デング熱ワクチン(TAK-003)に関する2つの臨床試験の論文がLancet誌に掲載

2020年3月18日

- 1つ目の論文に掲載された解析結果は、進行中の臨床第3相試験の18ヵ月の解析結果であり、以前に公表された12ヵ月の解析結果で報告された全般的な有効性および安全性データと概ね一貫性のある結果
- 臨床第3相試験では解析に十分なデング熱の発症例数を収集できた項目において全ての副次評価項目を達成
- 2つ目の論文は、デング熱ワクチンの長期安全性および免疫応答の持続性を示した臨床第2相試験の48ヵ月の最終解析結果であり、臨床第3相試験で選択された2回接種の妥当性をさらに裏付け

当社は、このたび、デング熱ワクチン(TAK-003)に関する2つの論文がLancet誌に掲載されたことをお知らせします。これらの論文は、現在進行中の臨床第3相試験であるTIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)の18ヵ月の解析結果および臨床第2相試験であるDEN-204試験の48ヵ月の最終解析結果についての報告であり、以前報告されたTAK-003の安全性、免疫原性および有効性データと一貫性のあるものでした。

TAK-003の初回接種3ヵ月後に2回目を接種した後、18ヵ月の追跡期間で得られた臨床第3相試験TIDES試験の18ヵ月データの解析には、ワクチン有効率(VE)に関する最新情報と、デングウイルスの血清型別、ワクチン接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)別および重症度別の有効性に関する副次評価項目の解析結果が含まれており、4歳から16歳の小児・若年層におけるウイルス学的に確認されたデング熱感染(VCD)に対する予防効果が示されました(VE:73.3%(95%信頼区間:66.5%~78.8%))。TIDES試験は、解析に十分な発症例数を収集できた項目において、全ての副次評価項目を満たしました。TAK-003の忍容性は概ね良好であり、本解析で重大な安全性の懸念は認められませんでした。この解析結果は、2019年11月に開催された米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene:ASTMH)第68回年次学術集会で発表されました。18ヵ月データのVEおよび安全性の解析結果は、以前論文として掲載された12ヵ月データの解析結果と概ね一貫性があるものでした。

フィリピン大学マニラ校の名誉教授であり、Lancetの TIDES試験論文の著者であるLulu C. Bravo医学博士は、「私は、デング熱がコミュニティや個人にもたらしうる影響と、それが医療制度に与える負担をじかに見ています。疾病の発症や重症化の軽減のみならず、入院率の低下にも寄与する安全で有効なワクチンが求められています。TAK-003の安全性および有効性を十分に評価するには長期データが必要ですが、今回論文として掲載された臨床第3相試験の結果は、TAK-003がデング熱予防において重要なオプションとなり得ることを示しています」と述べています。

TIDES試験は継続進行中であり、引き続きトータル4.5年間にわたり安全性および有効性を検討します。
当社は、TIDES試験の24ヵ月データの解析結果を今年中に発表する予定です。なお、TAK-003は現時点で世界中のいずれの国や地域においても製造販売承認を受けていません。

DEN-204試験には1,800例が組み入れられ、本試験の48ヵ月データの解析では、TAK-003は2歳から17歳までの小児・若年層において、ワクチン接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)に関わらず、4種すべてのデングウイルス血清型に対する抗体反応を誘発し、ワクチン接種後4年間持続することが示されました。本試験では、3つの異なる接種スケジュール(単回接種、1年間隔で2回接種、3ヵ月間隔で2回接種)、およびプラセボが評価されました。接種前の血清反応が陽性の被験者では、免疫応答の指標である幾何平均抗体価(GMTs)において、接種48ヵ月目までに異なる接種スケジュール間で明確な差は見られませんでした。接種前に血清反応が陰性の被験者では、単回接種の被験者においてGMTsが3ヵ月間隔で2回接種群または1年間隔で2回接種群のいずれと比較しても全般的に4種すべての血清型に対して低かったことから、進行中のTIDES試験で選択された接種スケジュール(3ヵ月間隔で2回接種)の妥当性がさらに裏付けられました。4年の試験期間を通じて重大な安全性の懸念は確認されず、TAK-003の長期安全性プロファイルへの知見が得られました。本試験ではVEは評価されませんでしたが、4年の試験期間中、ワクチン接種群ではプラセボ群と比較してVCDのリスクが有意に低いことが示されました(相対リスク:0.35、95%信頼区間:0.19-0.65)。以前発表したDEN-204試験の中間解析の結果では、接種後6ヵ月および18ヵ月の忍容性および安全性の評価とともに、免疫原性の持続性が示されました。

当社のVice PresidentでありDengue Global Program LeaderであるDerek Wallaceは、「世界中の家族やコミュニティがデング熱の脅威に晒されており、デングウイルス感染歴の有無に関わらず、すべての人々に対して安全なワクチンが依然として求められています。当社は、臨床第2相試験で示された長期安全性データおよび免疫原性プロファイル、ならびに臨床第3相試験で示されたデングウイルス感染歴に関係なく得られる感染予防効果およびデング熱による入院の予防効果に勇気づけられています。これらのデータは、TAK-003がデング熱との世界的な闘いに貢献できる可能性を示しています」と述べています。

<臨床第3相TIDES試験(DEN-301試験)について>
二重盲検、無作為化、プラセボ対照のグローバル臨床第3相試験であるTIDES試験は、小児・若年層被験者を対象とし、4種すべての血清型によって引き起こされる、ウイルス検査レベルで感染が確認されたあらゆる重症度の症候性デング熱の予防において、TAK-003を2回接種した際の安全性および有効性を評価しています。TIDES試験は、現時点では当社で最大の臨床試験であり、デング熱流行地域に居住する4歳から16歳の2万人以上の健常な小児・若年層被験者が組み入れられています。本試験の被験者は、試験開始1日目および90日目にTAK-003 0.5mLもしくはプラセボを皮下投与にて接種する群のいずれかに無作為に割り付けられました。本試験は3つのパートで構成されており、主要評価項目の解析(パート1)では初回接種後15ヵ月までのTAK-003の有効性および安全性を評価しました(接種2回目以後12ヵ月間追跡)。パート2では、さらに観察期間を6ヵ月間追加し、血清型、ワクチン接種前の血清反応および重症度による有効性の副次評価項目の評価を行います。パート3ではパート2完了後の被験者に対しさらにその後3年間の有効性と長期的な安全性を追跡評価します。

本試験はデング熱流行地域であるラテンアメリカ(ブラジル、コロンビア、パナマ、ドミニカ共和国およびニカラグア)およびアジア(フィリピン、タイおよびスリランカ)にて実施されており、これらの地域ではデング熱予防のアンメットニーズが高く、重症型デング出血熱は小児の重篤な疾患および死亡を引き起こす主たる要因となっています。ワクチン接種前の血液サンプルを本試験に参加するすべての被験者から採取しており、接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)別の安全性および有効性を評価することが可能です。当社および専門家で構成される独立データモニタリング委員会は積極的な安全性のモニタリングを継続して行っています。

<臨床第2相DEN-204試験について>
臨床第2試験であるDEN-204試験は、デング熱流行地域(ドミニカ共和国、パナマおよびフィリピン)に居住する1,794名の健康な被験者を対象に、TAK-003の単回または2回接種の安全性および免疫原性を評価する無作為化、二重盲検、プラセボ対照多施設共同試験であり、2019年に試験が終了しました。2歳から17歳の被験者は4つのグループのいずれかに無作為化され、中間解析が行われたワクチン接種後6ヵ月の時点では、2つのグループで単回接種、1つのグループで3ヵ月間隔で2回接種、1つのグループでプラセボが接種されました。本中間解析における主要評価項目は、試験実施計画書に適合した対象集団(PPS)における4種のデングウイルス血清型(DENV-1-4)に対する中和抗体の幾何平均抗体価(GMTs: geometric mean titers、免疫応答の指標)です。試験実施計画書からの重大な逸脱がなく、ワクチン接種前およびワクチン接種後1、3、6ヵ月時点での評価可能な血液データおよび免疫原性データを有する被験者グループをPPSとして定義しました。副次評価項目には、重篤な有害事象の発現、安全性集団(少なくともTAK-003またはプラセボを1回接種した被験者集団)におけるウイルス学的に確認されたデング熱感染、血清陽性率(抗体を発現した被験者の割合)および免疫原性部分集団における非自発的および自発的な有害事象の発現が含まれています。

<TAK-003について>
当社の4価デング熱ワクチン(TAK-003)は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の"バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースに構築されています。小児・若年被験者を対象とした臨床第1相試験および臨床第2相試験において、本ワクチン接種前の血清反応が陽性および陰性の被験者双方とも、TAK-003は4種すべての血清型に対して免疫応答を誘導し、一般的に安全で良好な忍容性を示しました。

<デング熱について>
デング熱は、最も急速に感染が拡大している蚊媒介感染症で、世界保健機関(WHO)は、2019年のグローバルヘルスに対する10の脅威の1つにデング熱を挙げています。デング熱は主にネッタイシマカ、および比較的低い割合でヒトスジシマカによって媒介され、4 種のウイルス血清型すべてがデング熱または重症型デング出血熱を引き起こす可能性があります。個別の血清型羅患率は地理、地域、国や季節によって異なり、また時間の経過とともに変化していきます。ある血清型のウイルスに感染した場合、その血清型に対する免疫は一生涯続きますが、後に異なる血清型のウイルスに感染した場合、重症化のリスクが高まります。

デング熱はパンデミックの可能性がある感染症で、熱帯または亜熱帯地域で流行し、近年では米国およびヨーロッパの一部でも流行しました。世界の人口の約半分がデング熱の脅威にさらされており、世界全体で約3.9億人が感染し、20,000人が毎年亡くなっています。デング熱はあらゆる年齢層の人々が感染する可能性があり、ラテンアメリカおよびアジアの子供達にとっては重篤な疾患を引き起こす主な要因となっています。

<当社のワクチンに対する取り組みについて>
ワクチンは、毎年200~300万人の生命を救い、世界の公衆衛生に劇的な変化をもたらしました。当社は、70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、ジカウイルス感染症、ノロウイルス感染症など、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。当社はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。詳細については、www.TakedaVaccines.comをご覧ください。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

以上