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ヘルスケアにおける、ドローン、ロボット、アプリの活用 | 武田薬品

Robot crossing the street

ドローン、配送ロボット、デジタルアプリで、日本の患者さんに輝かしい未来を

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May 22, 2023

患者さんを中心とした革新的な医療体制構築に向けた挑戦。

まず、想像してみてください。慢性疾患を患い、症状をコントロールするために毎日医薬品を服用しなければならない患者さんの姿を。もしその患者さんが離島に住み、一番近い病院や薬局へ行くには船で40分もかかる日常がどんなものかを。

実際に多くの人がこうした状況にあるのが、11 もの有人島をかかえる長崎県五島市です。タケダのジャパン ファーマ ビジネス ユニット(JPBU)では、患者さんが疾患を理由に島を離れず、安心して生活できるような環境をつくることを目指しています。その取組みの一つとして、タケダはパートナーシップを通じて、ドローンを使って五島の人々に医薬品をお届けするという実証実験を実施しました。この実証実験では、ドローンにより医薬品が無事に医療関係者のもとに届けられ、医療関係者から患者さんに手渡されました。日本にはまだまだ他にも医薬品を入手しづらい地域があります。チームは現在、そうした他の地域でもこの実証実験を実施しようとしています。

「日本には、都市部もあれば人里離れた過疎地域もあります。私たちは各地域が持つ具体的な医療問題に注目し、ドローンや自動配送ロボットなどを通じてどのようにその問題を解決できるかを考えています」とJPBU 流通・地域アクセス統括部の平埜雄大は語ります。

「このようなイノベーションを生み出す力が今までのタケダを支え、そして、今後のタケダの発展の中核となります」とJPBUプレジデントの古田未来乃は述べています。 「私たちは優れた医薬品を患者さんにお届けすると共に、社会にも価値をもたらしたい。診断・治療、そして患者さんの生活の質の向上を含めて、包括的に患者さんに貢献したいと考えています。」

team posing with robot

使用済み医療廃棄物の回収に活用した配送ロボットとタケダのチーム

配送ロボットを活用した使用済み医療廃棄物の回収


患者さんの生活の質の向上に取り組んだ一例として、タケダは配送ロボットを使った実証実験*1を行いました。これは、自宅で自己注射による治療を行う血友病患者さんに配送ロボットを通じて医薬品を配送し、さらに、直接医療廃棄物を回収する取り組みです。血友病患者さんにとっては、病院や薬局に足を運ぶには時間も負担もかかり、特に使用済み医療廃棄物の取り扱いには感染のリスクが伴うことに着目し、発足したプロジェクトです。

「私たちは、タケダの重点疾患領域の一つである希少疾患の患者さんが抱える課題を、革新的なソリューションで解決したいと考えています。その一例として、血友病の患者さんはさまざまな負担を抱えています」とJPBU 希少疾患事業部の柿沼瑞希は言います。

1 年をかけて準備したこの実証実験には、東京都の協力も得て、川崎重工業株式会社を中心に実施することができました。この実証実験では、患者さんの自宅に見立てたホテルにロボットが向かい、そこで使用済みの医療廃棄物(今回の実証実験ではデモンストレーションとして実施)を患者さんから回収するという形で実施されました。

この実験に参加した患者さんは、「いままで病院に自ら持っていく必要があった医療廃棄物を自宅で回収してもらえるようになれば、廃棄方法の幅が広がる」と話してくれました。柿沼は、配送ロボットを用いることで様々な疾患領域やユースケースに応用できる大きな可能性があると期待しています。

パーキンソン病の患者さんへのデジタルモニタリングというソリューション


包括的な患者さんへの支援の一例としては、パーキンソン病患者さんの日常に着目しました。パーキンソン病には振戦(手などが震えること)などの症状がありますが、症状のレベルは 1 日のなかでも大きく異なり、症状を言葉で表現しきれないこともあります。継続的にモニタリングを実施することで、医師は効果的な治療計画を立てやすくなりますが、実際に診療に用いるモニタリング機器は相当な重量であり、患者さんが 24 時間毎日着用することが難しいのが現状です。

そこでタケダの事業部門とメディカル部門を中心としたプロジェクトチームが立ち上がり、パーキンソン病患者さんへの負担を軽減できるソリューションを模索することにしました。タケダは神奈川県と連携して、オンライン診療、オンライン服薬指導、そして医薬品の配送まで一気通貫で実施できる新たなコンセプトを考え、「Care for One Project」として実証研究を行うこととしました。その中の一つでは、ウェアラブルデバイスの運動障害を感知する機能を活用し、パーキンソン病の症状を測定しています。患者さんはこのウェアラブルデバイスのアプリケーションに医療情報を追加で入力し、総合的なデータにしてデバイスから情報を送信できます。そのデータはアプリケーションから医師のパソコンに直接送信されます。

デバイスの精度は医療機器ほどではありませんが、アプリケーションで測定されたデータで、医師はパーキンソン患者さんの症状の傾向を把握することができます。「Care for One Project」は、パーキンソン病患者さんと医師、両者がその症状をアプリケーションでグラフ化して確認できる、日本で初めての取り組みです。日本では 、このアプリケーションを動かすデバイス(iPhone)の普及率が高いため、導入も難しくないのでは、と見込んでいます。

「「Care for One Project」はパーキンソン患者さんの症状モニタリングの課題解決を目指したため、多くの患者さんがこの研究への参加を希望され、予定よりも早く参加者が集まりました」とエンタープライズ・デジタル ジャパン ヘッドの大塚勝は述べています。実証研究終了後、プロジェクトチームはこの研究結果に関する論文を数多く発表しています。そのなかには、医療分野の技術変革に関する世界経済フォーラムとの共著である報告書「Health care and the Fourth Industrial RevolutionGo to https://jp.weforum.org/agenda/2021/09/dejitaru-deyori-naherusukeano-wo/」もあります。

ドローンによる医薬品輸送、ロボットによる使用済み医療廃棄物の回収、「Care for One Project」といったプロジェクトはすべて、日本でタケダが患者さんを中心とした医療ソリューションを模索するためのものです。「私たちは常に患者さんのことを考え、患者さんのニーズを理解することに努めています」と大塚は語ります。「患者さんを中心に解決策を考えていくことは、私たちにとって重要なことなのです。」

また、古田はこう述べています。「このような取り組みを実施することによって、タケダのイノベーションや他社との協働の機会が増えることを期待しています。興味深く、クリエイティブなアイデアを持つあらゆるステークホルダーにタケダに興味を持ってもらい、一緒にイノベーションを起こしていきたいと考えています。」


  1. 実証実験は2023年1月31日に実施し、現在、本運用は行っておりません。
  2. 所属は実証実験当時のものです。