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短腸症候群治療剤テデュグルチドの製造販売承認申請について

2020年10月27日
-成人および小児の短腸症候群患者への国内初の薬物治療として、製造販売承認を申請
当社は、このたび、テデュグルチド(遺伝子組換え)(開発コード:TAK-633、以下「テデュグルチド」)について、短腸症候群(Short Bowel Syndrome以下、SBS)治療剤として、厚生労働省に製造販売承認申請を行いましたのでお知らせします。

今回の申請は、国内で実施された成人および小児を対象とした第3相試験、ならびに海外にて行われた試験結果に基づくものです。これらの試験において、本剤の有効性が認められ、安全性に大きな問題は見られませんでした。

当社の日本開発センター所長である廣田直美は、「本剤は、SBSという希少な疾病に対する治療薬として日本でも開発を進めてきました。腸管吸収機能の改善を促すことで、管理の難しい長期的な経静脈サポートからの離脱・軽減をはかり、SBS患者さんや介護される方の生活の質(QOL)の向上を目指します。今回の申請は、当社にとって重要なマイルストンであり、本剤の開発にあたってご協力いただいた患者さん、医療関係者の方々に深く感謝いたします。本剤が日本のSBS患者さんに対する新たな治療オプションとなることを期待しています。」と述べています。

なお、テデュグルチドはSBSを適応症として、すでに欧米30カ国以上で承認を取得しています。

<短腸症候群について>
SBSは極めてまれで重篤な慢性疾患であり、食事から十分な水分や栄養を吸収できず、生命を維持するために静脈栄養が必要となります。外傷やクローン病、塞栓症のような血管合併症等による小腸の大量切除や先天性の欠損をはじめとするさまざまな原疾患によりSBSに至り、その病態も多岐にわたります。多くの患者さんでは腸管機能が順応していきますが、中には生涯にわたり静脈栄養が必要となる患者さんもいます。

またSBSは、合併症や死亡率、医療費などの問題とも関連しています。静脈栄養は生命維持に不可欠である一方、SBSの病態や静脈栄養への依存は、患者さんのQOLを低下させ、感染症、敗血症、血栓症や腸管不全関連肝障害などの重篤な合併症につながる恐れがあります。また、SBS患者さんは、栄養失調、脱水、下痢、疲労、脱力などの多くの症状を抱えながら生活しています。

SBSの有病率および罹患率は多くの国で明らかになっておらず、日本においても同様です。多くの推定値は、SBSのために長期的な在宅静脈栄養を要する患者数のデータに基づいています。

<テデュグルチドについて>
テデュグルチドは、天然型ヒトGLP-2の新規遺伝子組換えアナログです。本剤は33個のアミノ酸からなるペプチドでGLP-2と同様の機序を介して作用します。また、GLP-2と同一の受容体に結合することによって、同程度の効力および選択性 を示します。日本では、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での協議を踏まえ、短腸症候群の治療剤として開発が進められ、2014年11月20日付けで、厚生労働省より、予定される効能または効果を短腸症候群として希少疾病用医薬品に指定されています。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

<武田薬品の消化器系疾患領域における取り組みについて>
消化器系疾患や肝疾患は、日々の生活に支障をきたすだけでなく、患者さんの生活の質にも大きな影響を与えます。そのため効果的な治療選択肢をお届けすることに加え、患者さんのニーズを理解することが、患者さんの生活の質を改善する上で不可欠だと考えています。武田薬品は30年近くにわたり、炎症性腸疾患、酸関連疾患、短腸症候群、消化管運動障害について、消化器系疾患の患者さんのニーズに貢献してきました。また、セリアック病、好酸球性食道炎、α1アンチトリプシン関連肝疾患、クローン病、急性膵炎など、これまでとは異なる疾患領域におけるアンメット・メディカル・ニーズを解消すべく、さらなる取り組みを進めています。研究者や患者団体をはじめとするパートナーとともに、武田薬品は消化器系疾患領域における科学的研究と臨床医学の発展に貢献してまいります。

<注意事項>
本ニュースリリースに記載されている医薬品情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。

以上