プロテアソーム阻害剤による維持療法について評価した初のプラセボ対照臨床第3相試験TOURMALINE-MM3試験における良好な結果の公表について

2018年12月3日

– 自家造血幹細胞移植後の多発性骨髄腫成人患者を対象としたニンラーロ®による維持療法を行った結果、無増悪生存期間が改善
– 本年12月2日、第60回米国血液学会(ASH)年次総会にて結果を発表

当社は、このたび、無作為化臨床第3相試験であるTOURMALINE-MM3試験結果を、2018年12月2日にカリフォルニア州サンディエゴで開催されている第60回米国血液学会(ASH)年次総会において発表しましたのでお知らせします。本試験では、多発性骨髄腫と診断され、過去に大量化学療法併用自家造血幹細胞移植に奏効を示した成人患者を対象に、ニンラーロ®(一般名:イキサゾミブクエン酸エステル、以下「ニンラーロ」)を維持療法として単剤で経口投与したときの効果を検討しました。ニンラーロは現時点では多発性骨髄腫に対する自家造血幹細胞移植後の維持療法として承認されておりません。

本試験では、多発性骨髄腫と診断され、大量化学療法併用自家造血幹細胞移植に奏効を示した成人患者において、ニンラーロ群がプラセボ群と比較して主要評価項目である無増悪生存期間(独立評価委員会による判定)が統計学的に有意な延長を示しました(HR 0.72、p値 = 0.002)。この結果は、プラセボと比較してニンラーロ投与では、病状進行または死亡リスクで28%の低下、無増悪生存期間で39%の改善を示しました。維持療法におけるニンラーロの安全性プロファイルは、ニンラーロ単剤投与における既報の安全性プロファイルと同様でした。

ギリシャ アテネに所在するUniversity Athens School of Medicine, Department of Clinical TherapeuticsのChairmanであるMeletios Dimopoulos教授は、「多発性骨髄腫への維持療法を行うことで、病状コントロールの延長につながる可能性があることが、数々のエビデンスにより示されました。現時点で承認されている治療法の選択肢は限られており、プロテアソーム阻害剤は含まれていないため、治療反応性を持続させ、かつ忍容可能な安全性プロファイルを有する新たな維持療法が求められています。TOURMALINE-MM3試験から得られた結果は、自家造血幹細胞移植後の経口プロテアソーム阻害剤による維持療法の選択肢として、ニンラーロ単剤投与が有用であるという可能性を裏付けるものです」と述べています。

当社のOncology Clinical Research and DevelopmentのHeadおよび Vice PresidentであるJesús Gomez Navarroは、「今回の臨床試験は、維持療法でプロテアソーム阻害剤について初めて評価した唯一のプラセボ対照臨床第3相試験であり、この良好な結果は、すでに幹細胞移植を受けた患者さんに対する維持療法としてのニンラーロの可能性を裏付けています。今回の結果では、ニンラーロ投与を受けた患者さんでは対照群の患者さんに比べ無増悪生存期間が改善しており、進行又は死亡のリスクとしては3分の1近く低下しました。引き続き、治療反応性を維持、もしくはより深くし、症状進行を遅らせるような治療の選択肢を開発することで、患者さんをサポートしていくことが重要であると考えています」と述べています。

国際骨髄腫財団のBrian GM Durie理事長は、「研究が継続的に行われてきた結果、多発性骨髄腫の治療情勢は常に進化しています。これは多発性骨髄腫の患者コミュニティにとって朗報と言えますが、患者さんのアンメット・ニーズに応えるという我々の目標を推進するためにはまだまだなすべきことがあります。目標達成のためには安全かつ効果的な維持療法の開発が不可欠です」と述べています。

Maintenance Therapy With the Oral Proteasome Inhibitor (PI) Ixazomib Significantly Prolongs Progression-Free Survival (PFS) Following Autologous Stem Cell Transplantation (ASCT) in Patients With Newly Diagnosed Multiple Myeloma (NDMM): Phase 3 TOURMALINE-MM3 Trial の結果は、2018年12月2日(日)午前7:30-9:00にMarriott Marquis San Diego Marina, Grand Ballroom 7にて発表されました。 

今回、Meletios Dimopoulos教授が発表した本試験結果の概要は以下の通りです。

  • 本試験において、大量化学療法(HDT)および自家造血幹細胞移植に反応した多発性骨髄腫と診断された成人患者において、ニンラーロ群がプラセボ群と比較して主要評価項目である無増悪生存期間で統計的に有意な改善がみられました(HR 0.72; 95%CI:0.582, 0.890; p= 0.002)。 これは、独立審査委員会(IRC)によって評価されたもので、ニンラーロにより死亡リスクは28%減少し、PFSは39%改善しました。
  • IRC評価では、ニンラーロ群の患者のPFSの中央値は26.5ヶ月、プラセボ群では21.3ヶ月でした。
  • プラセボ群と比較し、微小残存病変(MRD)陽性(試験登録時)からMRD陰性への転換が、ニンラーロ群においてより高い割合でみられました(ニンラーロ群 12%, プラセボ群 7%)。
  • ニンラーロの維持療法はプラセボと比較して高い割合で奏効の改善がみられました(相対リスク1.41; 95%CI:1.10, 1.80; p = 0.004)。
  • 無増悪生存期間のベネフィットは、ISS III(HR 0.661)、プロテアソーム阻害剤投与歴あり(HR 0.750)、PI投与歴なし患者(HR 0.497)、および細胞遺伝学的高リスク(HR 0.625)を含むサブグループにわたって広くみられました。
  • 副次評価項目である無増悪生存期間-2及び全生存期間(OS)は、いずれの群でも中央値に到達しませんでした。追跡期間の中央値は、31ヶ月でした。
  • ニンラーロ群におけるグローバルQOLスコア(EORTC QLQ-C30)は、プラセボ群と同様のスコアでした。
  • ニンラーロの維持療法における安全性プロファイルは、ニンラーロ単剤投与における既報の安全性プロファイルと同様でした。

- 有害事象による治療中止は、ニンラーロ群で7%、プラセボ群では5%でした。

- グレード3以上の有害事象発現率は、ニンラーロ群では42%、プラセボ群では26%でした。

- 重篤な有害事象の発現率は、ニンラーロ群では27%、プラセボ群では20%でした。

- 両群で頻度が高かったグレード3以上の有害事象(ニンラーロ群およびプラセボ群)としては、肺炎(6%および4%)を含む感染症(15%および8%)、消化器障害(6%および1%)、好中球減少(5%および3%)、血小板減少(5%および1%未満)がみられました。

- 末梢性ニューロパチーは、ニンラーロ群では19%、プラセボ群では15%で認められました。ニンラーロ群においては、グレード3の末梢性ニューロパチーが1%未満の頻度でみられましたが、プラセボ群においてはみられませんでした。

- 続発性の原発性悪性腫瘍の発生率は、両群で3%でした。

- ニンラーロ群において、死亡例が1名みられましたが、プラセボ群においてはみられませんでした。死亡例の理由は、肺炎によるもので、本試験との関連性ありと考えられます。


<TOURMALINE-MM3試験について>
TOURMALINE-MM3試験は、656名の患者を対象とした、ランダム化、プラセボ対照、二重盲検の臨床第3相試験であり、導入療法とその後の大量化学療法および自家造血幹細胞移植に奏効(完全奏効、最良部分奏効、または部分奏効)を示した多発性骨髄腫の患者を対象に、無増悪生存期間に対するニンラーロ®(一般名:イキサゾミブクエン酸エステル)維持療法の有効性をプラセボと比較検討するためにデザインされました。主要評価項目は無増悪生存期間であり、重要な副次評価項目は全生存期間等です。

詳細については以下をご覧ください。
https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02181413

以上