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非活動期又は軽症の活動期クローン病患者における複雑痔瘻治療製品「アロフィセル®注」の日本における製造販売承認取得について

非活動期又は軽症の活動期クローン病患者における複雑痔瘻治療製品
「アロフィセル®注」の日本における製造販売承認取得について


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September 27, 2021

- 当社における国内初の再生医療等製品として、同種異系脂肪組織由来間葉系幹細胞の懸濁液であるアロフィセル®注の承認取得
- 少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分なクローン病に伴う複雑痔瘻を有する患者さんへ、細胞治療という新たな治療オプションを提供1,2

当社は、このたび、非活動期又は軽症の活動期クローン病患者における複雑痔瘻の治療製品である「アロフィセル®注 (一般名:ダルバドストロセル 、開発コード:Cx601、以下「アロフィセル」)について、厚生労働省より製造販売承認を取得しましたのでお知らせします。

今回の承認は、国内で実施されたDarvadstrocel-3002試験および、海外で実施されたADMIRE-CD試験等の結果に基づくものです。1,3

クローン病に伴う複雑痔瘻は、患者さんのQOLを著しく低下させ、患者さんにとって大きな負担となります。4,5既存治療では無効および不耐の患者さんがおり、新たな治療選択肢が必要とされています。アロフィセルは、当社において日本で初めて承認された同種異系脂肪組織由来幹細胞の懸濁液です。炎症部位において、局所的に免疫調節作用および抗炎症作用を示すことで、多くの患者さんにとって有用な選択肢となり、医療上のアンメットニーズを満たすことが期待されています。

<今回承認された効能、効果又は性能、用法及び用量又は使用方法について>

販売名

アロフィセル注

一般名

ダルバドストロセル

効能、

効果又は性能

非活動期又は軽症の活動期クローン病患者における複雑痔瘻の治療。ただし、少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分な場合に限る。

用法及び用量又は使用方法

通常、成人にはヒト間葉系幹細胞として、1回量120×106個(4バイアル(24mL)全量)を、最大で原発口2つまで、二次口3つまでの瘻孔に対して、掻爬等の処置を行った後に投与する。


当社の日本開発センター所長である廣田直美は、「このたび、アロフィセルが、非活動期又は軽症の活動期クローン病患者さんにおける複雑痔瘻の治療に用いられる再生医療等製品として、国内で初承認されたことを非常にうれしく思います。この承認により、従来の治療や生物学的製剤による治療を行っても効果が不十分な患者さんに対し、新たな治療選択肢を提供できます」と述べています。

アロフィセルは製造完了後、72時間以内に投与される必要があるため、受注生産を行います。また、厳格な温度管理下で、全国の医療機関への配送を可能にする物流体制を整えています。

以上


<クローン病に伴う複雑痔瘻について>
クローン病は消化管の慢性炎症性疾患で6、国内での疫学的な推定患者数は約70,700人と言われています7。また、難病情報センターによると、国内でのクローン病医療受給者証交付件数は約44,000件です。8 クローン病の患者さんは複雑痔瘻を発症することが多く、これにより強い痛みや膿瘍感染症、便失禁等を引き起こすことがあります4。薬物療法や外科的処置の進歩にもかかわらず、現在もなお治療困難な疾患です。4,9 欧州クローン病・潰瘍性大腸炎協会連合(EFCCA)が当社と共同で実施した調査によると、複雑痔瘻を有するクローン病患者さんは、スポーツや仕事、雇用など、一般的な生活する上で患者さんのQOLに多くの悪影響を及ぼすと報告しています。

<アロフィセルについて>
アロフィセルは、健康成人の脂肪組織から抽出し、培養・増殖させた同種異系間葉系幹細胞(eASC)の懸濁液で、少なくとも1つの既存治療薬による治療を行っても効果が不十分な非活動期又は軽症の活動期のクローン病患者における複雑痔瘻の治療製品です2。アロフィセルは、欧州では2009年に欧州委員会(EC)で希少疾病用薬として指定され、2018年3月に非活動期又は軽症の活動期の成人のクローン病患者において、既存治療薬又は生物学的製剤のいずれかの治療を実施したにもかかわらず効果不十分な複雑痔瘻への治療製品として承認を取得しました2, 10
米国では、2017年にFDAより希少疾病用薬として指定され11、2019年にクローン病成人患者における複雑痔瘻治療製品として再生医療先端治療(RMAT)指定制度の指定を受けました12
国内では、2019年3月13日付で、厚生労働省より、予定される効能、効果又は性能をクローン病患者における肛門周囲複雑瘻孔として、希少疾病用再生医療等製品に指定されました13

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

<武田薬品の消化器系疾患領域における取り組みについて>
消化器系疾患は時として、患者さんの日常生活を困難にさせる場合があります。武田薬品およびパートナー各社はこのアンメット・メディカル・ニーズに対し、25年以上にわたり革新的な医薬品や献身的な支援プログラムを通じて患者さんのQOL改善に取り組んでまいりました。また武田薬品は、炎症性腸疾患、酸関連疾患、消化管運動障害など、アンメット・メディカル・ニーズの高い消化器系疾患領域をリードする企業でもあります。武田薬品の消化器系疾患領域の研究開発チームは、セリアック病や肝疾患の治療法を開発するとともに、腸内細菌由来の治療法を通じた学術的な発展にも取り組んでいます。武田薬品は、これからも革新的な医薬品を通じて、消化器系疾患領域における患者さんの生活の質の向上に貢献してまいります。

<注意事項>
本ニュースリリースに記載されている医薬品情報は、当社の経営情報の開示を目的とするものであり、開発中のものを含むいかなる医薬品の宣伝、広告を目的とするものではありません。


以上

 

1 Panés J, García-Olmo D, Van Assche G, Colombel JF, et al. ADMIRE CD Study Group Collaborators. Expanded allogeneic adipose-derived mesenchymal stem cells (Cx601) for complex perianal fistulas in Crohn's disease: a phase 3 randomised, double-blind controlled trial. Lancet. 2016;24;388(10051):1281-90.

2 Alofisel Summary of Product Characteristics. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/alofisel-epar-product-information_en.pdf. Last updated November 24, 2020. Last accessed September 2021.

3 Phase 3 Study of Cx601 in Subjects With Complex Perianal Fistulising Crohn's Disease. Available at https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03706456. Last updated: October 5, 2020. Last accessed January 2021.

4 Mahadev S, Young JM, Selby W, et al., Quality of life in perianal Crohn's disease: what do patients consider important? Dis Colon Rectum. 2011; 54(5): 579-585.

5 Aguilera-Castro L, Ferre-Aracil C, Garcia-Garcia-de-Paredes A, Rodriguez-de-Santiago E, Lopez-Sanroman A. Management of complex perianal Crohn’s disease. Ann Gastroenterol. 2017;30:33-44.

6 Xavier RJ and Podolsky DK. Unravelling the pathogenesis of inflammatory bowel disease. Nature. 2007; 448: 427-434.

7 Murakami, Yoshitaka et al. “Estimated prevalence of ulcerative colitis and Crohn's disease in Japan in 2014: an analysis of a nationwide survey.” Journal of gastroenterology vol. 54,12 (2019): 1070-1077.

8 難病情報センター,クローン病, https://www.nanbyou.or.jp/entry/81

9 Geltzeiler C, Wieghard N and Tsikitis V. Recent developments in the surgical management of perianal fistula for Crohn’s disease. Ann Gastroenterol. 2014; 27(4): 320-330.

10 Alofisel European public assessment report summary. Available at: https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/EPAR/alofisel. Last updated: November 24, 2020. Last accessed September 2021.

11 U.S. Food & Drug Administration Orphan Drug Designation & Approval. Available at: https://www.accessdata.fda.gov/scripts/opdlisting/oopd/detailedIndex.cfm?cfgridkey=373012. Last updated October 18, 2017. Last accessed September 2021.

12 Data on file. RMAT Designation Letter, May 2019. Takeda Pharmaceuticals USA, Inc.

13 Orphan drug list. Available at:

https://www.nibiohn.go.jp/nibio/part/promote/orphan_support/index.html#hyodata001 Last updated: June 23, 2020. Last accessed September 2021.