移植後のサイトメガロウイルス感染(難治性/抵抗性(無しも含む))患者さんにおけるmaribavirの既存の治療法を上回る有効性を支持する臨床第3相試験の固形臓器移植(SOT)の種類によるサブグループ解析結果について
移植後のサイトメガロウイルス感染(難治性/抵抗性(無しも含む))患者さんにおけるmaribavirの既存の治療法を上回る有効性を支持する臨床第3相試験の固形臓器移植(SOT)の種類によるサブグループ解析結果について
- maribavirを投与した固形臓器移植(SOT)後の患者さんにおいて、既存の抗ウイルス療法を受けた患者さんの2倍以上の割合でCMV血症の消失を達成したことを示した過去のデータを基に、サブグループ解析は心臓移植、肺移植および腎移植を受けた患者さんにおいてmaribavirの一貫した有効性を示す1
- 米国食品医薬品局(FDA)による最近のmaribavirの新薬承認申請の優先審査指定により、当社は移植後のCMV感染の治療に存在するアンメットニーズへの取り組みをさらに一歩前進させる
当社は、このたび、オンラインで開催される2021年米国移植学会議(American Transplant Congress:ATC)において、TAK-620(一般名:maribavir)の臨床第3相試験であるTAK-620-303(SOLSTICE)試験の固形臓器移植(SOT)患者さんに関する新たなサブグループ解析結果を発表しましたのでお知らせします。ベースラインで難治性/抵抗性(抵抗性無しも含む)(R/R)サイトメガロウイルス(CMV)感染のSOT患者さんにおいて、投与8週時(投与期終了時)でCMV血症の消失が達成された割合は、既存の抗ウイルス療法群(治験責任医師が定めた治療法[IAT]で、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネットもしくはシドフォビルのいずれか1つまたはその併用)(26.1%、18/69)と比較して、maribavir投与群では2倍以上(55.6%、79/142)でした(調整群間差[95%信頼区間]:30.5%[17.3, 43.6])1。発表された結果は、心臓移植、肺移植および腎移植を受けた患者さんにおいてmaribavir投与の一貫した有効性を示していました。
移植の種類ごとの主要な結果は以下のとおりです:1
- R/R CMV感染の肺移植患者さんにおいて、CMV血症の消失が達成された割合は、既存の抗ウイルス療法群の13.6%(3/22)と比較して、maribavir投与群では3倍以上の47.5%(19/40)でした(調整群間差[95%信頼区間]:38.2%[16.89, 59.53])。
- R/R CMV感染の腎移植患者さんにおいて、CMV血症の消失が達成された割合は、既存の抗ウイルス療法群の34.4%(11/32)と比較して、maribavir投与群では1.5倍以上の59.5%(44/74)でした(調整群間差[95%信頼区間]:26.7%[7.48, 45.85])。
- R/R CMV感染の心臓移植患者さんにおいて、CMV血症の消失が達成された割合は、既存の抗ウイルス療法群の11.1%(1/9)と比較して、maribavir投与群では42.9%(6/14)でした(調整群間差[95%信頼区間]:30.7%[-1.72, 63.15])。
当社のヴァイスプレジデントでありmaribavir のグローバルプログラムリーダーを務めるオビ・ウメ(Obi Umeh)医学博士は、「CMV感染症はよくみられる感染症ですが、現在も移植チームにとっては予測困難な脅威であり、固形臓器移植患者さんにおける推定発現率は16~56%です。今回の結果は、これらの困難に直面している患者さんの、CMV感染に対するmaribavirの治療薬としての可能性に関する過去に発表したデータを強化するものです」と述べています。
主要評価項目を達成した全試験集団の結果では投与8週時におけるCMV血症の消失においてmaribavirが既存の抗ウイルス療法に対して優越性を示しましたが、今回のサブグループ解析結果は、その結果を裏付けています。具体的には、R/R CMV感染の移植患者さんにおいてCMV血症の消失が達成された割合は、既存の抗ウイルス療法群の23.9%(28/117)と比較して、maribavir投与群では55.7%(131/235)でした(調整群間差[95%信頼区間]:32.8%[22.8, 42.7]、 p<0.001)1*†‡。
maribavirを投与した移植後の患者さんでは、既存の抗ウイルス療法を受けた患者さんで多くみられた治療に関連する毒性の発現率は低いことが示されました。また、治療に関連する好中球減少の発現率は、バルガンシクロビル/ガンシクロビル投与群の25%(14/56)と比較して、maribavir投与群では1.7%(4/234)と低く、急性腎障害の発現率は、ホスカルネット投与群の19.1%(9/47)と比較して、maribavir投与群では1.7%(4/234)と低いことが示されました。試験治療下で発現した有害事象(TEAE)の発現率は、maribavir投与群で97.4%(228/234)、既存の抗ウイルス療法群で91.4%(106/116)でした1。maribavir投与群で最もよくみられたTEAEは、味覚異常(35.9%、84/234)、悪心(8.5%、20/234)および嘔吐(7.7%、18/234)でした2。治験薬の投与中止に至った有害事象の発現率は、maribavir投与群で13.2%(31/234)、既存の抗ウイルス療法群で31.9%(37/116)でした1。治療に関連した重篤な有害事象として2名の死亡が報告されています(各投与群に1名)1。
<CMVについて>
CMVはヒトに多く感染するベータヘルペスウイルスであり、さまざまな成人集団の40~100%で感染歴を認める血清学的エビデンスがあります3。CMVは通常、体内に潜伏し、無症候性ですが、免疫抑制期間中に再活性化することがあります。免疫機能が低下した人では、重篤な疾患を発現することがあり、こうした人には造血幹細胞移植(HCT)や固形臓器移植(SOT)4,5を始めとする、さまざまな種類の移植に関連した免疫抑制剤の投与を受けている患者さんも含まれます。1年あたり推定20万件の成人移植のうち、CMVは移植後の患者さんが経験する最もよくみられるウイルス感染のひとつであり、推定発現率はSOTの患者さんで16~56%、HCT移植の患者さんで30~70%です5-10。
移植後の患者さんでCMVが再活性化すると、移植臓器の喪失などの深刻な結果に至る可能性があり、極端な場合では死に至ることもあります11,12。移植後のCMV感染に対する既存の治療法は、用量調節を必要とすることや、ウイルスの複製を十分に抑制できない可能性がある副作用を発現することがあります13-15。さらに、既存の治療法では、投与のために入院を要することや入院が長期化することがあります13,14。
<maribavirについて>
maribavirは経口投与可能な抗CMV化合物であり、現在、固形臓器移植(SOT)または造血幹細胞移植(HCT)の両移植後のCMV感染患者さんの治療薬として臨床第3相試験が実施されている唯一の抗ウイルス剤です。maribavirは、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)やその他の規制当局によって承認されていない開発中の治療薬です。maribavirはUL97プロテインキナーゼとその天然基質を標的として阻害する唯一のCMV抗ウイルス剤です16-19。
maribavirは、欧州委員会から、細胞性免疫障害を有する患者さんのCMV感染症の治療薬として、また米国食品医薬品局(FDA)から、臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染症リスクの高い患者さんの治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けています。希少かつ生命にかかわる疾患の治療または予防を目的とした特定の治験薬は、希少疾病用医薬品として指定を受けます。FDAは、CMV感染およびCMV感染症を有し、既存の治療に抵抗性を有するまたは難治性の移植患者さんへの治療薬として、maribavirのBreakthrough Therapy指定を行っています。Breakthrough Therapy指定により、重篤な疾患に対して既存の治療法よりも大幅な改善を示す可能性のある臨床データを有する治験薬の開発ならびに評価が推進されます。この指定は、FDAやEMAが移植患者さんにおけるCMV感染治療薬としてmaribavirを承認することを保証するものではなく、承認時期は未定です。最近では、米国食品医薬品局(FDA)が、移植後の既存の抗CMV療法に難治性/抵抗性のCMV感染に対する治療薬として、maribavirの優先審査指定を行いました。この指定および新薬承認申請(NDA)の受理は、FDAや欧州医薬品庁(EMA)が移植患者さんにおけるCMV感染治療薬としてmaribavirを承認することを保証するものではなく、承認時期は未定です。
<SOLSTICE試験について>
TAK-620-303(SOLSTICE)試験(NCT02931539)は、既存の抗ウイルス療法(ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、シドフォビルのいずれか1つまたはその併用)に難治性または抵抗性(無しも含む)の造血幹細胞移植および固形腫瘍移植の両移植後のCMV感染患者さんを対象として、maribavirまたは治験責任医師が認めた治療法(IAT)(既存の抗ウイルス療法)を比較する多施設共同、非盲検、実薬対照試験です。2週間のスクリーニング期間後に、患者さんをmaribavir(n=235)(400mg)またはIAT(n=117)のいずれかに2:1で無作為に割り付けし、8週間の投与とさらに12週間のフォローアップを行いました。
この試験の主要評価項目は、IATとの比較において、投与8週終了時に、CMV血症が消失した患者さんの割合(中央検査室で5日間以上空けて実施した連続する2回の検査において血漿CMV DNAが137 IU/mL未満)、と定義されました。主な副次的評価項目は、投与8週終了時に達成し、さらに投与16週まで維持されたCMV血症の消失および症状コントロール、と定義されました。
<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品は、「すべての患者さんのために、ともに働く仲間のために、いのちを育む地球のために」という約束を胸に、革新的な医薬品を創出し続ける未来を目指します。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少遺伝子疾患および血液疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)、消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。
<留意事項>
本留意事項において、「ニュースリリース」とは、本ニュースリリース(添付資料および補足資料を含みます。)において武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」)によって説明又は配布された本書類、口頭のプレゼンテーション、質疑応答および書面又は口頭の資料を意味します。本ニュースリリース(それに関する口頭の説明および質疑応答を含みます。)は、いかなる法域においても、いかなる有価証券の購入、取得、申込み、交換、売却その他の処分の提案、案内若しくは勧誘又はいかなる投票若しくは承認の勧誘のいずれの一部を構成、表明又は形成するものではなく、またこれを行うことを意図しておりません。本ニュースリリースにより株式又は有価証券の募集を公に行うものではありません。米国 1933 年証券法に基づく登録又は登録免除の要件に従い行うものを除き、米国において有価証券の募集は行われません。本ニュースリリースは、(投資、取得、処分その他の取引の検討のためではなく)情報提供のみを目的として受領者により使用されるという条件の下で(受領者に対して提供される追加情報と共に)提供されております。当該制限を遵守しなかった場合には、適用のある証券法違反となる可能性がございます。
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<将来に関する見通し情報>
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以上
*移植の種類と血漿中のCMV DNA濃度を2つの層別因子として、全層のCochran-Mantel-Haenszel(CMH)加重平均を用いて治療群間の奏功者割合の差を求め、層別調整CMH法で検証
†難治性を、ガンシクロビル/バルガンシクロビル静注、フォスカーネット静注、シドホビル静注による14日以上の治療期間後に、全血中または血漿中のCMV DNA量が1 log10以上減少しなかったことが証明された場合と定義
‡耐性を難治性のCMVで、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、フォスカーネット、シドフォビルのいずれかに耐性を示すCMV遺伝子変異が1つ以上あることと定義
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