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経口オレキシン2受容体作動薬がナルコレプシータイプ1において プラセボと比較して、統計学的に優位かつ臨床的に意義ある改善を示す TAK-861の臨床第2b相試験データのSLEEP 2024での発表について

経口オレキシン2受容体作動薬がナルコレプシータイプ1において プラセボと比較して、統計学的に優位かつ臨床的に意義ある改善を示す TAK-861の臨床第2b相試験データのSLEEP 2024での発表について


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June 3, 2024
  • 臨床第2b相試験では、主要評価項目と副次評価項目において最長8週間にわたり統計学的に有意かつ臨床的に意義ある改善を示した

  • TAK-861は、ナルコレプシータイプ1の原因となる病態生理に働きかけることができる可能性を持つ最初の経口オレキシン2受容体作動薬

  • TAK-861の安全性と忍容性は概ね良好

  • TAK-861の国際共同臨床第3相試験は、2024年度上期に開始予定

当社は、本日、米国睡眠学会および睡眠研究学会の第38回年次総会であるSLEEP2024(「本発表」)において、ナルコレプシータイプ1 (NT1)を対象としたTAK-861の臨床第2b相試験の良好な結果を発表しますのでお知らせします。TAK-861は、現在開発中の経口オレキシン2受容体(OX2R)作動薬であり、本試験の結果から、NT1患者さんが抱える疾患による負担を包括的に軽減する画期的な効果をもたらす可能性が示されました。NT1患者さん112名を対象とした無作為化、二重盲検、プラセボ対照、反復投与試験であるTAK-861-2001試験(NCT05687903)で、主要評価項目と副次評価項目において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善が示され、有効性は8週間の投与期間にわたり持続しました*。

NT1は慢性的で希少な神経疾患の一種で、オレキシンニューロンが著しく減少し、神経ペプチドであるオレキシンの脳内濃度や脳脊髄液内濃度が低下するため、過度の眠気が生じる疾患です。これまでに、NT1の背景にある病態生理を標的とする治療薬として承認された医薬品はありません。NT1の患者さんは、日中の過度の眠気(excessive daytime sleepiness, EDS)、情動脱力発作(カタプレキシー)、夜間の睡眠分断、入眠時や睡眠覚醒時の幻覚や、睡眠麻痺の症状に苦しみます。これらの深刻な影響を伴う症状は生活の質(QOL)を著しく低下させ、仕事、学業や人間関係に深刻な影響を及ぼします。TAK-861は、OX2Rを選択的に刺激することで、NT1で見られるオレキシン欠乏状態を補うよう設計された薬剤です。

本発表では、以下の臨床第2b相試験の結果を紹介します。

  • 主要評価項目の覚醒維持検査(MWT)では、プラセボと比較して本試験で評価したTAK-861の全ての用量で統計学的に有意かつ臨床的に意味のある睡眠潜時の延長が認められました(プラセボとのLS平均差はすべてp≤0.001)。改善は8週間にわたって持続しました。

  • エプワース眠気尺度(ESS)および1週間あたりのカタプレキシー発現率(WCR)を含む主な副次評価項目でも一貫した結果が得られ、眠気およびカタプレキシー(筋緊張の突然の消失)の頻度に関する主観的評価項目がプラセボと比較して顕著に改善し、その改善は8週間にわたって持続しました。

  • これらの持続的な改善の結果として、本試験のNT1患者さんの大部分は、8週間の投与期間終了時までにMWTおよびESSが正常範囲内に収まりました。

  • 本試験を完了した被験者の大部分は長期継続投与(LTE)試験に登録され、一部の患者さんは投与期間が1年に達しました。

  • 本試験で評価した探索的評価項目においても、大部分の被験者でナルコレプシーの症状および日常生活の機能に意味のある改善が認められました。これらのデータは、本発表および今後の医学学会等でのポスターセッションで発表する予定です。

  • TAK-861の安全性および忍容性は概ね良好であり、治験薬と関連のある重篤な有害事象または有害事象による投与中止はありませんでした。

  • 臨床第2b相試験および現在実施中のLTEにおいて、肝毒性や視覚障害の事例は認められていません。主な有害事象は不眠症、尿意切迫、頻尿および唾液分泌過多でした。大部分の有害事象の重症度は軽度から中等度であり、そのほとんどが投与後1~2日以内に発現し、一過性でした。

当社のニューロサイエンス領域ユニットヘッド兼グローバルデベロップメントヘッドであるSarah Sheikh, MD M.Sc., B.M., B.Ch, MRCPは、「本試験において、TAK-861は、有効性と安全性のバランスがとれており、NT1患者さんの新たな標準治療となる可能性があります。私たちは、オレキシンの生理作用がもつあらゆる可能性を研究し、TAK-861を後期臨床開発へと進め、患者さんに意義ある変化をもたらす力をもつファースト・イン・クラス治療薬をお届けすることを目標として努力してまいります」と述べています。

当社は本試験の結果に基づき、世界各国の医薬品規制当局との協議に基づき、NT1を対象とするTAK-861の国際共同臨床第3相試験を2024年度上期に開始する予定です。米国食品医薬品局(FDA)は、臨床第2b相試験のデータに基づき、TAK-861をNT1患者さんのEDS治療薬としてブレークスルーセラピーに指定しました。ブレークスルーセラピー指定は、重篤または生命が脅かされる疾患の治療を目的とした医薬品であり、かつ臨床的に重要な少なくとも1つ以上のエンドポイントにおいて既存の治療法より大幅な改善を示唆する予備的な臨床成績が提示された医薬品に対して、開発および審査を促進するために構築された制度です。

当社は6月4日(火)午前9時30分(日本標準時間)より、投資家とアナリスト向けのコールを開催し、本試験の結果について説明します。本試験の結果に関するスライドとバーチャル・ミーティングへのリンクは、こちらよりご覧ください。

上記に加え、6月4日午前10時00分~11時45分(米国中部時間)に開催される本発表のポスターセッションでも、NT1患者さんにおける機能およびQOL関連の改善状況、ならびにTAK-861に対する患者さんの満足度の評価結果について発表する予定です。

2024年5月9日に公表した当社の2025年3月期(2024年度)の業績予想に修正はありません。

オレキシンフランチャイズについて

当社は、オレキシンの可能性を最大限に発揮することを目標に掲げ、複数の新薬候補からなるフランチャイズを構築してオレキシン領域の開発を進めています。オレキシンは、睡眠・覚醒サイクルを調節する重要な伝達物質であり、呼吸や代謝などの重要な生体機能にも関与しています。TAK-861は、オレキシンフランチャイズの開発の先頭を進むプログラムです。当社は現在、オレキシン神経ペプチドの濃度が正常な患者集団や、オレキシンの生理作用が影響を及ぼす疾患を対象として、複数のオレキシン受容体作動薬の開発を進めています。ナルコレプシータイプ2と特発性過眠症の治療薬として臨床第1相試験を開始し、米国FDAよりファストトラック(優先審査)指定を取得し開発中の経口OX2R作動薬であるTAK-360や、全身麻酔下にある重度の閉塞性睡眠時無呼吸の患者さんを対象に臨床第2相試験を実施中の静注用OX2R作動薬であるdanavorexton(TAK-925)などが含まれます。

* トップライン結果については、2024年2月8日付けのプレスリリース「経口オレキシン受容体作動薬TAK-861のナルコレプシータイプ1を対象とした国際共同臨床第3相試験の2024年度上期の速やかな開始予定について」にて発表しています。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502/NYSE: TAK)は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー(がん)、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義(パーパス)を果たすため、約80の国と地域で活動しています。詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

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本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」、「予測する(forecasts)」、「見通し(outlook)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機、温室効果ガス排出量の削減又はその他環境目標の達成を可能にする武田薬品の環境・サステナビリティに対する取り組みの成功、人工知能(AI)を含むデジタル技術の統合をはじめとする、業務効率化、生産性向上又はコスト削減に向けた武田薬品の取り組みや、その他の事業再編に向けた取り組みが、期待されるベネフィットに寄与する程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.govGo to www.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

医療情報

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