Takeda logo

QDENGA®▼(4価弱毒生デング熱ワクチン)の欧州連合における承認取得について

QDENGA®▼(4価弱毒生デング熱ワクチン)の欧州連合における承認取得について


Calendar
2022年12月8日

- 欧州委員会(EC)による、4歳以上を接種対象としたQDENGA(TAK-003)の承認
- QDENGAは、ワクチン接種前検査が不要な、EUで承認された唯一のデング熱ワクチン

当社は、当社のデング熱ワクチンQDENGA®(4価弱毒生デング熱ワクチン)(開発コード:TAK-003、以下「QDENGA」)が、欧州委員会(EC)により、欧州連合(EU)での4種すべてのデングウイルス血清型により引き起こされるデング熱の予防を目的として、4歳以上を接種対象者として承認されましたのでお知らせします1。QDENGAは当局の推奨に従って使用することが必要です。本承認は、2022年10月に欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品評価委員会(CHMP)から肯定的な見解があったことを受けています。詳細は、2022年10月14日付「欧州医薬品評価委員会による当社のデング熱ワクチン(TAK-003)に対し欧州連合およびデング熱流行国における承認推奨に関する肯定的見解の受領について」をご参照ください。

当社グローバル ワクチン ビジネス ユニットのプレジデントであるGary Dubinは、「人々の移動が容易になっている現代において、世界ははるかに小さくなり、デング熱流行地域に住んでいる人々やその地域に旅行する人々にとって、デング熱のリスクが高まっています。欧州委員会の承認は、QDENGAにとって重要な転換点であり、デング熱の世界的な負荷を減らす私たちの願いの達成に一歩近づくことを示しています。私たちは、EUの多くの地域にQDENGAをお届けすることを光栄に思います。EU内に居住し世界中の流行地域に旅行する人々へのデング熱予防のための新たなツールとして医療従事者に提供することができます」と述べています。

デング熱の世界的な発生率は過去20年間で8倍上昇しており、気候変動と都市化により上昇し続けています 2。現在、125を超える国々で世界人口の約半数が感染の危険にさらされており、熱帯地域に位置する欧州の海外領域のほとんども流行地域に含まれています2, 3。これらの要因により、フランス、イタリア、ドイツ、スペインなどのヨーロッパ大陸の非流行地域での局地的な流行が発生しています4。デング熱は流行国から欧州に帰国する旅行者の発熱の主たる原因であり、欧州の旅行者におけるデング熱の発生率は一般に過小評価される傾向にあります5, 6。毎年休日に流行地域に住む友人や家族を訪問する欧州からの2600万人を超える人々が、デング熱の脅威にさらされています7

ドイツのBerlin Centre for Travel and Tropical MedicineのメディカルディレクターおよびCRM Centrum für Reisemedizin Dusseldorfのサイエンティフィックディレクターを務めるTomas Jelinek博士は「効果的なデング熱予防には多面的アプローチが必要であり、従来の方法ではさまざまな理由から不十分でした。近年、複数の欧州諸国で確認されたデング熱による局地的な流行の可能性や、デング熱流行国を訪問する欧州人旅行者など、罹患の危険にさらされる可能性のある人々が存在します。医師として、幅広い患者集団に対して利用可能な新しいデング熱ワクチン接種ツールがあることは心強いことです」と述べています。

欧州委員会の承認は、28,000人以上の小児および成人を対象にした19件の臨床第1、2、3相試験にわたる結果によって裏付けられています。これには、グローバル臨床第3相試験(TIDES試験:Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)の4.5年の追跡調査データが含まれています。TIDES試験では、ワクチン接種から12ヵ月後に症候性デング熱症例の80.2%が予防されたことにより、全般的なワクチン有効性(VE)という主要評価項目が達成されました8。さらに、TAK-003は、ワクチン接種18ヵ月後の入院の90.4%予防などの主要な副次評価項目も達成しました9。有効性は血清型により異なり8, 9、このTIDESの探索的解析により、4.5年の追跡調査期間を通して、TAK-003がワクチン接種前の血清反応が陽性の被験者群(血清反応陽性群)と陰性の被験者群(血清反応陰性群)の両方を含む、全体集団においてデング熱による入院の84%、デング熱の61%を予防したことが示されました10。TAK-003の忍容性はおおむね良好であり、ワクチン接種者における疾患増強のエビデンスはなく、現在までに重要な安全性リスクは特定されていません10

QDENGAは、インドネシア国家医薬品食品管理庁(Badan Pengawas Obat dan Makanan:BPOM)により、4種すべてのデングウイルス血清型により引き起こされるデング熱の予防を目的に、6歳から45歳を接種対象として承認されました。当社は、アジア諸国およびラテンアメリカの他のデング熱流行国においても規制当局への申請を継続して進めています。

今回の欧州委員会の承認が、当社の2023年3月期(2022年度)の通期の連結業績予想に及ぼす影響はありません。

デング熱について

デング熱は、最も急速に感染が拡大している蚊媒介感染症で、世界保健機関(WHO)は、2019年のグローバルヘルスに対する10の脅威の1つにデング熱を挙げています2, 12。デング熱は主にネッタイシマカ、および比較的低い割合でヒトスジシマカによって媒介され、4 種のウイルス血清型すべてがデング熱または重症型デング出血熱を引き起こす可能性があります2。個別の血清型羅患率は地理、地域、国や季節によって異なり、また時間の経過とともに変化していきます13。ある血清型のウイルスに感染した場合、その血清型に対する免疫は一生涯続きますが、後に異なる血清型のウイルスに感染した場合、重症化のリスクが高まります2

臨床第3相TIDES試験(DEN-301試験)について

二重盲検、無作為化、プラセボ対照のグローバル臨床第3相試験であるTIDES(Tetravalent Immunization against Dengue Efficacy Study)試験は、小児・若年層被験者を対象とし、4種すべてのデングウイルス血清型によって引き起こされる、ウイルス検査レベルで感染が確認されたあらゆる重症度の症候性デング熱の予防において、TAK-003を2回接種した際の安全性および有効性を評価しています8。本試験は、当社における、最大規模の介入臨床試験であり、デング熱流行地域に居住する4歳から16歳の健常な小児・若年層被験者2万人以上が組み入れられています8。被験者を2:1の割合で無作為に割り付け、 TAK-003 0.5 mL又はプラセボを0ヵ月時及び3ヵ月時に2回皮下投与しました8。本治験は5つのパートで構成されており、パート1である主要評価項目の解析では、TAK-003の2回目接種後12ヵ月までのワクチン有効性(VE)および安全性を評価しました 8。パート2ではさらに追跡調査を6ヵ月間追加し、副次評価項目であるデング熱による入院に対するVE、デングウイルスの血清型別VE、被験者のワクチン接種前血清状態別VEおよび症状の重症度別VEについての評価を行いました8。パート3では、世界保健機関(WHO)の勧告に従ってさらに2年半から3年にわたって被験者を追跡調査することにより、ワクチンの有効性と長期的な安全性を評価しました14。パート4では追加接種後13ヵ月間の有効性および安全性を評価し、パート5では、パート4完了後1年間の長期的な有効性および安全性を評価します14

本試験はデング熱流行地域であるラテンアメリカ(ブラジル、コロンビア、パナマ、ドミニカ共和国、ニカラグア)およびアジア(フィリピン、タイおよびスリランカ)にて実施されており、これらの地域ではデング熱予防のアンメットニーズが高く、重症型デング出血熱は小児の重篤な疾患および死亡を引き起こす主たる要因となっています14。ワクチン接種前の血液サンプルを本試験に参加するすべての被験者から採取しており、接種前の血清反応(デングウイルス感染歴の有無)別の安全性および有効性を評価することが可能です。当社および専門家で構成される独立データモニタリング委員会は積極的な安全性のモニタリングを継続して行っています。

武田薬品のワクチンに対する取り組みについて

ワクチンは、毎年350万~500万人の生命を救い、世界の公衆衛生に劇的な変化をもたらしました15。武田薬品は、約70年にわたり、人々の健康を守るため日本でワクチンを供給してきました。現在、当社のグローバルワクチンビジネスは、デング熱、新型コロナウイルス感染症、パンデミックインフルエンザ、ジカウイルス感染症など、世界で最も大きな課題となっている感染症に対し、最先端の取り組みを行っています。武田薬品はワクチン開発、製造およびマーケットアクセスに関する豊富な実績と深い知識を有しており、世界で最も緊急性の高い公衆衛生ニーズに対応すべく、パイプラインの充実に努めてまいります。
詳細については、www.TakedaVaccines.comをご覧ください。

武田薬品について

武田薬品工業株式会社(TSE: 4502 / NYSE: TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(治療手段)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国と地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

重要な注意事項

本注意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリースに関して武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類並びに一切の口頭のプレゼンテーション、質疑応答及び書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明及び質疑応答を含みます)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法の登録又は登録免除の要件に基づいて行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性があります。
武田薬品が直接的に、又は間接的に投資している会社は別々の会社になります。本ニュースリリースにおいて、「武田薬品」という用語は、武田薬品及びその子会社全般を参照するものとして便宜上使われていることがあり得ます。同様に、「当社(we、us及びour)」という用語は、子会社全般又はそこで勤務する者を参照していることもあり得ます。これらの用語は、特定の会社を明らかにすることが有益な目的を与えない場合に用いられることもあり得ます。
本ニュースリリースに記載されている製品名は、武田薬品又は各所有者の商標又は登録商標です。

将来に関する見通し情報

本ニュースリリース及び本ニュースリリースに関して配布された資料には、武田薬品の見積もり、予測、目標及び計画を含む武田薬品の将来の事業、将来のポジション及び業績に関する将来見通し情報、理念又は見解が含まれています。将来見通し情報は、「目標にする(targets)」、「計画する(plans)」、「信じる(believes)」、「望む(hopes)」、「継続する(continues)」、「期待する(expects)」、「めざす(aims)」、「意図する(intends)」、「確実にする(ensures)」、「だろう(will)」、「かもしれない(may)」、「すべきであろう(should)」、「であろう(would)」、「かもしれない(could)」、「予想される(anticipates)」、「見込む(estimates)」、「予想する(projects)」などの用語若しくは同様の表現又はそれらの否定表現を含むことが多いですが、それに限られるものではありません。これら将来見通し情報は、多くの重要な要因に関する前提に基づいており、実際の結果は、将来見通し情報において明示又は暗示された将来の結果とは大きく異なる可能性があります。その重要な要因には、日本及び米国の一般的な経済条件を含む武田薬品のグローバルな事業を取り巻く経済状況、競合製品の出現と開発、世界的な医療制度改革を含む関連法規の変更、臨床的成功及び規制当局による判断とその時期の不確実性を含む新製品開発に内在する困難、新製品及び既存製品の商業的成功の不確実性、製造における困難又は遅延、金利及び為替の変動、市場で販売された製品又は候補製品の安全性又は有効性に関するクレーム又は懸念、新規コロナウイルス・パンデミックのような健康危機が、武田薬品が事業を行う国の政府を含む武田薬品とその顧客及び供給業者又は武田薬品の事業の他の側面に及ぼす影響、買収対象企業とのPMI(買収後の統合活動)の時期及び影響、武田薬品の事業にとっての非中核資産を売却する能力及びかかる資産売却のタイミング、当社による省エネルギーへの取り組み及び将来の再生可能エネルギー又は低炭素エネルギー技術の発展による当社の温室効果ガス排出量の削減の程度、武田薬品のウェブサイト(https://www.takeda.com/jp/investors/sec-filings/)又はwww.sec.govにおいて閲覧可能な米国証券取引委員会に提出したForm 20-Fによる最新の年次報告書並びに武田薬品の他の報告書において特定されたその他の要因が含まれます。武田薬品は、法律や証券取引所の規則により要請される場合を除き、本ニュースリリースに含まれる、又は武田薬品が提示するいかなる将来見通し情報を更新する義務を負うものではありません。過去の実績は将来の経営結果の指針とはならず、また、本ニュースリリースにおける武田薬品の経営結果及び情報は武田薬品の将来の経営結果を示すものではなく、また、その予測、予想、保証又は見積もりではありません。

医療情報

本ニュースリリースには、製品に関する情報が含まれておりますが、それらの製品は、すべての国で発売されているものではなく、また国によって異なる商標、効能、用量等で販売されている場合もあります。ここに記載されている情報は、開発品を含むいかなる医療用医薬品を勧誘、宣伝又は広告するものではありません。

 

###

 

  1. QDENGA Summary of Product Characteristics. Retrieved December 2022.
  2. World Health Organization. Dengue and Severe Dengue. January 2022. Retrieved December 2022.
  3. European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). Factsheet about dengue. November 2021. Retrieved December 2022.
  4. European Centre for Disease Prevention and Control (ECDC). Autochthonous transmission of dengue virus in EU/EEA, 2010-present. October 2022. Retrieved December 2022.
  5. Bulugahapitiya, U., Siyambalapitiya, S., Seneviratne, S. L., & Fernando, D. J. (2007). Dengue fever in travellers: A challenge for European physicians. European journal of internal medicine, 18(3), 185–192. https://doi.org/10.1016/j.ejim.2006.12.002
  6. Jelinek, N. Mühlberger, G. Harms, et al. European Network on Surveillance of Imported Infectious Diseases, Epidemiology and Clinical Features of Imported Dengue Fever in Europe: Sentinel Surveillance Data from TropNetEurop, Clin Inf Dis. Volume 35, Issue 9, 1 November 2002, Pages 1047–1052, https://doi.org/10.1086/342906
  7. Travel data from: UNWTO. Yearbook of Tourism Statistics, Data 2014-2018. 2020.
  8. Biswal S, et al. Efficacy of a tetravalent dengue vaccine in healthy children and adolescents. N Engl J Med. 2019; 2019;381:2009-2019.
  9. Biswal S, et al. Efficacy of a tetravalent dengue vaccine in healthy children aged 4-16 years: a randomized, placebo controlled, phase 3 trial. Lancet. 2020. 2020;395:1423-1433.
  10. Tricou, V. Efficacy and Safety of Takeda’s Tetravalent Dengue Vaccine Candidate (TAK-003) After 4.5 Years of Follow-Up. Presented at the 8th Northern European Conference of Travel Medicine; June 2022.
  11. Huang CY-H, et al. Genetic and phenotypic characterization of manufacturing seeds for tetravalent dengue vaccine (DENVax). PLoS Negl Trop Dis. 2013;7:e2243.
  12. World Health Organization. Ten threats to global health in 2019. January 2019. December 2022.
  13. Guzman MG, et al. Dengue: a continuing global threat. Nature Reviews Microbiology. 2010;8:S7-S16.
  14. Efficacy, Safety and Immunogenicity of Takeda’s Tetravalent Dengue Vaccine (TDV) in Healthy Children (TIDES). Retrieved December 2022.
  15. World Health Organization. Vaccines and immunization. October 2022. Retrieved December 2022.