Takeda logo

患者さんを第一に、危機に対応した3つのストーリー | 武田薬品

Banner Image

患者さんを第一に、危機に対応した3つのストーリー

Calendar
July 20, 2023

Andreas Gutknechtの電話はいつまでも鳴り続けていました。

2022年10月下旬、タケダ・インドネシアのジェネラルマネジャーAndreas Gutknechtは、仕事でタイに出張中に、インドネシアで緊急事態が拡大していると連絡を受けました。ある市販薬を飲んだ数百人の小児が、急性腎不全の症状で苦しんでいるというのです。小児の発熱に広く使われているシロップ剤に、基準値から外れた製品が紛れ込んだことで、この緊急事態が発生したのではないかと考えられました。300人近い小児が入院し、157人が亡くなりました1。タケダはこの市販薬の製造に関係していなかったものの、インドネシア保健省が必要としていた治療薬を持っていました。

インドネシア保健省はこの治療薬として、タケダが日本国内でライセンス販売している医薬品を入手したい意向を示しました。同省は、シンガポールとオーストラリアから同剤のバイアルを少量調達しましたが、この危機に対応するためにはより多くの薬剤が必要でした。そこでタケダは、残りの必要量を補うために、同省を支援することを決めました。

72時間以内に提供するため、タケダ・インドネシア、インドネシア保健省、ジャカルタの日本大使館、タケダの東京本社とシンガポールオフィスが連携しました。タケダが同省に寄付した200本のバイアルが、インドネシアの病院で使用され、同省は危機に対応することができました2

「タケダが必要とされる薬剤を寄付し、それが無事にインドネシアに到着したことはニュースで報道されました。私たちの行動が大きな力となり、多くの命が救われました」と、Gutknechtは述べています。

インドネシアのブディ・グナディ・サディキン保健相も次のように語っています。

「人道の精神に基づき、インドネシアの子どもたちを救うために、この医薬品は届けられました。3

これまでにない挑戦


どのような医薬品でも、工場から患者さんにお届けするまでには長い道のりがあります。国境、海、時差を越えての流通であればなおさらです。災害発生時などの危機的状況下ともなれば、破壊されたインフラに対応しつつ迅速な輸送を求められるなど、さらに多くの問題を解決しなければなりません。

2022年のウクライナ危機では、これまでにない挑戦を迫られたと、Global TransportationのヘッドであるFrançois Leclercqは言います。

「私たちは、派遣されてくる非政府組織や人道支援部隊を妨げないよう、一部の配送を停止し、ルートを変更し、通常とは異なる場所で在庫を保管しなければなりませんでした。しかしそんな中でも、患者さんへの製品供給が途絶えることがないよう、適切な製品を適切な場所へお届けする準備を整えることができました」と、Leclercqは語ります。

危機管理チームが「適切な場所」として選んだのは、ポーランドの国境を超えてすぐのところにあるタケダの地域物流センターでした。Leclercqによると、この場所は戦闘地域から離れており、ここであれば肺がんや潰瘍性大腸炎の医薬品などを迅速に輸送できると言います。

危機管理チームには、ウクライナおよびロシア両国のタケダ従業員が参加し、世界中の部門が支援にあたりました。

「私たちにとって、ロシアとウクライナの間で起こっていることは関係がなく、患者さんにとって何が最善かのみを話し合いました。患者さんを第一に考えるタケダの企業理念を実践していました」とLeclercqは語ります。

従業員を含め被災者支援に貢献


自然災害下では、計画的な危機対応が難しいこともあります。

2023年2月6日未明にトルコ南東部を襲った地震は、この地域のインフラに大きな打撃を与えました。建物は倒壊し、道路は通行不能となり、インターネットサービスは停止、携帯電話もごく一部の地域を除いて不通となりました。

こうした状況にもかかわらず、タケダの人事部門は、被災地に住む14人の従業員全員と連絡をとり、本人や家族の無事を確認しました。

「タケダは常に『人』を中心に物事を考えています。従業員に対しても同様で、さまざまな側面から迅速に私たちを支援してくれました。心のケアや支援物資の提供など、あらゆる方法で支援を継続しており、とても感謝しています」と、Immunology Sales AccountのリーダーであるYasemin Kaysiliは語りました。

復旧作業が始まると、タケダ・トルコは、アルブミン(血漿中の重要なタンパク質)1,100単位をトルコ保健省に寄付するとともに、倉庫の在庫医薬品を約20日分から40日分に増やしました。

「あの子どもたちを救った会社」


従業員の迅速な行動と連携により、インドネシアの危機緩和を支援し、ウクライナとロシアにおいて医薬品を継続的に供給する体制を整え、トルコの被災地支援に貢献することができました。Gutknechtは、3歳の息子の寝顔を見ながら、自分の仕事によって子どもたちを救うことができたのだということを実感していました。

「もし、私の息子が今回と同じ状況に置かれたら、自分はどのように対応できただろうかと想像することしかできません。息子にとっても、私にとっても、非常に過酷な状況だったでしょう」と、Gutknechtは語ります。

「『あの子どもたちを救った会社』として、タケダはインドネシアでも広く知られるようになりました。タケダは大きな信頼と社会的評価を得たと感じています。私は、今回の危機に巻き込まれたすべての家族のために少しでも貢献できたことを嬉しく思っており、タケダで働けることを誇りに思っています。」