第16回日本うつ病学会総会における大うつ病性障害治療薬vortioxetineの国内第3相臨床試験結果の発表について

2019年7月8日

日本の成人大うつ病性障害患者さんを対象とした国内第3相臨床試験においてvortioxetine群は主要評価項目でプラセボ群に対し良好な成績を示した

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)と ルンドベック・ジャパン株式会社(本社:東京港区、以下「ルンドベック・ジャパン」)は、2019年7月6日、第16回日本うつ病学会総会において大うつ病性障害治療薬vortioxetineの国内第3相無作為化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験(NCT02389816)の結果を発表しましたのでお知らせします。大うつ病性障害(以下「うつ病」)は複雑な疾患ですが、身近な疾患であり、日本では約300万人(人口の約2.5%)が罹患していると推計されています*。 

本試験では、日本の成人再発うつ病患者さんをvortioxetine10mg群、20mg群、プラセボ群のいずれかに無作為に割り付け、1日1回投与で有効性・安全性を評価しました。主要評価項目は、投与8週時におけるMontgomery-Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)合計スコアのベースライン(二重盲検期開始時)からの変化量でした。また、安全性評価に加え、MADRS反応率及びMADRS寛解率なども評価しました。 無作為化例は493例で、投与完了例は453例でした。

主要評価項目である投与8週時点におけるMADRS合計スコアのベースラインからの変化量は、プラセボ群との群間差がvortioxetine 10㎎、20㎎群でそれぞれ-2.66、-3.07であり、プラセボ群に対して統計学的に有意な低下が認められました(P値0.0080、0.0023)。

副次評価項目であるMADRS反応率のプラセボ群に対するオッズ比は、10㎎、20㎎群でそれぞれ1.621、1.788(P値0.0341、0.0110)、MADRS寛解率のプラセボ群に対するオッズ比は、10㎎、20㎎群でそれぞれ1.839、1.700(P値0.0186、0.0418)であり、統計学的に有意な差がみられました。

安全性については、プラセボ群、vortioxetine 10㎎群、20㎎群で発現した有害事象はそれぞれ46.6%(75例)、50.3%(83例)、54.6%(89例)で、そのほとんどの重症度は、軽度または中等度でした。主な有害事象(いずれかのvortioxetine群で発現頻度が5%以上の有害事象)は、悪心、上咽頭炎、傾眠、嘔吐でした。重篤な有害事象は、プラセボ群、vortioxetine 10㎎群、20㎎群でそれぞれ0.6%(1例)、0.6%(1例)、1.8%(3例)でした。

本試験の医学専門家である東京医科大学 精神医学分野 東京医科大学病院 メンタルヘルス科の井上猛主任教授は、「大うつ病は患者数も多く、患者さん個々によって病態も異なり、さまざまな症状を訴える疾患です。今回の臨床試験の結果から、vortioxetineがそのような患者さんの一助になることを期待します」と述べています。

vortioxetineは現在日本において製造販売承認申請中で、武田薬品とルンドベック・ジャパンは、販売に向けた準備を進めております。

以上


 <大うつ病性障害(Major Depressive Disorders,:MDD)について>
MDDは世界で約1億6000万人が罹患している複雑な精神疾患です*。MDDは臨床的うつ病としても知られており、世界中で障害の主な原因になっていると同時に全世界で疾病負担の要因ともなっています。MDDは、精神症状に加え、身体症状および認知障害を併発することがあります。その症状には、抑うつ気分、興味または喜びの著しい減退、有意の体重減少または体重増加、食欲の変化、不眠や過眠、精神運動焦燥または制止、疲労感または気力の減退、無価値感や過度の罪責感、思考力や集中力の減退、決断困難、および反復的な自殺念慮が含まれます。

<vortioxetineについて>
本剤はセロトニン(5-HT)の再取り込み阻害作用と5-HT1A受容体刺激作用、5-HT1B受容体部分的刺激作用、5-HT3、5-HT1D、および5-HT7受容体拮抗作用などを有しており、セロトニン系に加えて、ノルエピネフリン系、ドーパミン系、ヒスタミン系、アセチルコリン系、ガンマアミノ酪酸(GABA)系、およびグルタミン酸系を含む、いくつかの系において神経伝達の調節を行うとされています。本剤はこういった複数の薬力学的作用を併せ持つ初めてかつ唯一の化合物であると考えられています。

vortioxetineは、デンマークのコペンハーゲンにあるルンドベック社の研究者により創製されました。日本では、武田薬品によって臨床試験プログラムが実施されました。

vortioxetine(Trintellix®)は、MDD成人患者さんの治療薬として2013年9月30日に米国食品医薬品局(FDA)から承認されました。さらに、欧州、カナダ、チリ、中国、メキシコ、アルゼンチン、韓国、トルコ、オーストラリア、香港、シンガポール、および南アフリカ共和国を含む計83カ国で承認されています。vortioxetineは、米国、カナダ以外ではBrintellix®という製品名で販売されています。

<注意事項>
本文書に記載されている医薬品の情報は、両社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。

* 出典:   Global Burden of Disease Study 2017 http://ghdx.healthdata.org/gbd-results-tool

              (2019年6月26日アクセス)