労働省より「てんかん重積状態」を対象として希少疾病用医薬品に指定されています。

<ブコラムの概要>

販売名

ブコラム口腔用液2.5mg・5mg・7.5mg・10mg

一般名

ミダゾラム

効能・効果

てんかん重積状態

用法・用量

通常、修正在胎52週(在胎週数+出生後週数)以上1歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回2.5mg、1歳以上5歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回5mg、5歳以上10歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回7.5mg、10歳以上18歳未満の患者には、ミダゾラムとして1回10mgを頬粘膜投与する。


<注意事項>
本文書に記載されている医薬品情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。


※出典:Nishiyama I, et al. An epidemiological study of children with status epilepticus in Okayama, Japan:Incidence, etiologies,and outcomes. Epilepsy Res 2011; 96:89-95.