デング熱ワクチン(TAK-003)のグローバル臨床第3相試験の18ヵ月データを米国熱帯医学会(ASTMH)第68回年次学術集会にて発表

2019年11月25日

- グローバル臨床第3相試験から得られたTAK-003の主要な有効性に関する最新情報のほか、副次評価項目であるデングウイルスの血清型別、ワクチン接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)別および重症度別の有効性に関する解析結果を発表
- 18ヵ月の追跡期間における結果は、12ヵ月の解析で報告された有効性および安全性データへさらに6ヵ月の追跡データを追加したものであり、一貫性のあるワクチン有効率が示され、副次評価項目を全て満たしており、今後継続してトータル4.5年間にわたり有効性および安全性の評価を実施
- ASTMHにて、当社ワクチンパイプラインに関し、デング熱ワクチンおよびジカウイルスワクチンについてのオーラルプレゼンテーションを含む11の演題を発表

当社は、このたび、現在実施中のデング熱ワクチン(TAK-003)のグローバル臨床第3相試験であるTIDES試験(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)の最新結果を、米国熱帯医学会(American Society of Tropical Medicine and Hygiene:ASTMH)第68回年次学術集会にて発表しましたのでお知らせします。TAK-003の初回接種3ヵ月後に2回目を接種した後、18ヵ月の追跡期間で得られた今回のデータには、ワクチン有効率(VE)に関する最新情報と、デングウイルスの血清型別、ワクチン接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)別および重症度別の有効性に関する副次評価項目の解析結果が含まれています。TIDES試験では解析に十分な発症例数を収集し、全ての副次評価項目を満たしました。本パート2のVEおよび安全性に関する結果は、パート1の主要評価項目の解析で報告されたデータと一貫性のある結果を示しました[接種2回目以後18ヵ月間追跡におけるVE:73.3%(95%信頼区間:66.5%~78.8%),p<0.001、接種2回目以後12ヵ月間追跡における主要評価項目解析時のVE:80.2%(95%信頼区間:73.3%~85.3%)]。先日New England Journal of Medicine(NEJM)に掲載された、主要評価項目であるVEの解析結果では、デングウイルスの感染歴に関係なく、4歳から16歳の小児・若年層におけるウイルス学的に確認されたデング熱感染(VCD)に対する予防効果が示されています。

副次評価項目の解析では、デング熱による入院に対するVEは90.4%(95%信頼区間:82.6%~94.7%,p<0.001)であり、デング出血熱に対する有効性は85.9%(95%信頼区間:31.9%~97.1%)でした。重症VCDに対する有効性は発症例数が少なかったため判定不能でした(VE:2.3%、95%信頼区間:-977.5%~91.1%)。デングウイルスの感染歴がある被験者とない被験者におけるVEは同様の成績でした[それぞれ76.1%(95%信頼区間:68.5%~81.9%)、66.2%(95%信頼区間:49.1%~77.5%)]。VEはデングウイルスの血清型によって異なっており、デング1型ウイルスでは69.8%(95%信頼区間:54.8%~79.9%)、デング2型ウイルスでは95.1%(95%信頼区間:89.9%~97.6%)、デング3型ウイルスでは48.9%(95%信頼区間:27.2%~64.1%)でした。デング4型ウイルスについては、現時点で有効性を適切に評価するには本型による発症例数が不十分でした(VE:51.0%、95%信頼区間:-69.4%~85.8%)。引き続き、試験期間を通じて有効性の評価を行います。

VCDにおける探索的エンドポイントの解析では、ワクチン接種前の血清反応が陽性(感染歴有)の被験者および陰性(感染歴無)の被験者で同程度の有効性が示されており、デング1型ウイルスに対するVEはそれぞれ72.0%(95%信頼区間:52.2%~83.6%)、67.8%(95%信頼区間:40.3%~82.6%)、デング2型ウイルスに対するVEはそれぞれ93.7%(95%信頼区間:86.1%~97.1%)、98.1%(95%信頼区間:85.8%~99.7%)でした。デング3型ウイルスについては、ワクチン接種前の血清反応が陽性の被験者におけるVEは61.8%(95%信頼区間:43.0%~74.4%)、陰性の被験者におけるVEは-68.2%(95%信頼区間: -318.9%~32.4%)でした。ワクチン接種前の血清反応が陰性の被験者におけるデング3型ウイルスに対するVEについては、統計学的に結論付けることはできないものの、有効性がみられない可能性が示唆されました。デング4型ウイルスに対する有効性は、発症例数が少数であったため評価不能でした。3型および4型に対するTAK-003の有効性は、計画されている追跡調査にてさらに検討を進めます。

主要評価項目の解析結果と同様、TAK-003の忍容性は全般的に良好であり、現時点で重大な安全性の懸念は報告されていません。

当社Dengue Clinical DevelopmentのMedical Directorで、ASTMHでTIDESのデータを発表したShibadas Biswal医師は、「ASTMHで発表した追跡期間18ヵ月のデータは、TAK-003の有効性と安全性に対する知見を深めるものです。また、本結果は大変喜ばしいものであり、特に12ヵ月追跡時の成績やワクチン接種前の血清反応が陰性の被験者における有効性と一貫した結果が得られたことは大変意義深いものといえます。TAK-003について、特にワクチン接種前の血清反応が陰性のデング3型ウイルスに対する有効性・安全性のプロファイルを完全に理解するにはさらなるデータが必要となりますが、TAK-003がデングウイルス感染歴を有さない人々への感染や入院を予防できる可能性が確認できました」と述べています。

TIDES試験は継続実施中であり、引き続きトータル4.5年間にわたり安全性および有効性を検討します。現時点で、TAK-003は世界中のいずれの国や地域においても製造販売承認を受けていません。

ASTMHにおいて、当社は2件のオーラルプレゼンテーション、9件のポスタープレゼンテーションを行いました。その発表の中には、当社が開発中のジカウイルスワクチンの臨床第1相試験(ZIK-101試験)の成績も含まれています。ZIK-101試験は、18歳から49歳までの240人の男性および女性被験者を対象に、ジカウイルスワクチンの安全性と免疫原性を評価する、無作為化、プラセボ対照二重盲検臨床第1相試験で、本ワクチンの開発を進めるに必要な複数の投与量での評価を含んでおります。当社は、米国保健福祉省の事前準備対応次官補局(Assistant Secretary for Preparedness and Response:ASPR)の一部門である生物医学先端研究開発局(Biomedical Advanced Research and Development Authority:BARDA)の支援のもと、本ジカウイルスワクチンの開発を実施しています。

<グローバル臨床第3相TIDES試験(DEN-301試験)について>
二重盲検、無作為化、プラセボ対照のグローバル臨床第3相TIDES試験は、小児・若年層被験者を対象とし、4種すべての血清型によって引き起こされる、ウイルス検査レベルで感染が確認されたあらゆる重症度の症候性デング熱の予防において、TAK-003を2回接種した際の安全性および有効性を評価しています。本試験の被験者は、試験開始1日目および90日目にTAK-003 0.5mLもしくはプラセボを皮下投与にて接種する群のいずれかに無作為に割り付けられました。本試験は3つのパートで構成されており、主要評価項目の解析(パート1)では初回接種後15ヵ月までのTAK-003の有効性および安全性を評価しました(接種2回目以後12ヵ月間追跡)。パート2では、更に観察期間を6ヵ月間追加し、血清型、ワクチン接種前の血清状態および重症度による有効性の副次評価項目の評価を行います。パート3ではパート2完了後の被験者に対しさらにその後3年間の有効性と長期的な安全性を追跡評価します。

本試験はデング熱流行地域であるラテンアメリカ(ブラジル、コロンビア、パナマ、ドミニカ共和国およびニカラグア)およびアジア(フィリピン、タイおよびスリランカ)にて実施されており、これらの地域ではデング熱予防のアンメットニーズが高く、重症型デング出血熱は小児の重篤な疾患および死亡を引き起こす主たる要因となっています。ワクチン接種前の血液サンプルを本試験に参加するすべての被験者から採取しており、接種前の血清抗体価(デングウイルス感染歴の有無)別の安全性および有効性を評価することが可能です。当社および専門家で構成される独立データモニタリング委員会は積極的な安全性のモニタリングを継続して行っています。

<TAK-003について>
当社の4価デング熱ワクチン(TAK-003)は、4種のワクチンウイルス型すべての遺伝子型の"バックボーン”として弱毒化された生の2型デングウイルスをベースに構築されています。小児・若年被験者を対象とした臨床第1相試験および臨床第2相試験において、本ワクチン接種前の血清反応が陽性および陰性の被験者双方とも、TAK-003は4種すべての血清型に対して免疫応答を誘導し、一般的に安全で良好な忍容性を示しました。

<デング熱について>
デング熱は、最も急速に感染が拡大している蚊媒介感染症で、世界保健機関(WHO)は、2019年のグローバルヘルスに対する10の脅威の1つにデング熱を挙げています。デング熱は主にネッタイシマカ、および比較的低い割合でヒトスジシマカによって媒介され、4種のウイルス血清型すべてがデング熱または重症型デング出血熱を引き起こす可能性があります。個別の血清型羅患率は地理、地域、国や季節によって異なり、また時間の経過とともに変化していきます。ある血清型のウイルスに感染した場合、その血清型に対する免疫は一生涯続きますが、後に異なる血清型のウイルスに感染した場合、重症化のリスクが高まります。

デング熱はパンデミックの可能性がある感染症で、熱帯または亜熱帯地域で流行し、近年では米国およびヨーロッパの一部でも流行しました。世界の人口の約半分がデング熱の脅威にさらされており、世界全体で約3.9億人が感染し、20,000人が毎年亡くなっています。デング熱はあらゆる年齢層の人々が感染する可能性があり、ラテンアメリカおよびアジアの子供達にとっては重篤な疾患を引き起こす主な要因となっています。

<当社のワクチンに対する取り組みについて>
ワクチンは、毎年200~300万人の生命を救い、世界の公衆衛生に劇的な変化をもたらしました。当社は、70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、ジカウイルス感染症、ノロウイルス感染症など、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。当社はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。詳細については、www.TakedaVaccines.comをご覧ください。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

以上