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ドラベ症候群またはレノックス・ガストー症候群の小児を対象とした臨床第2相ELEKTRA試験においてSoticlestat(TAK-935/OV935)が主要評価項目である発作頻度減少を達成

ドラベ症候群またはレノックス・ガストー症候群の小児を対象とした臨床第2相ELEKTRA試験においてSoticlestat(TAK-935/OV935)が主要評価項目である発作頻度減少を達成


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August 26, 2020

- ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群をあわせた試験全体において、プラセボとの比較でベースラインから統計学的に有意な発作頻度の減少を示し(p=0.0007)、主要評価項目を達成
- ドラベ症候群コホートにおいて、プラセボとの比較で発作頻度がベースラインから統計学的に有意に減少(p=0.0007)、有効性を強固に裏付ける本結果に基づき、武田薬品とOvid社はドラベ症候群におけるsoticlestatの臨床第3相試験の登録プログラムを開始する予定
- レノックス・ガストー症候群コホートのデータでは、プラセボとの比較で発作頻度は減少したが、統計学的な有意差には至らず(p=0.1279)、さらなるデータ解析が進行中
- soticlestatの忍容性は良好であり、安全性プロファイルはこれまでの試験の結果と同様で、新たに安全性で留意すべき点は確認されず

武田薬品工業株式会社(本社:大阪市中央区、以下「武田薬品」)と、希少神経疾患患者の生活に大きな変化をもたらす治療薬の開発を行うバイオ医薬品企業であるOvid Therapeutics Inc. (所在地:米国ニューヨーク州ニューヨーク、以下「Ovid社」)は、本日、ドラベ症候群(DS)またはレノックス・ガストー症候群(LGS)の小児患者を対象としたsoticlestatの無作為化臨床第2相ELEKTRA試験の良好なトップラインデータを発表しましたのでお知らせします。Soticlestatは、強力で選択性の高い、ファースト・イン・クラスの経口コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤です。DSやLGSを含む難治性のてんかん症候群の一種である希少発達性およびてんかん性脳症(DEE)の治療薬として、武田薬品とOvid社が開発を進めています。

ELEKTRA試験において、12週間の治験薬投与維持期に、プラセボ投与群では、けいれん発作(DS)および脱力発作(LGS)の頻度が中央値で3.1%増加したのに対し、soticlestat投与群ではベースラインから中央値で27.8%の統計学的に有意な減少が示され(プラセボ調整後の減少率の中央値=30.5%、p=0.0007、治験薬投与維持期において発作がみられた120例での有効性解析に基づく)、主要評価項目を達成しました。さらに、ELEKTRA試験の20週間の全治療期間(用量最適化期および治験薬投与維持期)中にプラセボ投与群ではけいれん発作(DS)および脱力発作(LGS)の頻度の変化が中央値で0.0%であったのに対し、soticlestatによる治療を受けたDSおよびLGS患者群では中央値で29.8%減少しました(プラセボ調整後の減少率=25.1%、p=0.0024)。

ELEKTRA試験のDSコホート(n=51)では、20週間の試験の全治療期間中にプラセボを投与された患者群において、けいれん発作頻度が中央値で7.0%増加したのに対し、soticlestatによる治療を受けた患者群では中央値で33.8%減少したことが示されました(プラセボ調整後のけいれん発作頻度減少率の中央値=46.0%、p=0.0007)。これらのデータを踏まえ、DS患者を対象としたsoticlestat臨床第3相試験の登録プログラムの開始について規制当局と協議する予定です。

ELEKTRA試験のLGSコホート(n=88)では、20週間の試験の全治療期間中にプラセボを投与された患者群において、脱力発作頻度が中央値で6.0%減少したのに対し、soticlestatによる治療を受けた患者群では中央値で20.6%減少したことが示されました(プラセボ調整後の脱力発作頻度減少率の中央値=14.8%、p=0.1279)。Soticlestatの開発に向けてとり得る次のステップについて理解を深めるため、この極めて特殊な患者群における追加解析を実施中です。

ELEKTRA試験では、soticlestatの忍容性は概ね良好で、安全性プロファイルはこれまでの試験と同様であり、新たに安全性で留意すべき点は認められませんでした。ELEKTRA試験を完了したすべての患者がENDYMION非盲検延長試験への登録を選択しました。ENDYMION試験から得られた知見も本日報告されます。

Ovid社のPresident and Chief Medical OfficerであるAmit Rakhit, M.D., MBAは、「私たちは、soticlestatによる治療を受けたドラベ症候群の患者さんの発作頻度が統計学的に有意に減少したこと、ならびにレノックス・ガストー症候群の患者さんの発作頻度が減少する傾向があったことを明示するこれらの結果を得て、大変心強く思います。引き続き武田薬品と協働し、DS患者さんを対象としたsoticlestatの臨床第3相試験登録プログラムを開始するとともに、ELEKTRA試験およびENDYMION試験においてLGS患者さんのデータを分析し、次のステップを明確にしていくことができると期待しています。また、極めて難治性の他のタイプのDEEであるCDKL5遺伝子変異症候群または15q重複症候群を有する患者さんを対象としたsoticlestatの非盲検臨床第2相ARCADE試験のデータを、今四半期の後半に報告する予定です」と述べています。

武田薬品Neuroscience Therapeutic Area UnitのHeadであるSarah Sheikh, M.D., M.Sc., MRCPは、「これらの良好な結果が得られ、まずは治療抵抗性の発作を管理するための選択肢をより多く必要とする小児ドラベ症候群患者さんの治療薬となりうるsoticlestatを後期臨床開発段階に進めることができ、嬉しく思います。soticlestatとその新規作用機序は当社で発見されました。当社はOvid社との強力なパートナーシップのもと、チーム一丸となって、引き続き科学の進歩に寄与し、臨床プログラムを進めてまいります」と述べています。

The Hospital for Sick Children(トロント小児病院)の小児神経科医であり、トロント大学の准教授であるCecil Hahn医師は、「DSやLGSのような発達性てんかん性脳症の小児患者さんは、治療抵抗性の発作を管理するためにより多くの治療選択肢を必要としています。ELEKTRA試験の結果は、特に小児DS患者さんに対して非常に有望であり、発作による負荷を臨床的に有意に軽減できる可能性を示すものです。さらに、本試験におけるsoticlestatの忍容性は良好でした」と述べています。

<臨床第2相ELEKTRA試験のデザインおよびベースライン時の患者背景>
ELEKTRA試験は、DS (けいれん発作)またはLGS (脱力発作)に関連する極めて難治性のてんかん発作を有する2~17 歳の小児患者を対象に、soticlestatによる治療を評価するためにデザインされた、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の国際共同臨床試験です。本試験では、ベースラインの発作頻度を設定するための4~6週間のスクリーニング期間に続き、8週間の用量最適化期および12週間の治験薬投与維持期を含む20週間の二重盲検治療期間を設定しています。8週間の用量最適化期に、患者は100mg 1日2回から200mg 1日2回、さらに300mg 1日2回(体重60kg未満の場合はmg/kg計算で投与)までsoticlestatの経口投与量を漸増しました。

合計141人の患者がELEKTRA試験に登録され、126人が試験を完了しました。有効性に関する評価項目を評価するために、139人の患者を対象としたmodified-ITT(mITT)解析を実施しました。本試験に登録され、治験薬を少なくとも1回投与された患者が解析対象となります。なお、本試験においては、抗てんかん薬(AED)を1~4剤まで併用可能とし、大多数の患者が3剤以上のAEDの併用治療を受けていました。併用投与されることが多かったAEDは、バルプロ酸、クロバザム、レベチラセタムおよびトピラマートでした。

<臨床第2相ELEKTRA試験の有効性に関するトップラインデータ>
本試験では、12週間の治験薬投与維持期におけるプラセボ投与群ではけいれん発作(DS)および脱力発作(LGS)頻度が中央値で3.1%増加したのに対し、soticlestat投与群ではベースラインから中央値で27.8%減少したことが示され(プラセボ調整後の減少率の中央値=30.5%、p=0.0007、治験薬投与維持期において発作がみられた120例での有効性解析に基づく)、主要評価項目を達成しました。DSにおけるmITT 解析対象の患者群では、20週間の全治療期間中の発作頻度が、プラセボ投与群では7.0%増加したのに対し、soticlestat投与群ではベースラインから中央値で33.8%減少しました (プラセボ調整後の減少率の中央値=46.0%、p=0.0007)。LGSにおけるmITT解析対象の患者群では、全治療期間中の発作頻度が、プラセボ投与群では6.0%減少したのに対し、soticlestat投与群ではベースラインから中央値で20.6%減少しました(プラセボ調整後の減少率の中央値=14.8%、p=0.1279)。

<臨床第2相ELEKTRA試験の安全性に関するトップラインデータ>
本試験におけるsoticlestatの忍容性は良好でした。これらの結果はこれまでの試験と同様であり、新たに安全性において留意すべき点は認められませんでした。試験治療下で発現した有害事象の発現率は、soticlestat治療群とプラセボ群で同程度であり、治療下で有害事象を1回以上経験した患者はsoticlestat投与群で57例(80.3%)、プラセボ投与群では52例(74.3%)でした。soticlestat投与群でプラセボ投与群との発現頻度の差が5%以上あった最も頻度の高い有害事象は、嗜眠および便秘でした。重篤な有害事象の発現率は、soticlestat投与群とプラセボ投与群で同程度であり、試験治療下で重篤な有害事象を少なくとも1回経験したのはsoticlestat投与群で11例(15.5%)、プラセボ群で13例(18.6%)でした。死亡例は報告されていません。

<ENDYMION非盲検延長試験のアップデート>
ELEKTRA試験を完了した患者全員が、ENDYMION非盲検延長試験への移行を選択しました。本試験の主目的は、希少なてんかん患者を対象に、4年間にわたるsoticlestatの長期投与時の安全性及び忍容性を評価すること、および副次的に、soticlestatが発作頻度に及ぼす影響を経時的に評価することです。

ELEKTRA試験からENDYMION試験に移行した患者のデータは、ELEKTRA試験の主要な結果と一致しています。ELEKTRA試験においてsoticlestatの投与を受けた患者では6カ月以上効果が維持され、プラセボ群のベースラインと比較してけいれん発作頻度の減少が見られました。ENDYMION試験において、新たに安全性で留意すべき点は確認されませんでした。

<Soticlestat(TAK-935/OV935)について>
soticlestatは、強力で選択性の高い、ファースト・イン・クラスの経口コレステロール24ヒドロキシラーゼ(CH24H)阻害剤であり、発作感受性を低下させ、発作制御を改善する可能性があります。CH24Hは主に脳で発現し、そこでコレステロールを24S‐ヒドロキシコレステロール(24HC)に変換し、脳コレステロールのホメオスタシスバランスを調節します。24HCはNMDA受容体のポジティブアロステリックモジュレーターであり、てんかんに関連するグルタミン酸作動性シグナル伝達を調節します。グルタミン酸は脳内の主要な神経伝達物質の1つであり、発作の開始および進展に関与していることが示されています。最近の論文では、CH24HがNMDAチャネルの調節を介してグルタミン酸経路の過度な活性化に関与し、CH24Hの発現増加がアストロサイトによるグルタミン酸の再取り込みを妨げ、てんかん原生と神経毒性が生じることが示されています。SoticlestatによるCH24Hの抑制は24HCのニューロンレベルを低下させ、NMDAチャンネルの興奮性/抑制性バランスを改善する可能性があります。

武田薬品とOvid社は、soticlestatの開発・製品化にかかる費用を50/50の割合で分担するとともに、開発が成功した場合には、利益も50/50の割合で分配します。武田薬品は、日本における販売権を有するとともに、アジアおよび他の定められた国における販売にかかるオプション権を有しています。Ovid社は、soticlestatの臨床開発を主導するとともに、米国、欧州、カナダ、イスラエルにおける販売権を有します。本契約のもと、武田薬品はOvid社の株式を取得しました。また、soticlestat開発の進捗に基づき、一定のマイルストンの支払いを受領する権利を有します。

<ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群について>
ドラベ症候群とレノックス・ガストー症候群は、まれなてんかん症候群の不均一なグループである発達性およびてんかん性脳症(DEE)の一種です。ドラベ症候群およびレノックス・ガストー症候群は、典型的な場合で乳児期または幼児期に発症し、多くの抗発作薬で抑制が難しい非常に難治性の疾患です。

ドラベ症候群はSCN1A遺伝子の遺伝子変異が原因で起こることが最も多く、米国では15,000人から21,000人に1人の割合で発症します。ドラベ症候群は、けいれん性強直間代発作に進展しうる遷延性焦点発作を特徴とします。ドラベ症候群を有する小児患者は、発作が増加するにつれて発達障害を発症します。そのほかによくみられる症状には、食欲の変化、バランス感覚の悪化、かがみ歩行などがあります。

レノックス・ガストー症候群は、米国では約11,000人に1人が罹患すると推定されています。レノックス・ガストー症候群は不均一な病態であり、いくつかの異なるタイプの発作、最も一般的には弛緩性(脱力)、強直性および非定型欠神発作を特徴とします。レノックス・ガストー症候群を有する小児患者では、認知機能障害、発達のマイルストン達成の遅れや行動上の問題が引き起こされることもあります。レノックス・ガストー症候群は、様々な基礎疾患によって引き起こされることがありますが、原因を特定できないこともあります。

<Ovid社について>
Ovid Therapeutics Inc.は、ニューヨークを本拠としたバイオ医薬品企業であり、BoldMedicine®のアプローチを利用し、希少神経疾患の患者さんの生活の向上に大きな変化をもたらす治療薬の開発を行っています。Ovid社は、幅広いファースト・イン・クラスのパイプラインを有しています。同社の主要な治験薬であるOV101(gaboxadol)は現在、アンジェルマン症候群および脆弱X症候群を適応として開発中です。またOvid社は、武田薬品と共同で、希少発達性およびてんかん性脳症(DEE)を適応とするOV935(soticlestat)の開発を進めています。Ovid社についての詳細情報は、www.ovidrx.comをご覧ください。

<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、希少疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および消化器系疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80カ国で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

以上