欧州医薬品庁が、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者を対象とした 維持療法に関して、ベドリズマブ皮下注射製剤の製造販売承認申請を受理

2019年4月1日

− 新たな剤形が加わることにより、消化管選択的に作用する生物学的製剤であるベドリズマブの治療を受ける患者さんの治療選択肢が拡大
− 潰瘍性大腸炎とクローン病の患者さんに対する維持療法において、ベドリズマブは、静脈内投与および皮下投与の選択肢を提供可能な唯一の薬剤

当社は、このたび、成人の中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病患者に対する維持療法として、消化管選択的に作用する生物学的製剤であるベドリズマブの皮下注射製剤の剤形追加を欧州医薬品庁(EMA)に申請し、受理されましたのでお知らせします。当社は、ベドリズマブの皮下投与において、プレフィルドシリンジ製剤およびペン製剤、両方での提供を申請しています。

当社のEUCAN Business Unit GI FranchiseのHeadであるAdam Zaeskeは、「今回の申請は、欧州の潰瘍性大腸炎やクローン病に苦しむ患者さんの多様なニーズにお答えするために革新的な医薬品や治療法を継続的に提供していくという当社の決意を伴った大きな一歩です。ベドリズマブの皮下注射製剤が承認されることになれば、現在用いられている静脈内注射(静注)製剤と併せて、患者さんに幅広い選択肢を提供することが可能となり、患者さんの希望される投与方法やライフスタイルにあわせた治療方法を選ぶことが可能になります」と述べています。

今回の申請は、ベドリズマブ皮下注射製剤の維持療法としての有効性および安全性を評価した臨床第3相試験であるVISIBLE 1試験に基づいています。VISIBLE 1試験は、治療開始時点(0週)および2週時点に非盲検下にて導入療法としてベドリズマブの静脈内投与を2回行った後、6週時点で臨床的改善[1]が得られた中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎の216名の成人患者を対象に試験が実施されました。クローン病患者を対象として実施中のその他のVISIBLE試験から得られた中間データについても今回の申請パッケージに含めています。VISIBLE 1試験に関する結果は、オーストリア ウィーンで開催された2018 United European Gastroenterology Week Congressで発表されました。


[1] 臨床的改善は、血便サブスコアがベースライン(0週)から1ポイント以上の減少、または血便サブスコア1以下であり、完全Mayoスコアがベースライン(0週)から3ポイント以上減少かつ30%以上減少と定義


VISIBLE 1試験における主要評価項目において、52週時点における臨床的寛解[2]が得られた患者の割合は、維持療法としてベドリズマブ皮下注射製剤108 mgを2週間ごとに投与した群においてプラセボ投与群と比較して統計学的に有意に高い結果(ベドリズマブ皮下投与群:46.2%、プラセボ投与群:14.3%、p<0.001)を示しました。ベドリズマブ静注製剤300 mgを投与した参照群においても52週時点で同様の臨床的寛解率(42.6%)を示しました。さらに、52週時点における有害事象の発現率は、重篤な有害事象や感染症を含め、皮下注射製剤および静注製剤において同様の結果を示しました。注射部位反応はベドリズマブ皮下投与群の患者の10.4%において発現しましたが(プラセボ投与群では0%)、いずれも軽度であり、投与中止に至った患者はいませんでした。

<VISIBLE試験について>
VISIBLE試験は、中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病の成人患者を対象に、ベドリズマブ皮下注射製剤の維持療法としての有効性および安全性を検討することを目的としています。
VISIBLE試験は、1,000名以上の患者が参加する3つの臨床第3相試験から構成されます。潰瘍性大腸炎とクローン病それぞれについて治療52週時点に臨床的寛解を達成した患者の割合を検討する2つの無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験およびこれらの無作為化試験のいずれかを終了した患者から構成される、ベドリズマブ皮下注射製剤の長期安全性および有効性を検討する非盲検の継続試験です。

<潰瘍性大腸炎およびクローン病について>
潰瘍性大腸炎およびクローン病は、最も代表的な炎症性腸疾患です。潰瘍性大腸炎とクローン病はいずれも、再燃と寛解を繰り返す慢性の炎症が消化管に生じる、進行性となることの多い疾患です。潰瘍性大腸炎は大腸のみに発症するのに対して、クローン病は口から肛門に至るまで、消化管のあらゆる部位に発症します。また、クローン病は腸壁全層にも発症する可能性がありますが、潰瘍性大腸炎は大腸の最も内側の粘膜のみに発症します。潰瘍性大腸炎でよくみられる症状は、出血あるいは排膿を含む腹部不快感および軟便です。一方、クローン病でよくみられる症状は、腹痛、下痢および体重減少などです。潰瘍性大腸炎やクローン病の正確な原因については明らかになっていませんが、最近の研究では、遺伝的要因や環境要因に加え、遺伝的素因を有する人に生じる腸内細菌抗原に対する異常な免疫応答などが原因と考えられています。

<Entyvio® (ベドリズマブ)(国内販売名:エンタイビオ)について>
ベドリズマブは消化管に選択的に作用する生物学的製剤であり、現在、静注製剤として承認されています。本剤はα4β7インテグリンと特異的に拮抗し、α4β7インテグリンの腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)への結合を阻害しますが、血管細胞接着分子1(VCAM-1)への結合は阻害しないようデザインされた、ヒト化モノクローナル抗体です。MAdCAM-1は消化管の血管およびリンパ節に選択的に発現しています。一方、α4β7インテグリンは循環血液中の白血球サブセットに発現しています。これらの細胞は、潰瘍性大腸炎とクローン病における炎症プロセスを調節するうえで重要な役割を果たしていることが明らかになっています。α4β7インテグリンを阻害することで、ベドリズマブはある種の白血球細胞が消化管組織へ浸潤することを制限できる可能性があります。


[2] 臨床的寛解は完全Mayoスコアが2ポイント以下、かつすべてのサブスコアが1以下と定義


ベドリズマブ静注製剤は、標準療法又は抗TNFα抗体による治療のいずれかに対し効果不十分、効果減弱がみられた、もしくは不耐性である中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病成人患者に対する治療薬として承認[*]されています。ベドリズマブ静注製剤は米国や欧州連合など、現在60カ国以上の国で承認を取得しており、これまでに260,000人年(patient years)以上が本剤の投与を受けています。


[*] クローン病成人患者に対する適応は、日本においては承認事項一部変更承認申請中



<武田薬品について>
武田薬品工業株式会社(TSE:4502/NYSE:TAK)は、日本に本社を置き、自らの経営の基本精神に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品のリーディングカンパニーです。武田薬品のミッションは、優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献することです。研究開発においては、オンコロジー(がん)、消化器系疾患、ニューロサイエンス(神経精神疾患)および希少疾患の4つの疾患領域に重点的に取り組むとともに、血漿分画製剤およびワクチンにも注力しています。武田薬品は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。武田薬品は、約80の国および地域で、医療関係者の皆さんとともに、患者さんの生活の質の向上に貢献できるよう活動しています。
詳細については、https://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

以上