武田薬品とニューヨーク科学アカデミーによる "2024 Innovators in Science Award" の受賞者発表について

• 2024年のアワードは、腫瘍免疫学における優れた研究が受賞

• 受賞者は、免疫系とがんとの新たな関係性を発見

• 受賞者には、使途制限のない賞金20万ドルを授与

武田薬品工業株式会社（本社：大阪市中央区、以下「武田薬品」）とニューヨーク科学アカデミー（The New York Academy of Sciences、本部：米国ニューヨーク州ニューヨーク、以下「NYAS」）は、学術賞 “2024 Innovators in Science Award”（以下「本アワード」）の受賞者を発表しましたのでお知らせします。今回は、腫瘍免疫学において大きな前進をもたらした革新的で優れた研究に対して本アワードが贈られます。受賞者にはそれぞれ使途制限のない賞金20万米ドルが授与されます。

2024年のSenior Scientist Awardは、セントルイス・ワシントン大学のBurskyヒト免疫・免疫療法センターのディレクターで、Andrew M. and Jane M. Bursky病理学・免疫学特別教授のRobert D. Schreiber博士に贈られます。Schreiber博士は、腫瘍免疫学およびサイトカイン生物学の分野における世界的権威です。彼の初期の研究は、がんに対する免疫応答においてサイトカインが果たす役割を明らかにするうえで重要な基盤となりました。Schreiber博士は、「がん免疫編集」の概念を提唱し、免疫系ががんを誘発、促進、予防するメカニズムを明示しました。また、博士は、がん免疫療法を妨害する免疫細胞の新たなサブセットを同定しました。

Schreiber博士は、「免疫系とがんの関係を研究しはじめたのは40年以上前です。私が今まで研究を続けてこられたのは、70名を超える同僚、技術者や研修生のおかげです。小さな発見や失敗を重ねて研究を続け、ようやく、がんの研究や治療に変革をもたらすことができました。たとえ結果が出るまでに数十年がかかったとしても、科学の研究はやりがいがあります。今回の受賞は、私たちの長年の努力が評価された、たいへん意義のあるものです」と述べています。

2024年のEarly-Career Scientist Awardは、コロンビア大学の生体医工学の助教授で、Herbert and Florence Irving腫瘍データ研究の助教授であるElham Azizi博士に贈られます。Azizi博士は、腫瘍微小環境における免疫機構の特性を把握するため、人工知能と機械学習を活用した一連の計算ツールとモデルを開発したことで知られています。博士の革新的な機械学習アルゴリズムは、ゲノム・データおよび画像技術に適用され、がん治療の改善や個別化医療の進展につながっています。Azizi博士の研究は、抗腫瘍反応に関わる免疫因子の同定や、腫瘍の進展を促進したり免疫療法への応答が生じたりする際の免疫状態を解明するために役立ちます。博士の革新的なモデルにより、初めて、白血病に対する免疫療法への反応における決定因子が同定されました。

Azizi博士は、「今回の受賞は、統計的機械学習の革新を通じて、腫瘍免疫学の新境地を目指す私たちの取り組みが、高く評価されたものと考えています。Innovators in Science Award は、私やチームのみならず、腫瘍免疫学における新たなソリューションの創出のために様々な分野にわたって研究を続けるコミュニティを、大いに鼓舞するものです。今回の受賞は、患者さんを救うというミッションを掲げる私とチームにとって、今後ますます新しいコラボレーションを模索し、高いリスクを伴う野心的な活動に挑戦する機会を与えてくれるでしょう」と述べています。

武田薬品のリサーチ&デベロップメントのプレジデントであるアンドリュー・プランプは、「Schreiber博士とAzizi博士の、がんと免疫療法の双方に対する免疫応答の理解を深められる画期的な研究に感銘を受けました。免疫療法によるがん治療は、両博士をはじめとする研究者の活躍により、目覚ましい進歩を遂げています。武田薬品は、絶え間ない科学研究を通じて、人々の生活や人生の向上を目指すという私たちの目標を共有する研究者を称えるため、 Innovators in Science Awardを支援しています」と述べています。

NYASのプレジデント兼 CEOであるNicholas Dirks博士は、「がんは世界第2位の死因です。私たちは武田薬品とともに、人体のもつ免疫系の力を結集させ、がんとの戦いに挑む研究の最前線に立つ研究者らを応援できることを誇りに思います。2024 Innovators in Science Award の受賞者は、人工知能、計算ツールや革新的な方法を用いてがんと戦い、がん免疫療法領域の進歩をもたらしています。受賞者にお祝いを申しあげるとともに、今後のさらなる発見に期待しています」と述べています。

2024年の受賞者は、2024年4月にボストンで開催される Innovators in Science Award授賞式およびシンポジウムで表彰される予定です。本イベントに関する詳細は、TakedaInnovators.comをご覧ください。

Innovators in Science Awardについて

2016年に設立された “Innovators in Science Award” では、毎回2件の研究が表彰され、1件はEarly-Career Scientist、もう1件は一流のSenior Scientistを対象に、その際立った独創性や研究のインパクトを讃えます。また、受賞者にはそれぞれ使途制限のない20万米ドルが与えられます。本アワードの対象は、優れた科学上の実績を有する世界中の大学、学術機関、政府、非営利機関およびこれらと同等の機関からのノミネートに限られ、対象領域における最も有望なEarly-Career Scientistおよび最も卓越したSenior Scientistから受賞者が選ばれます。対象領域は年によって異なり、2024年は腫瘍免疫学が対象とされました。最終選考対象者および受賞者は、NYASが本アワードから独立して選任した専門家で構成される選考委員会によって選出されます。NYASが武田薬品と連携して本アワードを運営しています。詳細については、TakedaInnovators.comをご覧ください。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社（TSE: 4502/NYSE: TAK）は、世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献することを目指しています。消化器系・炎症性疾患、希少疾患、血漿分画製剤、オンコロジー（がん）、ニューロサイエンス（神経精神疾患）、ワクチンといった主要な疾患領域および事業分野において、革新的な医薬品の創出に向けて取り組んでいます。パートナーとともに、強固かつ多様なパイプラインを構築することで新たな治療選択肢をお届けし、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。武田薬品は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー（価値観）を根幹とする、研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。2世紀以上にわたり形作られてきた価値観に基づき、社会における存在意義（パーパス）を果たすため、約80の国と地域で活動しています。 詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

The New York Academy of Sciencesについて

The New York Academy of Sciencesは、1817年以来、社会のために科学の発展を支えてきた独立非営利組織です。本アカデミーは100カ国に2万人以上の会員を有し、科学技術に関する知識向上をはかり、科学に基づくソリューションで世界的な課題に取り組み、科学・技術・工学・数学（STEM）ならびにSTEM関連領域のあらゆるレベルで幅広い教育プログラムを支援しています。本アカデミーは、生命・物理科学、社会科学、栄養学、人工知能、コンピューターサイエンスや持続可能性に関するプログラムや出版物をお届けしています。また本アカデミーは、キャリアの様々な段階にいる研究者に向けて、専門的なリソースや教育リソースを提供しています。